2012年7月30日

シャトレのつぶやき 58 ワタシの分身

なやみごとがあるの。

さいきん、毛がよくぬけるの。
気になるなやみをうちあけたら、
いじわるなあの人がいいます。
「それも年のせいよ」

でも幸せなことに、すぐにあたらしいのがでてくる。
「いいわね、ナンの苦労もしないで新品のピカピカの毛が生えてくるなんて」
いつものとおりママンのヤキモチがはじまりました。

「そうそう、キミの毛をためておいて、ぬいぐるみを作ろうかな」
「エッ!?」
ヘンな分身ね
「だってどうせ自然に抜けるんでしょ? 
別に痛くもないんだから
いいでしょ、ネ?」
こういうときは急にやさしい声になるキケンなママン。

「本物の毛で作ったぬいぐるみなんて、
すごくいいアイデイアだと思わないの?」
「ぜ~んぜん」
「やっぱりキミの趣味は高尚とはいえないわね」
近くからみても遠くからみても
ワタシの毛にまちがいないわ。
「コウショーでなくてもいいから、ヘンなことかんがえないでネ」
「じゃ、キミの分身の毛どもはどうしたらいいの?」
「すてればいいの」

それでもなかなかあきらめきれないママン。
ワタシの毛を手の中でまるめていうことには
「あ~ら、すごくいい気分。
心が落ち着くわ。ストレス解消になるくらい肌触りがいいわ。
そうだ、コレでストレス解消ボールを作って売ろうかしら」

あ~、これもきっとあつい夏だからかな。
すずしい秋がはやく来て、あの人の頭が
せいじょうになるといいのに。

天国からのごしょうたいを受けることにしたの。

これがワタシのさいごのブログ。
なぜって、天国からごしょうたいをいただいたからなの。
二日まえからどうしようかなってまよっていたけれど、
せっかくだから、いくことにしたの。
7月29日のよる10時のこと。

天国にはコンピューターがないから、
ブログはかけないけれど、
地球でとってもしあわせだったように、天国でもしあわせになるわね。
なにしろワタシって、せいかくもいいし、かおもいいから
どこにいてもにんきもの。
たくさんの思い出をかかえていってきま~す。

2012年7月28日

オリンピック

ロンドン・オリンピックがついに開幕。
日本も大騒ぎでしょうが、フランスも負けていません。

熱気に浮かされたのか、パリ市長舎前広場に大スクリーンを設置し、
みんな一緒にオープニング・セレモニーを見ましょう、ということらしい。
それに応えて大勢の人が集まり、朝方までお祭り騒ぎ。

オリンピック開催をロンドンと争って見事敗北したフランス。
そんなことはすっかり忘れて、
子供みたいに夢中になるのがフランス人のいいところ。

私もテレビでセレモニーを見ていましたが、会場のアナンスがどれも
最初にフランス語でその後英語だったのが印象的。

なぜなら、現在オリンピックが開催されているのは、フランス人のクーベルタン男爵のお陰だから、それに敬意を表しているのです。
近代オリンピックの父
クーベルタン。祖父はナポレオンと
ルイ18世の高官という名門出身。
彼が過去のオリンピアのスポーツ競技に絶大な関心を抱き、その復活のために多大な努力をし、ついに実現されたのが1896年。ギリシャのアテネでのことでした。

クーベルタンがスポーツの重要性に気がついたのは、イギリスに滞在しているときに見た学校でのスポーツ教育。
スポーツは強靭な体と精神を作る。
それゆえにイギリス軍人が強いのだと解釈。
ナポレオンが誇る軍団がワーテルローでイギリスに大敗したのも、軍人の心身の強さの差によるというのが彼のまじめな説。

昔はイギリスとフランスは戦いが絶えない仲だったけれど、
今は時代が変わり、フランス人の中には親英家も多い。

パリ市内にあるクーベルタンの記念碑
それに輪をかけたのが、オランド大統領による高額所得者への最高75パーセントの課税案。
イギリス首相はそれに素早く反応を示し、大金持ちのフランス人や企業にイギリスにいらっしゃい、
税金は心配しなくていいと魅力的な提案。

