2016年9月30日

カルティエの新製品発表会

カルティエを象徴するパンテールの像。
迫力満点。
ファッションウィークに合わせて、ハイジュエリーのニューコレクションお披露目もあるパリ。多くのメゾンは7月のオートクチュールのときだけに行いますが、カルティエはプレタポルテの時期にも新作を発表。さすが、あふれるほどの創造性と、それを実現する財力を持つメゾンです。

バッグの新製品をバスルームをイメージした部屋で展示。
意表をついた展示法に脱帽。
ジュエリー大好きな私は、こうした催しは欠かせない。ジュエリーの輝きに呼ばれているようなのです。依頼されていたいくつかの原稿を送り、ほっとしたので、書きかけている歴史物の資料を読もうと、数冊の本を机の上に並べてみた。でも、心が浮き立つばかりでちっともはかどらない。資料をかたし、プレタポルテのショーもそこそこに、カルティエ新製品に会いに行きました。

誰にも似合いそうなブレスレットとリング。
意表をついた演出に長けているカルティエ。
今回は邸宅に招待されたような雰囲気がいっぱい。エントランスで数人の美女、美男に迎えられ、長い廊下をまっすぐに進むと、広々したサロンがあり、そこにメゾンを象徴するパンテールの彫刻が待っている。壁には驚くほど大きな宝石のパンテールの映像が写され、その手前にはゴージャスなブーケ。

再度、カクチュスが登場。
一階でジュエリーや時計を堪能した後、二階に行くと、バスルーム、ベッドルーム、お化粧室などが設置され、ジュエリーやバッグが展示されている。
その先にはテラスがあり、ドリンクとおつまみを手に、話に花を咲かせる。

一階に戻るとチョーイケメンが、
「記念にお写真はいかがですか?」
ですって。
シャネルのブラウスを着ていて良かった。
その場でそのお写真をいただきましたが、ちょっと緊張気味。

左頬にジュエリーのキラメキを受けているみたい。
カルティエのステキな時間に感謝。

2016年9月29日

パリ、ファッションウィーク

おしゃれ上手な女性の姿があちこちで見られ
感性が磨かれるのものこの期間。
自分に自信を持っているのがわかる、堂々とした歩き方がいい。


昔「パリコレ」、今「ファッションウィーク」
呼び方は変わっても中身は同じで、ニュー・コレクションを各メゾンが紹介します。

2017年春夏プレタポルテのショーを行うメゾンを、スケジュール表で数えてみたら、ナンと92もある。この数字を見ただけで目眩がしたり、疲れが出たり。 この業界の厳しさが分かります。

今回のショーの開始は9月27日、終了が10月5日。
話題は、デザイナー交代劇があったサンローラン、 ディオール、ランバン。
どのような評価がなされるか、売り上げはどうなるか、今後大いに楽しみです。

めまぐるしくデザイナーが変わるメゾンが多い中で、シャネルのラガフェルドほど息の長い人は珍しい。モニュメントといってもいいほど。何しろ彼は、クリスチャン・ディオールの時代からデザイナーだったわけだから、最長記録の保持者でしょう。しかも、今でも活躍中だからファッション界の宝です。

チュイルリー公園の入り口の、
「パリ・シュール・モード」「プルミエール・クラス」の表示。
ここで、アクセサリーとファッション小物の新コレクションが発表されます。
ただし、バイヤー、ジャーナリストなど関係者向け。

華やかなショーとは別に、これから世に出ようと願うデザイナーや小物のクリエーターは、ホテルや特別展示会場で作品を披露します。ブランド名を覚えてもらうためには、こまめに展示しなくてはなりません。

チュイルリー公園内には5000m²もの巨大なテントが張られ、その中のブースを借りて、世界中から集まるバイヤーやジャーナリストに見せる人もいます。ブースの数の多さからも、この世界の競争の激しさが分かります。ファッションは年中変わらなければならない。進取の精神を持っていなかればならない。しかも、利益を生む製品を創作しなければならない。やはり厳しい世界です。

