2015年1月27日

オートクチュール ディオールの場倍

SFの世界に突然入ったようなディオールのショー。
眩い輝きに身も心も浮き立ちます。
毎年1月末に行なわれるオートクチュールのコレクション発表は、一年の始まりを告げる華麗なイヴェント。今年は様々な出来事があったために、招待状だけではショーの会場に入れません。

ひとりひとり身分証明書と照らし合わせて、本人であることが確認されてやっと中に入れるという厳重な警戒。しかもその後荷物検査もあり、
まるで飛行機に乗るみたい。

でも、ロダン美術館の中庭に設置された特設会場に入ると、
そこは文字通り別世界。
まるで宇宙ステーションに招待されたようなメタリックな装飾。
見上げるばかりの背の高い空間の中に身を置くと、あまりにも非日常的で、パリの中心にいることさえ忘れてしまう。

そうしたコレクション会場に音楽が流れたかと思うと、これまた現実とは思えない、陶器のような透き通る肌、今にも折れそうなきゃしゃな体のマヌカンたちが、ラフ・シモンズ創作の60年代、70年代に現代と未来を融合させた作品を次々と披露。
皆、競って記念撮影。

宇宙征服に世界が沸いていた時代に焦点を合わせているので、会場も作品もSF調なのです。

新素材も取り入れた、若さ、勇気、エレガンス、喜び、遊び心が盛り込まれた、モードの
指針を示すディオールならではのコレクション。

それにしても30分のショーのために、これほど大掛かりな会場を設置したディオールは、やはり大物。ショーの前に、皆、(私も含めて)記念撮影におおわらわ。それほど独創性あふれる会場だったのです。

2015年1月21日

ジャン・コクトーの貴重な写真、デッサン展

ジャン・コクトーの
若き日の写真が多く展示されています。

詩人、画家、劇作家、映画監督、
脚本家・・・
多才なジャン・コクトーは当時の文芸人に愛され、敬愛され、そして今でも多くの崇拝者を持つ人。

そのコクトーの貴重な姿をとらえた写真や、彼によるコラージュ、デッサンなど多岐にわたる作品が、今、パリで展示中。

展示会場は以前のイヴ・サンローラン本社で、現在の「ピエール・ベルジェ イヴ・サンローラン財団」。
すべてアメリカのコレクターから寄贈されたとのこと。
いつもシックなピエール・ベルジェ氏と、
コクトーの写真の前で。

コクトーの親しい友人であり、ミイ・ラ・フォレの彼の住まいを修復したピエール・ベルジェの発案で、今回の展覧会となったのです。
点数は少ないけれど、その内容の濃さはさすがベルジェ。作品は後日ミイ・ラ・フォレのコクトーのミュージアムに展示されるそう。

ヴェルニサージュの日は、ベルジェとサンローランと親しかった、あるいは今でも親しい人が集まり華やかでした。
モード界の人、装飾家、画家、文学者などオーラがある人ばかりで、話術も素晴らしく時間が経つのも忘れたほど。
サンローランの愛犬ムジック4世、10歳です。

感動したのは、ディオールとサンローランのお気に入りモデルだったヴィクトワールが、美麗な姿を見せたこと。高齢なはずなのに、美しい。見習わなくては。
今度和食レストランに一緒に行く約束をしたので、どこにするか悩んでいるところ。

サンローランの愛犬ムジックに久々に会えたのも嬉しかった。
名前を呼ぶと短い尻尾を振って可愛くて仕方ないほど。

心が豊かになる夜でした。
お互いによく知っているので和やかな雰囲気です。

2015年1月17日

パリの犬たち 21


人間語ってよくわからないね。

何を話しているのかなぁ、さっぱりわからない。

「ねぇ、君はどう、わかる?「ぜ~んぜん」
「どうでもいいよね、ボクたちがわかりあえればいいよね」
「うん、その通りだワン」

2015年1月15日

バルテュス展

左から田根剛さん、黒田アキさん、私、節子さん、柳楽桜子さん、古田深雪さん。
ピカソが「20世紀最大の画家」と称したバルテュス展をパリで開催中です。
場所はシャンゼリゼ近くの由緒あるギャラリー。
重厚な趣のエントランスを入った直ぐの展示室には、珍しい初期の風景画が程よい間隔で並んでいます。
特にエンピツ画が多いようで、そのために静謐な雰囲気が漂っています。
その奥に進むと、いまだかつて公開されたことがないと節子さんがお話しして下さった、珍しい静物画があり大感激。

