2014年2月21日

オペラと能、狂言の融合

パリ日本文化会館に設置された能舞台
西洋と日本の文化を見事に融合させた素晴らしい公演を、
パリ日本文化会館で堪能しました。

コシノ・ジュンコさん、藤原邦一さんご夫妻とご一緒に。
舞、歌、詞による日本の古典演劇である能と狂言と、西洋のオペラとの融合が、どのような形で実現されるのか大きな期待を抱いて観賞。
記憶の奥にいつまでも残るほど素晴らしい。
最初の演目の狂言はオペラ歌手がイタリア語で自ら歌いながら演じ、その後の能の謡は紋付袴姿の4人による流暢なフランス語。シンプルな能舞台、特有の動き、そして日本古来の煌びやかな衣装が相まって古き時代の日本へと誘います。
雅な世界を堪能
舞台の左下で奏でる音楽はバロック。特にクラヴサンの音色が、ヴェルサイユ宮殿の華やかな宮廷生活を彷彿させ、ルイ14世がいらしたらどれほど喜ばれたかと何度思ったことか。音楽を、オペラを、ダンスを心から愛した偉大な太陽王ルイ14世。
その時代の雅の世界をパリの中心で満喫できた貴重なひとときでした。

次回はぜひ、ヴェルサイユ宮殿内のオペラ劇場で実現していただきたいものです。

2014年2月19日

「蚕-皇室のご養蚕と古代裂,日仏絹の交流」展 パリ日本文化会館で開催

パリ日本文化会館における
展覧会

明治時代から日本の重要な輸出品だった生糸。
蚕の繭から生まれる美しい光沢を放つ絹糸には、格別な気品あり、その質感には心の奥底に平和を届けるかのような優しさがある。

日本の主要な産業ともいえる絹糸の生産を奨励するために、明治以来の歴代の皇后陛下がご養蚕なさり、それが現在も引き継がれています。時代の変貌がいかなるものであっても、伝統文化を尊び敬う精神に、日本人として感動しないではいられません。

今回の展覧会で初めて知ったことは、日本とフランスの間に絹糸にまつわる
大切な交流があったことです。

展覧会開催のお言葉を述べられた
鈴木庸一大使と隆子夫人。
ヴェルニサージュの会場で。
フランスでも絹糸の生産が盛んに行なわれていましたが、19世紀に蚕が寄生虫が原因の微粒子病にかかり、大きなダメージを受け、皇帝ナポレオン三世の要望で日本から蚕を多数送り、生産を続行することができたのです。

また、日本初の富岡製糸場はフランス人技術者ポール・ブリュナにより建築されただけでなく、機械もフランス製だったし技術もフランスから学んだとのこと。

このように日仏が絹を通して深い関係にあることを学べたことは、大変有意義なことです。外国に長く暮せば暮すほど、日本の文化、伝統の奥義をしることの重要性を感じます。

美智子皇后陛下が心を込めてご養蚕なさっている、純国産の希少な「小石丸」から生まれた絹糸は、正倉院宝物の8世紀の古代裂の復元や、鎌倉時代の絵巻の修理にも使用されたそうです。

そうした貴重な宝物をはじめとし、精密な刺繡を施した天皇陛下「御着袴の儀」のお召し物、皇后陛下のお召し物やバッグなど、日本特有の繊細な感性を織り込んだ品々の展覧会には、伝統文化の心打つばかりの美しさがあり、日本人であることに大きな感動と誇りを覚えます。

フランス人だけでなく、日本人にも、ヨーロッパの他の国々の方々にもぜひ見ていただきたい比類なき展覧会です。
左から門司ユネスコ大使ご夫妻、
戸塚さん、鈴木大使夫人、私、コシノ・ジュンコさん。
パリ日本文化会館で4月5日まで開催

2014年2月15日

ソチで最初の金メダル おめでとう!

羽生結弦さんがフィギュアースケートで初の金メダル。
まだ子供っぽさが残る若者だがら、
東日本大震災の被害を受けた仙台出身だから、
転倒したにもかかわらず最後まで諦めない日本男児の尊い精神を示したから、
素朴な笑顔で素朴なコメントだから、
そして何よりも秀でたパフォーマンスだから世界を感動させました。

遠く離れていても、故郷への想いに変わりはありません。
日本にいる日本人の喜びは、海外在住の日本人の喜びであり、
悲しみも分かち合うのです。
同国人の心情は距離に無関係なのでしょう。