2016年9月27日

開館30周年を迎えたオルセー美術館

セーヌ河畔のオルセー美術館
印象派の巨匠たちの名画を多数展示し、圧倒的な人気を誇っているオルセー美術館がオープンして、今年で早くも30年。
 1900年にパリで万博が開催されたときに建築された駅が、さまざまな変貌を遂げた後に美術館になり、その思い切った発案は世界を驚かせました。
その後、部分的な改造がありましたが、展示されている作品は、美術書などで見かけるのがほとんなのは変わりません。
パリで最も親しまれている美術館です。

第二帝政を築いた皇帝ナポレオン3世。
30周年記念を祝うための特別企画は「第二帝政」。1852年から1870年まで続いたナポレオン3世の時世です。

不思議なことに、この時代はあまり語られていないのですが、今日見られる整然としたパリ市が生まれた重要な時代だったのです。古い建造物が取り壊され、幅広い道路が生まれ、街路樹が植えられ、ロータリーもたくさん造られ、いざという際にスムースに行動を起こしやすいようにしました。上下水道が完備し、疫病から市民を守る対策も取りました。

ナポレオン3世の妃ウジェニー。
オーストラリアやカリフォルニアで金鉱が発掘され、世界中がその余波で潤い、フランスの経済が豊かになったのも第二帝政時代。
パリで最初のデパート、ボンマルシェが誕生し、買い物熱が急上昇。オペラ座の建築が開始され、 レストランは着飾った人々の社交の場となっていました。
フローベールやゾラ、ユゴーが次々に名作を発表し、文学が一層の飛躍を遂げ、絵画ではモネを筆頭とする印象派の画家が名作を描き、その多くがオルセー美術館に展示されています。

華やかな宮廷生活が営まれていたチュイルリー宮殿。
このように第二帝政は豊かさがあふれていた時代だったのです。
文芸が驚異的な飛躍を遂げたこの時代に焦点をおいた、開館30周年記念の展覧会には、宮廷生活を描いた絵も多く、華麗な時代が伝わってきます。当時の卓越した家具、美術工芸品が特に素晴らしく、よき時代だったことを十分に堪能できます。

リドにカジュアルな服で行って後悔したので、
今日はディオールのジャケット。何しろ第二帝政がテーマなのだから。
特別展覧会のエントランスが豪華で、期待が膨らみます。

閉館日の月曜にヴェルニサージュがあり、豊かで華やかな時代のオーラをゆったりした中で、満足いくまで浴びてきました。これで、いい文章が書けるようになるかも、と期待は大きい。
開催中にぜひまた足を運びたい。それほど素晴らしい内容なのです。

オルセー美術館
「第二帝政」
2017年1月15日まで。

2016年9月25日

リドで早くもクリスマスのスイーツ発表

ルノートルのクリスマススイーツ。
リドとのコラボレーションです、華やか極まりない。
クリスマスは3ヵ月後だというのに、もう、そのお祝いのスイーツのお披露目。
場所は、ナンと、かの有名なシャンゼリゼのリド。
粒ぞろいの美女、美男の超人的な踊りや歌、ダイナミックな舞台装置で観衆を魅了するあのリドです。数回ディナーショーを楽しんだことがありますが、圧倒された印象が今でも残っています。

リドの舞台と客席を独り占めしてのお披露目。
毎回、趣向を変えて新作発表をする、スイーツの老舗ルノートルのご招待だったのですが、招待状に書かれていたリドが、まさかあのリドであるはずがない、例えリドであっても一角を借り手のイヴェントに違いないと軽装で出かけました。

おつまみのように置かれたミニスイーツ。
これもせっかくのお好意だからと全部試食。
ところが、いざ着いてみると、やはりあの華麗なリドが会場で、一角どころか全館借り切っての大掛かりなクリスマス スイーツのお披露目。