オリンピックもあり、今、最高潮のイギリス。
パリから陸続きになったし、少しの間ロンドン暮らしを考えてもいいかもなどと、
パリでボーとしながら思ったりの日々。


2012年7月17日

シャトレのつぶやき 57 ワタシのバースディよ


ワタシ自身がプレゼントの
パケージングみたいネ

ネ、きょうがワタシのたいせつな日だって
知っていた?
そう、バースディ。
ランランラ~ン。

7月17日で15さいになったの。
すごいでしょ?

まあ、外見的にはあまりかわって見えないでしょ。
それというのも、毎日の心をこめた
お手入れのおかげョ。

「君はいいわね、シミもしわも見えなくて」
ママンはいつもの通り
ワタシの美貌にやきもちやいています。

それもしかたないというもの。
生まれつきだからネ。
おリボンは首じゃなくて頭にしてと
いったら、ナンだかお耳が4つあるみたい。

たしかにワタシは若くみえるみたい。
だれもがほんとうの年をいうと
びっくりするの。
「まあ、毛がいっぱいはえているからアラが見えないだけよね。
それと、ぜったいにはげないアイラインもひいているし」
「アイライン?」
「そう、君の目のまわりが
黒いラインで囲まれているじゃない。それをアイラインっていうのよ」
べつにワタシがこのんでつけたのではなくって、これも 生まれつきなのに。

それでもう少し工夫してもらった結果が
これ。

そういえば、あの人、
ワタシの目がすごく気に入っているみたい。

「君の目ってちょっとつり上がっているのね、それがいいの。
まるでネコみたい」
「?・・・・??」
これでもワタシほんもののネコのつもりなんだけど・・・
ママンといると
気がおかしくなってしまうわ。

今年もママンは自分が食べたいケーキを買ってきて、 幸せそうに食べています。


気に入ったのでプロフィルもお見せしま~す。
ワタシのプレゼントはどうしたのかしら?
「あッ そうね、そうね」
といいながらも、ケーキから離れないひどい人。
「でもね、君はもうおもちゃをほしがる年でもないじゃない」
それでも やはり気になったのか、タンスからリボンを出してワタシの首に巻きつけて
「ハーイ、これ。これがバースディプレゼントよ」
だって。

おリボンをつけると、自分自身がプレゼントになったみたいな変な気分。
頭につけたらどうかしらっていうと、すなおに髪飾りにしてくれたの。
どう、たまにはこうしたおしゃれもいいかもネ。

それにしても今年のバースディはずいぶんとかわった日でした。

2012年7月10日

ジャパンエキスポ

すごい人気のジャパンエキスポ

ほんとうにびっくり。

パリ北郊外で毎年4日間開催される「ジャパンエキスポ」
今年は20万の入場を見込んでいると聞いて、驚きは倍増。

そうであれば見てこなければならぬと意を決していざ会場へ。意を決してというのは決して大げさではないのです。
何しろ人出が多いのだから。



パリ中心から出ている郊外線に乗り、会場最寄の駅に着くと
「ジャパンエキスポ、バンザ~イ」と声があちこちから上がり、
それにもびっくり。
もうそこからお祭り騒ぎ。

会場に入って驚きは倍増などとなまやさしいものではない。
クビがぐるぐると回りっぱなしで、
疲れること。
右も左も前も後ろも、コスプレ、コスプレ、コスプレ。
愛読している漫画の登場人物に変装しているのです。