心からおめでとう!!
日の丸の旗がひときわ美しく気高く見え、
国歌がひときわの重みある響きを放ちます。

2014年2月12日

バレンタインデー

ジャディ エ グルマン

2月14日。
誰が始めたのか知らないけれど、この日はチョコレートをプレゼントする日らしい。
でもこれは、どうやら日本が一番盛んなようです。

イギリスでも19世紀に
そうした習慣があったそうですが、それをこれほど浸透させたのは日本、というのが信頼できる説。

パリでもチョコレートのお店はこの日のためのスペシャル飾りをし、人々の関心をひいていますが、規模的には日本の方が大きいかも。

とはいえ、パリのバレンタインデーのディスプレイは気になるはず。そう思ってカメラにおさめたいくつかのお店の飾りをお届けしますネ。
マルキーズ・ド・セヴィニェ

3世紀のローマ帝国皇帝が、兵士が結婚すると妻と離れたくないために戦いに行くことを拒否するからと、結婚を禁止。それを嘆く若者たちのために秘かに結婚させていたために捕まり、2月14日に殉教したバレンタイン。その後、恋人たちの守護聖人と呼ばれるようになったのですが、これほど世界でお祝いされ、バレンタイン様もさぞかしお喜びのことでしょう。

この日を前後として、赤いハートの飾りと甘い甘いチョコレートをあちらこちらに見られるのは、心に光が灯されたようでいいものです。
パリでは大切な人にチョコレートをプレゼントする人もいますが、
お花も多い。女性から男性へ、というのは日本の習慣のようです。

フォション
ラデュレ

きれいに飾られたチョコレートは、見るだけでは物足りない。
やはり体で感じたい。
そう思って何種類もテイストしました。
ああ、そのおいしいこと、しあわせなこと。

毎日がバレンタインデーであって欲しいくらいです。
パトリック・ロジェのユーモラスな
チョコレートが大人気ですヨ。

2014年2月8日

華やかなガラ・ディナー

旧貴族館でのガラ・ディナー
パリ市内には貴族が建築させた瀟洒な館が多く残っています。
それが国会議事堂になったり、大統領官邸になったり、大使館や公邸、美術館、あるいはホテルになったり。
国際色豊かな出席者
左コロンビア人、右中国人

エリゼ宮殿からさほど遠くない18世紀の館も、そうしたひとつ。1714年、ルイ14世の時代に建築させた典型的な貴族館です。重厚なエントランスのドアをあけると、馬車をとめるための中庭があり、彫刻をほどこした石灰石の建物がその周囲を囲むようにあり、その後手に芝生を植えた広大な庭園が広がっている。

現在その建物はあるプライヴェート・サークルの本拠が置かれていて、大小のサロン、図書館などがあり、会員たちの交流の場になっています。会員になるのは結構大変なようで、貴族、政治家、外交官、大企業主、弁護士など3300人。まさに映画の世界ですね。

一度会員のフランス人の友人に誘われてお茶を飲みに行ったことがありますが、皆、憩いの場にいるとはいえ、びしっとした上質な服装で、いかにも育ちが良さそうで、このような世界があるものかと、パリ再発見をしたようなことがあります。今は、いくつかのサロンをレセプションに借りることもできるそう。

ユネスコ慈善大使主催の、シリアの子供たちのためのガラ・ディナーがあったのはその館で、そうそうたる支援者がチャリティーに協力をしているかを知り感激しました。
オークションとトンボラの品々
高価なビジュー、モロッコのホテル宿泊、
香水など50点。
「ノブレス オブリージュ」とはこういうことなのですネ。つまり、特権階級の人は自発的に社会のために役立つ行動をすべきだということです。この言葉はフランス語ですが、王室があるイギリスにも古くから浸透している精神だし、アメリカもそうした影響を受けてチャリティが盛んな国です。

この日もカクテル、ディナー、コンサート、オークションと盛りだくさん。
その間、話題がつきないのはさすが社交上手な人々だけある。身だしなみは崩れないし、姿勢もしゃきっとしている。

ステキな雰囲気の中で
ライブを楽しみながらのお食事。
フォアグラ、お魚のメイン、ミルフイユのデザート
何が彼らをそうさせるのか。
難しいことではなく、多分、人生のすべての瞬間を大切にしよう、楽しもうという心がけがそうさせるのでしょう。もちろんソワレは真夜中を過ぎても続いている。人生を二倍生きているような充実感に浸った数時間でした。

とブログを書いていたら、日本は大雪とのニュース。
みなさま、くれぐれも気をつけてくださいね。

2014年2月5日

私の健康食は・・・


これが朝食
軽いものばかりだからすぐにお腹がすきます
ここ20年間風邪もひかないし、他の病気もしない、というと誰もが驚きます。
そして
「何食べているの?」
と必ず聞かれる。