ダークスーツの男性と女性が出迎え、
「リドは始めてですか?」
などと、にこやかに微笑む。
「数回来たことがありますが、ずいぶんと前のことです」
と豪華なシャンデリアにちょっと圧倒されて、つい小声になった私。

皆、噴水の前に立って記念撮影。
こんなことだったら、もっとおしゃれをしてくるべきだったと後悔。
ちょっとカジュアルでした。反省。
「では、新しいショーの楽屋をご覧になってください」
と若い女性が先頭に立って、キビキビと案内してくださる。
楽屋に並べられている衣装がどれも高価なのには驚きました。
ふさふさした羽がついた衣装には、本物のオートリッチの美しい羽が使用されているし、無数のスワロフスキーのクリスタルが輝いているゴジャースな衣装もある。

目がくらくらした後、
「ではこちらに」
と、ドアを開けた先は真っ暗。
その中でひときわ輝いていたのが、クリスマス スイーツ。ルノートルがリドとコラボレーションして作った彫刻のようなスイーツは、ゴールドの特性ケースの中に並んでいて、華やかさが四方に飛び散っていました。

ステキなお土産のチョコーレト。
ずっと保存しておきたいほど。
今は、我が家の暖炉の上が彼の住まい。
そこに待機していた数人のシェフがいくつか試食をすすめてくださり、ついついあれこれ口にしてしまう。そこはまだ楽屋で、その後ビロードのカーテンを大きく開き、導かれたのは舞台の上。噴水まである立派な装置、その先には客席が見える。
こんな経験は二度とない。みな、交代で噴水の前で記念撮影。
ここにも複数のシェフがいて、 その場でお魚やイセエビのお料理を用意してくださる。冷えたシャブリと一緒にいただく贅沢なランチ。

コーヒーの後、手にしたお土産は優美なスワンの形のチョコレート。
あまりにもステキなので、しばらく我が家の暖炉の上に飾っておきます。

2016年9月24日

パリの犬たち 95

今日は大好きなマルシェの日。
「朝早くからお客さんを待っているのに、ちっとも来ないねパパ」
「まあ、そのうち来るさ」
「ちょっと宣伝しようかな」
「いいよ、好きなようにしなさい」





「さあ、皆さん。栄養たっぷりのチーズはいかが。
ノルマンディー産のおいしいチーズですよ」
「一度食べたら、とりこになるほどの味。ぜひお試しくださ~い」

2016年9月22日

日本が世界に誇る美

華やかな鏡開き。
右端は大谷暢順本願寺文化興隆財団理事長。
左端は理事長夫人、そのお隣に節子さん、中央は佐藤ユネスコ日本大使。
ユネスコ平和芸術家として長年活躍なさっている節子・クロソフスカ・ド・ローラさんからお誘いを受けて、ユネスコ本部で催されたイヴェント「日本の美と心の再発見」に、友人の多津子さんとご一緒に出席させていただきました。

本願寺文化興隆財団が主催する今回のこのイヴェントは、日本の祭りに焦点を当て、コンサート、講演、宮廷装束十二単ショー、シンポジュウムなど多彩で、日本人の美に関する特有のデリケ-トな感性をアピールすることを目的としています。
儀式のような厳かな十二単の着付け。

最近ますます日本への関心が強まり、 歴史を読み返したり、文化工芸品を観賞したり。着物も機会があると出来るだけ着るようにしているほど、日本に想いを馳せています。  幸いなことに毎月送ってくださる女性誌が数冊あるので、日本の最新情報もしっかりつかんでいます。
ページを開くたびに、
「日本人の美点はこういうことなのだ」
「日本人としてこんなことも知らなかったなんて、恥ずかしい」
 季節ごとに変わる美しい風景を見ると
「日本の自然にはやさしさがあっていい。包まれるような暖かさがあっていい」
とひたすら見入り、日本賛美に走る私。