それも半端でない。
そこがフランス人の偉いところ。
自分で布を買って、自分で製作する人が多い。
完全に漫画のキャラクターになりきっている。

まさかそのような姿で乗り物に乗ってきたわけではなく、
入り口のクロークで着替えるのです。大きなトランク持参は場なれしている証拠。

なにしろ今年で13回目のジャパンエキスポ。
1999年に漫画好きのフランスの青年たちが始めた
祭典が、今ではたくさんの出店者やスポンサーもつく勢い。


それにしてもこうも日本の漫画が愛読されているかと驚異。
会場内にブースを持つ書店はどれも長蛇の列。
作者がサイン会などしていると、皆、座り込みで順番を待っている。
こういうときはフランス人はおとなしいのです。

漫画、DVD、ポスターが飛ぶように売れ、漫画ブームの
すごさがはちきれそう。
そのほか、日本の武道や禅、折り紙講座などもあり、
日本の幅広い文化を伝えようとする意気込みが感じられ、
気分がいい。


以前は浮世絵がヨーロッパ人に大きな影響を与えましたが、
それはごく一部の人のみ。

ところが時代がかわって漫画が登場し、現代のポップアートとばかりにもてはやされるようになったことは、間違いない事実。
しかも一般の人に浸透しているのだから、漫画だからといって無視できない。

この先どうなるのか
非常に興味ある現象です。

2012年7月7日

節子さんの展覧会


節子さんのエクスポジションの
ポスター
彼女の作品です。
バルテュス未亡人、節子 クロソフスカ・ド・ローラさんの個展がエクス・アン・プロヴァンスで開会中です。著名な画家ポール・セザンヌのアトリエがその会場。

セザンヌが後年に大作を手がけていたそのアトリエには、セザンヌ直筆の手紙や静物画のモチーフとなったオブジェ、絵の具などが残っていて、感激に身も心も震えないではいない貴重な空間。

セザンヌのアトリエ前で
中央、節子さん、右、木曽陽子さん
そのアトリエに節子さんの作品が2点、そして庭園内の小館に数点の作品が展示されていて、こじんまりとしているだけに身近で観賞でき、節子さんの日本女性としてのデリケートな感覚がひしひしと伝わってきます。

さらにツーリスト・オフィスの広いホールの一角には、節子さんの話題作、絵物語「動物裁判」の原画のほか挿絵、日本画、写真も多数展示。

このように、今、エクス・アン・プロヴァンス市で節子さんの多岐にわたる作品をたっぷりと堪能できます。彼女の作品を見ていると、身近な日常的な品への優しさがこもった愛情が感じられ、いろいろと教えられることが多いのです。


ツーリスト・オフィスの展示会場
オープニングに先駆けた7月5日のヴェルニサージュはセザンヌのアトリエで行われ、
市の重要人物が多数お出でになり、
節子さんを称え、その後庭園でカクテル。
続いて重厚な旧大司教邸でブュッフェ・ディナー、
さらにその中庭で「フィガロの結婚」のオペラ観賞。
朝一時まで続いたオペラは現代に適したニューヴァージョン。
その演出と出演者の技量は最高。
かつてはバルテュスもオペラの舞台装飾をてがけたこともあったとのこと。
この日は夢の連続のような日でした。

節子さんの展覧会は8月26日まで。

2012年7月5日

ハイジュエリーの華麗な世界

パレ・ド・トウキョウ内に再現された
ヴァン クリーフ&アーペル店。
仲良しの小口比菜子さんと。
オートクチュール・コレクションの期間には、パリに世界中から顧客やジャーナリストが集まり、
一段と華やぎが増します。

カフェやレストランは思い思いの個性的な服装の人で、いつもと異なった空間を生むのもこの時期。
空気の味もいつもと変わっている印象を受けるほど。

その華やいだパリが、今、キラキラと眩いほどの輝きを発しています。ヴァンドーム広場とラペ通りの高級宝飾店が、こぞって新作のコレクションを披露しているため。


ヴァン クリーフ&アーペルの
幻想的な作品発表会場
そうした場をいくつか回っていると、輝きのパワーが細胞の隅々まで刺激し、感激と興奮で新生したようにハツラツ。
このような時間を持つのも、たまにはいいもの。