自分なりにいろいろな雑誌や新聞で知識を得て、これは健康にいいからと、毎日いただいているものをお知らせしますね。


ランチのキヌア
ボリビアの123歳といわれる人が
毎日のように食べていると報道され
それ以来ひたすらキヌアを


朝食はいつも同じもの。
ビオ(無添加、無農薬)のトマトとマーシュのサラダに、黒酢、すりゴマ、塩、胡椒、オリーヴオイルのおソースをたっぷりかける。

玄米パン半分にビオのバターを少々、ときどきビオの蜂蜜をつける。
ビオのレモン風味のヨーグルト。
クルミを5-10粒

朝の飲み物は一年中お抹茶。

以上が毎日の朝食。
もうおわかりでしょうが、ビオに凝っているのです。
幸い、今はスーパーでも売っているのでとても便利。

おやつはブラックチョコ
ランチはゆでたキヌアにオイルサージンを載せて、おしょうゆをさっとかける。
これが一度食べたら止められないおいしさ。
長ネギやマッシュルームをいためて加えるのもいい。

ボリビア産かペルー産のキヌアが最高の健康食と雑誌に書いてあって、自分なりにおいしい工夫をした結果です。雑誌によると、123歳のボリビアの男性が毎日のようにキヌアを食べているという。しかも彼は、一人で歩き回るほど元気。
そうと知って見習わないわけにはいかない。

でも食べなれないキヌア。それをおいしく食べるために自己流にあれこれ試してオイルサージンとおしょうゆ少々という結論がでたのです。
ああ、それまでの苦労は・・・・・・・ 別に大したことなかった。

それにしてもフランス人の反応は早い。
この報道があってすぐに行きつけのスーパーに行くと、その前で多くの人がキヌアをカートに入れている。私も負けずに3個買い、それから数日して同じスーパーに行くと空っぽ、そこだけ空っぽ。その後も毎日のように行くけれど、いつも空っぽ。
買い占める人が多いのかも。
でも諦めないで頻繁に足を運んでいます。

100%純粋のざくろのジュース
おやつは99%ブラックチョコレート。
脳にいい栄養を与えるらしい。
 特に記憶力にいいらしい。
ということは、アルツハイマーにならないですむのでは?と科学知識ゼロの私はいとも簡単に信じるのです。その結果、99%ブラックチョコレートを
せっせと食べる。         
             
でも、苦いのでは?と聞かれるけれど、
それほどでもない。
ジュースもいただきますが、100%純粋のザクロ。

夜は結構外食が多いので、朝とお昼は特に気をつかいます。外食のときにもお魚をとるよう心がけています。

これが私の健康食です。
後、お散歩も毎日していることも大切かも。
公園に限らず、とにかく体を動かすことが大切と判断し、ウィンドーショッピングも多いです。
これは結構楽しい。気分転換にもなるし・・・

皆様も健康に気をつけて下さいね。

2014年2月4日

冬のパリ 紺碧の空

パリの紺碧の空

2月3日午後1時50分。
真冬のパリの空がこんなにきれい。
まるで、
南仏にいるような寛大な太陽と紺碧の空。

感激しないではいられません。
ちょうどランチタイムで、
太陽を浴びるために多くの人が広場に繰り出して
おしゃべりに花を咲かせます。

文句なしの幸せなひととき。
冬だからこそ味わえる、この格別な感激。
寛大な太陽の中で
心身が喜びの声をあげます。

10分もすると、もう雲がかかってくる。
ほんの数分のハッピータイム。

それにめぐり合えたのは
とてもとてもラッキー。
心の底まで届くあたたかさに、
大きな喜びを感じた貴重な数分間でした。
 

街角の飾りもひときわの輝きを
放ちます。

2014年2月2日

私なりのバスルームのリニューアル

壁のひび割れを自分のアイディアで
修理。とても気に入っています。
バスマットが汚れて見えますが、
カメラのレンズの傷です。水曜になおす予定
パリの建物は古くなっても取り壊しをしないで、修理に修理を重ねて何十年どころか何百年も使います。

もちろん、時には不便を感じます。例えばサン・ルイ島に住んでいたころは、4階でエレベーターなし。何しろ17世紀のアパルトマンで、その趣が気に入って住んだのはいいものの、実際に生活すると不便なことが多い。
大きく重いトランクを必要とする旅行の帰りは、両手にトランクを持って4階まで上るので泣きたくなるほど大変でした。

今住んでいるのは19世紀末のベル・エポックのアパルトマンで、2階なのでその苦労がなく快適。
でも古いので壁のあちこちにひび割れが入る。
ペンキを塗ってもらえば事は簡単。