ゆっくりと歩を進める姿から
日本の伝統文化の素晴らしさがほとばしります。
今回の本願寺文化興隆財団主催のイヴェントは、三味線と尺八のコンサートで始まり、「鏡開き」、大谷暢順財団理事長の「日本の祭り」に関する講演がありました。財団理事長はフランス文学者としてフランスで高い評価を受けています。講演は流れるような素晴らしいフランス語でした。

その後は舞台の上で十二単の着付け。着物を一枚ずつゆっくりと重ねていく様子は、まるで儀式のようのに厳か。煌びやかで京都の雅の世界に浸っているような感慨を味わいました。いろいろと学ぶことが多い有意義なイヴェントでした。

2016年9月21日

ローラースケートのポリス

3人一組で活躍するローラーブレード部隊
「ワーッ、カッコいい!!」
パリの路上をローラースケートでスイスイ走る警官を見るにつけ、思わす声を出してしまいます。
彼らは3人組で移動するきまりがあるそう。引き締まった体といい、すばやい行動といい、若さといい、文句なしにカッコいい。

ご覧の通り、どこでも走れるのが強み。
車の渋滞の中でも自由に走れるし、細い裏通りも問題ない。それにかなりのスピードも出せる。定期的に訓練を受けているそうだけれど、彼らを見ていると頼もしくなります。それに、この仕事が楽しくて仕方ないといった明るさと笑顔がいい。
 粋なパリジャンらしい、粋なアイディア。
さすが、世界で一番きれいな街を造った人ならではの画期的な発案です。

2016年9月18日

パリの犬たち 94

きまりを守りましょう。
パリ市がたばこのすいがらを道路に捨てたら罰金と決めたのに、
だ~れもまもらない。今までと同じようにポイポイ捨てている。
レストランやカフェによっては、入り口にすいがら入れを置いている。
ほら、左に見えるでしょ?
正義感に燃えるボクは、ここに捨ててと声を限りにお願いしているのだ。


2016年9月16日

感動的なレンブラント展

「光と影の画家」にふさわしい展覧会のポスターが
美術館の入り口近くに見られます。
17世紀のオランダを代表する画家レンブラントが手がけた珍しい作品を、ジャックマール=アンドレ美術館で観られます。

「光と影の巨匠」と呼ばれるレンブラントの宗教画は、様々な美術館に展示していますが、今回の展覧会では、親密な関係にあった人々を描いた作品が数点あり、それがとても貴重です。

例えば、レンブラントの父親のデッサン、母親のデッサン。小さな紙に描いているのに表情などが緻密で、その観察力とデッサン力は驚異的。

私が特に興味を抱いたのは、彼の最初の妻サスキアの肖像画、二番目の妻(実際には結婚していないといわれている) ヘンドリッキェの肖像画、息子ティトゥスの肖像画でした。

この3人のことを「ルーヴル美術館、女たちの肖像」に書くために資料を読み、まったく知らない人ではなかったので、肖像画を観て
「ああ、こういう顔だったのか」
文章だけで理解していた人物が、実際にこの世にいたのだという実感が湧き大いに感動しました。

ヘンドリッキェの肖像画はルーヴルにもありますが、今回は別の肖像画だし、息子ティトゥスの肖像画も初めての作品だったので、ひきつけられました。

ジャックマール=アンドレ美術館。
19世紀の大富豪の邸宅でした。
ここで優雅な生活を営んでいた夫妻は美術品コレクターで
レンブラントの作品も3点持っていました。
このほか、キリストをテーマにしたデッサンや絵も多数あります。 レンブラントが初期からずっと追っていたのは宗教画。小さいサイズの絵が多く、それ故に心打たれるものがあり、悲しみがより強く感じられるように思えました。