さらにその先と階上には、バルテュスがポラロイドカメラで撮影した少女の写真が多く展示されている、非常に貴重な展覧会です。バルテュスが節子さんに捧げたお花の絵も展示してあり、思わず微笑が沸きます。

招待客がひっきりなしに姿を現し、社交上手な節子さんが多くの人に囲まれながら笑顔で対応していらっしゃるのが印象的。
もう一度観賞にいくつもりです。その時には画集も買おうと思っています。
このようにして我が家は本が増えていくのです。

バルテュスの知られざる面を見れる稀有な展覧会です。

Gagosian Gallery
4 rue de Ponthieu
75008 Paris
2 月 28日まで

2015年1月13日

フランス=イスラエル 合同研究40周年記念


二つの研究所の
シンボルの映像が常に舞台の上に。
フランスのパスツール研究所とイスラエルのワイズマン研究所が、合同で研究を始めるようになって今年で40年。

科学の発展に大きな功績をあげているこの合同研究の発案者は、厚生大臣を長年務めたシモーヌ・ヴェイユ女史。

記念すべき年の記念行事は、フランス首相をお迎えしてオペラ座で行なわれました。
ドレスコードは夜会服。つまリ女性はロングドレスで男性はタキシード。

カンヌ在住のエヴリーヌと記念撮影
記録的な人数による表現の自由の尊重を求める大行進があった翌日だったので、オペラ座の周囲は幾重にも重なる厳重な警戒。警察の車が入り口前にずらりと並び、機関銃を手にした軍人が数人構えている。入り口では、当然、招待状と荷物検査。寒い日だったので順番を待つのか大変でした。

中に入ると一変し、フランス共和国親衛隊がキリッとした制服姿でトランペットの演奏でお出迎え。その美しく立派な姿に心が高揚します。先ほどの寒さを一挙に忘れます。

知人との再会を喜び合う
ステキな紳士、淑女。
客席に向う階段にはびっしりと花装飾がなされ、無数のシャンデリアがキラキラと輝きを放射線状に放ち、その中を着飾った人々が談笑しながら席へと進む光景は、社交が盛んだった古きよき時代の映画の一場面を見る思い。うっとりしないではいられません。

満席のオペラ座で、ふたつの由緒ある研究所の歩みを辿る映像が流れ、その後関係者のご挨拶。科学の進歩には国境はない、今後もこの志の灯を灯し続けましょうとの言葉が強く印象に残りました。

一分間の黙祷の後、新たにオペラ座の芸術監督になったベンジャマン・ミルピエ(女優ナタリー・ポートマンのご主人)による特別な振り付けのバレー。

デイナーはルノートルの
シェフが腕を振るいました。
その後、長年人気を保っている歌手パトリック・ブリューエルの歌。ポピュラーあり、オペラあり、彼の友人のピアノ演奏、親しい友であり歌手のジュリアン・クレールとのデゥエットありと盛りだくさん。パトリックの歌に合わせて全員が立ち上がりワルツを踊ったりもし、貴重な経験もしました。アンコールにも応じて全てのパーフォマンスが終わったのは11時過ぎ。