億の単位の宝飾品もあるのだから、間違っても買おうなどとは思わない。
それどころか、
完成を見る前に売れる作品もあると聞いて、世の中の不思議さを再認識。世界にはほんとうに様々な人がいるのですね。

それにしても、同じ貴石を使用しているのに、アーティストの感覚によってこれほど異なる作品が生まれるのかとの驚きばかり。
画期的なアイディアとそれを実現する技術は想像以上。

私はそうした作品を見せていただくだけで、大満足。
きれいなものを見て、ときめきを感じると体にとてもいいそう。
というわけで、ひたすら見て回っては健康にいいことをしています。

2012年7月3日

オートクチュール

サロンの驚異的な装飾に
心が躍るばかり

ジョン・ガリアーノ解雇後、しばらくの間主任デザイナーが決まらなかったディオールが、
今回新デザイナーによる初めてのコレクションを発表。

凱旋門近くの瀟洒な旧邸宅を会場として選んだことから、新たに迎えた主任デザイナー、ラフ・シモンズへの期待がいかなるものか感じられます。


赤いバラ、ラン、ケイトウの
花が床から天井までびっしり。

興味にかられて集まった多くの人々の間を抜けて館の中に入ると、
つぶぞろいの男性がシャンパンをふるまい、まるで往年の社交場。

幅広い階段を上った二階では驚きと感激が倍増。
コレクションが発表される5つの会場の床から天井に至るまで、
無数の花で飾られているのです。
赤の花の間、ピンクの、白の、ブルーの、イエローの間、と。

それぞれのサロンにほどよくイスが置かれていますが、
誰もがこの驚異的な花装飾に心を奪われ、
座るどころではない。
あちらでもこちらでも記念撮影。

メゾン創立者のクリスチャン・ディオールは花をこよなく愛する人だったのです。

ノルマンディーのグランヴィルにある生家の庭園には、種々様々な花が咲き乱れ、そこをディオールは美しい母と散策していたのです。

そうしたディオールへのオマージュがラフ・シモンズの意図なのでしょう。
彼のディオールでの初のコレクションは、
創立者が求めていた「花のように美しい女性」が見事に表現されていました。

決して単なる回顧ではなく、彼なりの若さがあり、冒険もあり、
さわやかな風の動きが感じられる作品で、ディオールが新たな時代を迎えたことが伝わってきました。
今まではどちらかというと観賞用というか、実生活から程遠い存在のオートクチュールでしたが、今回のは現代の生活に結びついている印象。

次のプレタポルテに大きな期待を持たせるコレクションでした。
親しい友人フィリップ



2012年7月2日

シャトレのつぶやき 56 サボテン

きょうのおてんきは?


ことしのパリは
とてもとてもヘンなおてんき。
「ほんとうにどうしたのかしら。ほとんど毎日雨じゃないの」
ママンがワタシのお顔を見ながら
いいます。
ワタシのせいではないのに、
ママンはふまんがあると、いつもワタシのお顔をみながらブツブツ、ブツブツ。

それで、どれどれきょうのおてんきはどうかしら。
と、空を見ていたら、
サボテンをじ~っと見るワタシ
「君が空を見てもお天気が良くなるわけでもないのよ。
それよりサボテンを見てごらんなさい。
こんなお天気でもすくすくと育っているじゃないの。
毎朝背がのびているみたいよ。それなのに君はずっと同じ背丈。
お空よりもサボテンを観察して、どうしたら同じようにすくすく育つか研究したら?」

きになることをいわれてサボテンをじっ~と見ていたけれど、
ちっともおもしろくないし、
目の前でグングン大きくなるわけでもない。
それにしょうじきいって、きれいでもない。
サボテンなんてどうでもいい
ワタシのシュミではないわ。

このようにして、
たいした進歩もないまま、きょうも一日があっという間にすぎていくので~す。