2016年9月16日~ 2017年 1月27日。
 レンブラント展の入場料は13ユーロ。

2016年9月15日

マロニエに実がいっぱい、秋の始まり

実をたくさんつけたマロニエ。
マロニエに濃い緑の実がたくさんなって、秋が始まったことを告げています。
そう、秋はマロニエの実と一緒にやってくる。

数日後には落ち葉の季節になるでしょう。パリの秋の深まりは早いのです。

2016年9月14日

華やかな祭典

ディオールの5つの作品のひとつ。
モンテーニュ通り、ジョルジュ・サンク通り、フランソワ・プルミエ通りのエリアは、ラグジュアリーブランドのブティックが勢ぞろい。中に入らなくても、ウインドーのディスプレイを見て歩くだけでも、大きな刺激を受けます。

ルイ・ヴィトンのスペシャル製品。おしゃれの必需品入れ。
ディオール、 カルティエ、シャネル、アルマーニ、ヴァレンティノ、フェラガモ、プラダ、ルイ・ヴィトン、ロエベ、セリーヌ、ニナ・リッチ、ジバンシー、アライア、グラフ、バランシアガ、ショーメ・・・・ため息を誘うブランドばかり。

モンテーニュ委員会のオーガナイズにより、こうしたメゾンが「格別なオブジェ」を創作し披露するイヴェントを開催。今回参加したのは31店。そのヴェルニサージュが9月13日夕方6時半から行われ、浮き立つ心をかかえながら出かけました。

一枚の招待状で、このイヴェントに参加するすべてのメゾンに入れるアイディアは合理的で、多くの人が評価していました。でも、当然のことながら入り口で厳しいチェックがありました。

ヴァレンティーノのエキゾティックなネックレス。
3点のひとつ。
この日は9月のパリでは珍しく、33度の気温。招待者の服装にも、もちろん興味しんしん。こうした機会に感性に磨きがかかるものです。招待客は各メゾンの顧客がほとんどなので、おしゃれ上手な人ばかり。

ジバンシーのインパクトある「メーキャップ・ビジュー」
レザー、パール、 レースなどを使用。
3点のうちのひとつ。
この日、ハッとするほど魅力的な女性がいました。
その人は淡いピンクのシンプルなノースリーブのドレスを着て、
5連くらいのゴージャスなネックレスをつけていました。いろいろなグーリンが混ざっていたようです。靴はベージュの何の飾りもないパンプス。肩からさげているミニバッグはイエロー。

カラーの組み合わせが独創的なその女性が、ルイ・ヴィトンのブティックに入った途端、輝きが一挙に放たれたようでした。その人は、華やかな光の中に立っているようでした。
「なんてステキな人!」
彼女に視線を奪われた私は、同行した友人にため息をつきながら言わないではいられない。
「ホント、彼女は自分にふさわしいおしゃれを知っている人だわね」
友人もすっかり見とれている。

オーラがあるというのは、こういう人のこと。
彼女を真似て、持っているビジューをいくつも重ねてつけよう、と早速決意。何も新しいのを買う必要はないのです。工夫でいくらでも変化をつけられる。

プラダの貴重なバッグ。
1925年創作で、プラダ家秘蔵。
各メゾンが特別にクリエイトした「格別なオブジェ」は、メゾンによって数もまちまち。一点のみもあれば、ディオールのように5点も創作したメゾンもある。
各メゾンでディレクターが、あるいは社長が会話の相手をしているのが素晴らしい。この界隈には、LVMHのメゾンも多いので、その会長のベルナール・アルノーが家族といらしているのが印象的でした。
友人と再会、新しい人との交流、
おしゃれな女性のセンス拝見と内容が濃いイヴェント。
この「格別なオブジェ」展覧会は9月14日から17日まで開催しています。
ブティックの外で、遅くまで祭典が続きます。

2016年9月13日

いつまでも衰えないマリー・アントワネットの人気 

「ミセス」10月号。好評発売中です。
今発売中の「ミセス」10月号の「マリー・アントワネットの生涯」は、王妃に興味を持っている人にぜひお勧めしたい内容です。

マリー・アントワネットの生涯は、このページから始まります。
写真や絵が豊富で、マリー・アントワネットの生涯がわかりやすいし、しっかりと記憶に刻まれるでしょう。この原稿を書きながら、マリー・アントワネットがいかに稀有な女性だったか、再び強く感じました。