その後オペラ通りが一望できる華麗なグラン・フォアイエでディナー。
40周年記念にふさわしいガラでした。それにしても皆さんお元気です。私も含めて。

全ての階段に花装飾。
親衛隊もいるし宮殿に招かれたようです。

2015年1月12日

宗教も国境も超えた大行進

1月11日。快晴の日。
ヘリコプターが上空から監視する中、テロの犠牲者追悼と表現の自由を尊ぶ行進が繰り広げられました。この日は、約50カ国の首脳が一同に集まり、パリでは100万、フランス全土で370万人が行進に参加。いまだかつて見たことがない大結束でした。

パリでは出発点のレピュブリック広場から到着点のナシオン広場まで、人、人、人の波。
様々な国旗がひるがえり、様々な宗教、国籍の人々が一致団結して行進する姿はあまりにも感動的で、世界が平和で結ばれることを切実に願わないではいられない。

同じ時期にロンドン、ベルリン、モスクワ、ローマなどでも結束を呼びかける行進が行なわれ、フランスはひとりでないことをはっきりと知ったことは心強いことでした。

2015年1月11日

賢三さんとTOYOで新年会

兄妹のように仲良しの万年青年の高田賢三さんと、2015年開けにレストランTOYOでふたりだけの新年会。

船でヴァカンスを過ごしていた賢三さんは日焼けして元気いっぱい。
いつもの通りカウンター席でシェフとおしゃべりしながらの極上タイムです。

「中山君がよく見えない」との
賢三さんの言葉に従い、二枚撮影。
賢三さんの優しい配慮に感激。




ウニや貴重な数の子、七草がゆなど、オーナーシェフ中山豊光さんならではの、和と洋のデリケートな融合のある逸品ばかり。神戸の高級フレンチレストラン「ジャン・ムーラン」とパリの和食の老舗「伊勢」で腕をふるっていた中山さん。その後賢三さんお抱えシェフを7年間務めた後独立し、オープンしたTOYO。

一度味わったら忘れられない美味で、私も常連の仲間です。

2015年1月8日

モナコ 王子と王女を正式に紹介


晴天に恵まれた1月7日、モナコのプリンスとプリンセスが公式に紹介されました。

昨年12月10日に生まれた双子はジャック王子とガブリエラ王女。そのときもモナコは国中に喜びが飛び交いましたが、今回はアルベール二世とシャルレーヌ妃に抱かれて、宮殿のバルコニーからご挨拶。

生後一ヶ月も経っていないのでお顔もはっきりとはわからないけれど、世継ぎ誕生はモナコにとってやはり最大の関心事。バルコニーでは太陽光線から子供を守るように、アルベール二世が手でさえぎって父親の心配りを示していたのが印象的。その下は黒山の人だかり。華やかな演奏の中で繰り広げられたモナコのよき日。

2015年1月7日

パリの犬たち 20

冬はカラフルな装いに限る。
フカフカしていて気持ちいい。
ボクはとってもご機嫌だワン。

2015年1月3日

新年のご挨拶。

私のアパルトマンには
一年中お雛様と日本人形を飾っています。

新年おめでとうございます。
2015年が始まりました。
そう思うとやはり気持ちが引き締まります。
外の光景も家の中も昨日と同じなのに、
自分の心次第で変化が感じられる不思議な日々です。
改まった気持ちを持つために着物を着ると、新しい年を迎えた実感がしっかりわきます。

日本にいた時には神社に初詣をしたり、百人一首で遊んだり、お習字をしたり、そしてもちろんおせち料理をいただいていましたが、パリのお正月はいたってさっぱり。
着物を着ない限りお正月が感じられない。
1月1日はさすがに会社もお休みですが、2日から仕事開始という国です。

今年は記念行事が多い年のようです。
終戦70年という全世界にとって重要な年であり、フランスにとっては、ナポレオンが最後の戦いに破れセント・ヘレナ島に流刑されて200年という年。ひとつひとつの行事をしっかりと記憶に留めたいと思っています。

2015年が皆さまにとって、幸せと健康に恵まれた素晴らしい一年でありますように。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