でも、パリにいると自分で何とかしたくなるものなのです。街並みの美しさがそうした気分にさせるのか、
あるいは、個性的なパリジェンヌの住まいに影響されたのか、あるいは、フランス人の友人のほとんどがアーティストだからかわからないけれど、とにかくペンキを塗るだけではあまりにも平凡すぎる。
しかも我が家の天井はとても高くて約4メートル。
バスタブの右手にある壁のひびは
鏡と造花のバラで修理。これは
数年前の作品?
白一色だと病院みたいになってしまう。

それであれこれ考えてバスルームに実現したのが、造花のアイビーをひび割れに添って貼り付けること。セロテープを使っただけの簡単作業。

それだけではちょっと寂しいのでハトの絵を買って、それでもまだ物足りないので、今度はイギリスのカレンダーを買って、その中から気に入った絵の写真を切り取って額に入れ飾ってみたら、
まあステキ、まるでプリンセスのバスルームみたい!!

経費は60ユーロ位。
とてもとても満足しています。
ご参考までに、公開いたします。

2014年2月1日

ヴェルサイユ宮殿の庭園 新しい木立準備中


「水の劇場」の木立の建築現場
左から彫刻家オトニエル、
ヴェルサイユ宮殿総監カトリーヌ・ペガル、
造園家ベネック

ヴェルサイユ宮殿の庭園は典型的なフランス庭園で、幾何学様式がその大きな特徴。アンドレ・ル・ノートルの秀作です。
パリの中心にあるチュイルリー公園も彼によるもので、もともとはその地にあったチュイルリー宮殿の庭園でした。

フランス栄華の象徴ともいえるヴェルサイユ宮殿の庭園には、ルイ14世の時世にいくつもの木立が造られましたが、そのひとつ「水の劇場」の木立はルイ16世の時代に姿を消し、その後放置されていました。

ルイ14世の時代の「水の劇場」の木立


造園家ル・ノートル生誕400年記念の2013年に、彼によって造られた「水の劇場」を再現することが決定し、国際コンクールで
造園家ルイ・ベネックの案が採用され、それを飾るコンテンポラリーな彫刻は、フランスの現代美術作家ジャン=ミッシェル・オトニエルが担当することになりました。

オトニエルはパリのパレ・ロワイヤルのメトロの駅に、カラフルなガラスの球をつなぎ合わせた装飾をし、目を見張るばかりのユニークなその作品は人々を驚かせ、同時にパリに新しい顔を与えました。その後はディオールの限定香水「ジャドール アブソリュ」のボトルも製作した鬼才。フランスが誇るガラスを素材とする芸術作品の第一人者です。

本来は壊れやすいガラスが、彼の作品となると力強さがあふれ、ガラスの観念を変えてしまうほど。現代がひしひしと感じられる作品ばかりです。
オトニエルによるバロックと
コンテンポラリーの融合がある
斬新で典雅な彫刻
ルイ14世の象徴が、今、今世紀の清々しい息吹を受けて再生され、過去と現代の芸術の画期的な融合が生まれるのです。これは勇気ある試みです。今までも現代アートを宮殿内で展示したヴェルサイユ宮殿。でもそれは刹那的なものでした。が、今回のは庭園内に永遠に残る作品。それだけに期待も大きい。

芸術の新たな動きをヴェルサイユほどの重要な歴史建造物の中に見れるのは、刺激的ですばらしい。フランスならではの独特な企画です。
それを実現するフランスは、やはり文化国家。

「水の劇場」の完成は今年の秋に予定されています。バロックとモダンを取り入れた球が連なりながら描く彫刻と、それに絡まるように上がる噴水。周囲には多種多様の木々が植えられ、それがゴールドを中に抱えるムラノ製の透明ガラスの表面に反射する。想像するだけでワクワクします。

インスピレーションのひとつ
ルイ14世の時代のバレーのコレグラフィー
ルイ14世は祭典が好きな国王でした。
バレーが大好きな国王でした。
再生される「水の劇場」は国王へのオマージュでもあります。オトニエルはルイ14世のバレーのコレグラフィーからインスピレーションを得て、今回の作品を制作したとのこと。躍動感があり、夢があり、華麗で、完成が待ち遠しい。

「水の劇場」のプロジェクトを見せていただいた日は、雨上がりで、現場はまだブルトーザー大活躍の状態。幸いブーツだったから良かった。その後宮殿内に案内されて彫刻のお披露目とカクテル。冷え切った体が幸せに悦びの声をあげる瞬間です。

過去を過去のままにせず、新たな息吹を加えるこの素晴らしいアイディアに、皆、感服。
オープンが楽しみですね。ルイ14世の時代のように楽しい祭典があるといいのに、それに招待されるといいのに、と夢見ています。

完成予想図