彼女は旧体制の時代に生きた、進歩的で勇気ある女性だったと私は思います。
自分をしっかり持ち、それまで宮廷で守られてきた伝統を破り、新たな時代が到来したことを自ら示した革新的な精神の持ち主でもあったのです。

彼女が登場するまでは、王妃は文字通り「王の妃」であり、何事も王が決定し王妃はそれに従っていました。宮廷の伝統もそのまま守っていました。
けれどもマリー・アントワネットは、重苦しい伝統、例えばルイ14世の時代からの「公開食事」を簡素化したり、ファッションに大きな興味を抱きフランス・エレガンスを世に示したし、それまで様々な形をしていたハンカチを正方形に決めたり、クロワッサンを流行させたり・・・・

マリー・アントワネットは高価なジュエリーを好んでいたと思われていますが、彼女の多くの肖像画で見る限り、むしろ清楚なパールがお気に入りだったようです。
日本の漆器を多数コレクションしていたことからも、彼女のデリケートな感性がわかります。

革命で捕らわれの身となっても、王妃としての威厳と品格を失うことがなかったマリー・アントワネット。時が流れ、時代の大きな変貌があっても忘れられることがないマリー・アントワネット。彼女には永遠に衰えることがないオーラがあるのでしょう。

2016年10月25日から2017年2月26日まで、東京の「森アーツセンターギャラリー」でマリー・アントワネット展が開催されます。王妃にまつわる貴重な品を約200点展示。彼女の息吹を、フランスの歴史を、身近に感じられるような貴重な展覧会です。

2016年9月12日

ジャコメッティの貴重な作品

個人秘蔵のジャコメッティの貴重な作品と、
ジャコメッティの作業風景や
コレクターとの友好を語る写真が展示されています。
スイス出身の20世紀を代表する彫刻家ジャコメッティといえば、針金のように細い人物像で有名です。彼のこうした作品を観るたびに、人間の孤独、悲しさ、弱さ、時には、はかなさが感じられてなりません。

ジャコメッティの代表的テーマ、ブロンズの人物像。
すべての不要なものを取り除いた、というより、はぎりとったような人物像は、手足が極端に長く、動きがまったくなく静止した状態で、これが人間の本来の姿かと怖くなることもあります。
ジャコメッティの親しい友人だった哲学者サルトルは、「人間の実在を表している」と評価していたそうです。
手前から、猫、ダチョウ、亀の像。
長年フランスで創作活動を行っていたジャコメッティと交流があり、コレクションを続けていた個人秘蔵の作品が、オークションハウスで競売されるそうで、それ以前の内覧会で貴重な作品をじっくり観賞してきました。

針金のような人物像を目の前に感慨にふけった後、ふと隣に目を移すとブロンズの猫の像がある。エジプトの猫を髣髴させるような姿だけれど、二本足で立っているのが興味深い。
人物像と同じに、これ以上細くなれない姿のダチョウの像もある。
ネズミがガリガリ引っかいているような
ユーモラスないす。一番気に入った作品です。

亀やネズミもいて、どちらも肉付きがあってなぜかホットしました。
これほどたくさんの動物を手がけていたのを知って、とても勉強になりました。

このオークションハウスは、もともと19世紀の邸宅。
その時代の装飾を残した部屋もあり、
18世紀、19世紀の家具や食器、絵、ジュエリーなどを展示。
壁や天井のリリーフが典雅です。




2016年9月11日

パリの犬たち 93

ボクは、かの有名な・・・・
そう、ハスキー犬だ。
この鋭さと知性があるブルーの瞳を見よ。
プロフィールもご覧の通り迫力がある。
凜としてきびきびした態度をいつも保っているけれど、
心はやさしく人懐っこい。
だから今日も、
赤い靴とハンドバッグでシテ島に向かうママンにお付き合い。
ここの鳥市を見るのが目的だワン。