2015年1月1日

魅力いっぱいのシナイ半島

岩山が続くシナイ半島。

岩、岩、そしてまた岩。赤味を帯びた岩山が果てしなく続いている。植物らしきものは何も見えない。人が住んでいる気配もない。動物の姿もない。あるのは岩だけ。

シナイ半島が眼下に見えてきたとき、地球の不思議と自然の偉大さに圧倒され、身震いを抑えきれないほどの感動でした。


これほど荒涼とした地がパリと同じ惑星にあるなどと、とても信じられない。
こうした地だからこそ神の声が聞こえたのだろうか。

モーセがイスラエルの民を連れてさまよっていた旧約聖書の時代から、何も変わっていないように思える。
このシナイ半島では、時はその時代から止まったままになっているとしか思えない。

荒涼とした世界をラクダに揺られながら
じっくりと味わう。
モーセが神の声を聞き、十戒を授かったと言われている地に到着するまでの道のりも、厳しい表情の岩山が果てしなく続いている。

時々木が見える。でもやせ細って元気がない。ノドが乾いているのにちがいない。そう思うと可愛そうになる。ここに一本、すこし進むとまた一本という具合に立っている。その光景に胸が寂しさでいっぱいになる。

岩山はときには赤っぽく、ときにはうっすらとピンクがかって見える。四方を見渡して目に入るのは、相変わらず岩山。
自然の厳しさが骨の中まで響いてくるよう。
こうした荒涼とした地が続いているのを見ると、
人の成すことがちっぽけなものに思えてくる。
ここでは目に見えないながらも、偉大なものの力が感じられて仕方ない。

モーセゆかりの地に建築された聖カタリナ修道院
6世紀に建築された世界最古のキリスト教修道院。
モーセはある日シナイ山に登り、40日間そこにひとりで閉じこもり、
十戒を神から授かったと言われている。
これほど荒涼とした厳しい自然の真っ只中で、他に何の声があるというのだろうか。
全能の神のみを信じ、すべてを委ねたいと思うのも不思議ではない厳かさが、風景とその界隈の空気の中にあるように思えます。
忘れがたい子供たち。



岩山の上に立って四方を見渡しても、目に入るのは自分が立っているのと同じ岩山のみ。まるで地球の上で取り残されたような感覚。生き物の息吹が皆無の世界。時は止まっている。ほんとうに時はここには存在していない。

聖カタリナ修道院界隈の厳しい自然に心身が緊張した後、帰り道で出会った子供たちの姿がどれほど貴重に思えたことか。

彼らの素朴な服装、人懐っこい笑顔が、まるで太陽のように体の隅々まで温かさを届けてくれる。彼らがこの地でとても幸せなのだと感じられたのは、私自身にとっても幸せなことでした。




高級なホテルや別荘、
ショッピングセンターが
並ぶナーマ・ベイ。
世界でもっとも美しいと言われている紅海は、混じりけがまったくない紺碧の海。本物の海を初めて見た思い。
南端のシャルム・エル・シェイクやナーマ・ベイには高級ホテルが立ち並び、ダイビングのメッカと言われているだけあって、世界中からダイバーが集まります。
私はダイビングはしなかったけれど、
半潜水艦に乗って紅海の底を探検。
一面に広がる珊瑚に圧倒されたり、様々な魚と泳いでいるような錯覚を起こし、幸せ度最高。

シャルム・エル・シェイク周辺の町もいくつか訪問。別荘が立ち並び、ショッピングセンターもあり、それでいてかなたに厳しい岩山がそびえている。そのコントラストは忘れえぬ光景です。
地球がいかに広いか、そして私が知っているのはわずかな地だけなのだと、改めて感じた実り多い旅でした。
もっともっと地球を見た~い。

シナイ半島でクリスマスと一年の終わりを過ごすのは、
とても意義あることだと心から思っています。
              
ラクダに本格的に乗ったのは初めて。
最初はあまりにも背が高いので悲鳴をあげたほど。