2016年9月10日

マノロ・ヴァルデス 続き

左右に広がるヘアスタイルの女性。
スペイン生まれの彫刻家であり画家、マノロ・ヴァルデスの6つの秀作が、ヴァンドーム広場に展示されているとブログに綴ったばかりですが、見れば見るほど感激し、作品に呼ばれているかのようにまた観賞してきました。

レセプションの招待状にもあった蝶飾りの女性。
前回は3点の彫刻の写真を披露しましたが、今日ご紹介するのは残る3点です。
どの作品にも優美な静けさを漂わせる女性が描かれていて、傍にいるだけでいいオーラが体の中に染み入りそうです。

インパクトがあるヘアに比べて、おとなしそうな表情の女性。
ベラスケスやエル・グレコ、ピカソなどの巨匠の名作を、ヴァルデスは独自の感性で解釈し、立体感のある作品にしたその創造性は驚異的です。

ヴァンドーム広場に展示されている彼の作品は、太陽の動きで様々な変貌を遂げ、それを見比べるのも興味深い。
前衛作家マノロ・ヴァルデスは、現在ニューヨークを拠点としていて、今回の展示のためにパリに数日間滞在。

前衛作家マノロ・ヴァルデス。74歳。
数分しかいらっしゃらなかったのにお会いできて、
本当に幸運です。気さくで温かみがある人です。
今朝、再び広場に行って彫刻を観賞したり、写真を撮っていたら、何と、ご本人がいらっしゃるではないですか。もう、すごい感動!!
「ステキな作品をパリで展示してくださってありがとうございます。パリがますます芸術の街としての評判を高めます」
 などどいう会話に応じてくださり、記念にヴァルデスを作品の前で撮影しようとしたら、ステキな女性が
「父と一緒にどうですか?」
と声を掛けてくださった。
お嬢さまなのです。背が高く品のある服装で、ヴァルデスは彼女に柔和な微笑みを送っていました。何てステキな親子。ヴァルデスもシックな装いだったし・・・私ひとりがノーメイクで普段着。朝のお散歩に行く途中だったのです。

好天に恵まれ、作品がさらなる輝きを放ち、思いがけない出会いに恵まれた最良の日でした。 

2016年9月9日

秋、ア-トの季節

ヴァンドーム広場でマノロ・ヴァルデスの作品を展示しています。
長いヴァカンスを終えて、ア-トが開花する時期を迎えたパリ。
今、そうしたパリのヴァンドーム広場に、華麗な空気が流れています。
 彫刻家マノロ・ヴァルデスの6点の作品が展示されているのです。
オリジナリティあふれるヘアスタイルの女性像が全部で6点。

そのオープニングパーティー が9月8日にあり、ひさしぶりに会った友人たちと歓声をあげて再会を祝い、日焼けした顔をほころばせながら
「やっぱりパリはいいわね」
などと、シャンパングラスを交わす喜びは格別。

優雅な香りが彫刻から漂っています。
ヴァンドーム広場に展示されているマノロ・ヴァルデスの彫刻は、オリジナリティーあるヘアスタイルの女性像に圧倒されます。
均整の取れたヴァンドーム広場に、ゆったりと間隔を置いて展示されている姿は、うっとりするほど優美。広場を囲むルイ14世の時代の歴史を刻んだ建造物と、コンテンポラリーな彫刻が、違和感を抱かせず共存しているのが、いかにもパリらしい。そこには時の流れに左右されない永遠の美があるようです。

それぞれの女性の顔の表情が物憂げで、それも心が惹かれる要素のひとつ。
10月5日まで展示されているので、ぜひ足を運んで現代美術の素晴らしさを味わってください。

再会の喜びの歓声があちらこちらから上がります。