2017年7月31日

名女優ジャンヌ・モローの思い出

数々の名作で世界に名を轟かせていたフランスを代表する女優、ジャンヌ・モローが世を去りました。
89歳だったそうです。
85歳の年齢でも映画出演をしていた彼女は、多くの女優たちの憧れでした。

カンヌ映画祭50周年記念にジョン・ガリアーノの服で出席し、
華やぎをあたり一面に放っていました。
美容院や和食レストラン、カンヌ映画祭でお見かけしたり、イヴェントで言葉を交わさせていただいたり、何度かお目にかかる機会があり、そのたびに存在感がある典型的なフランス女性だという印象を受けました。

レストランなどでお見かけしたときには素顔で、ひとりの無名の女性として人生を楽しんでいる姿を見せ、女優として人前に出るときには、きれいなメイクと装いで華やかさと輝きを放っていた大女優。
自分の信念に従って生きている知的な女性だと惹かれたものです。

ジャンヌ・モローが主演映画で使用したバッグ。
自然体のジャンヌ・モローは、
「整形手術など絶対にしない。親からもらった顔を大切にする」
と言っていたのが今でも思い出されます。

彼女主演の映画で使用したバッグを、それを作ったアーティストから撮影後いただき、かのジャンヌ・モローが手にしたのかと感激。そのときから大切に大切に我が家に保存しています。

今では大切な宝物です。

2017年7月30日

シャネル 工事中もとてもおしゃれ

本店があるカンボン通りとサントノレ通りが交わる角で、シャネルの拡張工事が行われていることは、以前ブログでお知らせした通り。

カール・ラガフェルドが描いたココ・シャネルが、
道行く人を見ています。
見苦しい工事現場を、パリにふさわしくおしゃれなパネルで隠すのは随所で見られますが、さすがシャネル。ある程度工事が進んだ今、数ヶ月前のパネルから、着飾ったココ・シャネルが見下ろしている姿に模様替え。

この絵を描いたのはもちろん、カール・ラガフェルド。
底なしのアイディアの宝庫の持ち主ですネ。彼の不老長寿の秘訣をぜひ知りたい。

2017年7月28日

メトロの駅名は語る 49

Oberkampf
オベルカンフ(5,9号線)

クリストフ=フィリップ・オベルカンフ
プリント布地で王侯貴族を魅了したクリストフ=フィリップ・オベルカンフの名が駅名になっています。

1775年の暮らしを描いた作品。
名前からわかるようにオベルカンフはドイツ出身で、フランスで印刷、版画を手がけていました。
彼がヴェルサイユ近郊のジュイ・アン・ジョザスにリントの布地工場を創立したのは1760年で、ルイ15世の時世でした。

18世紀末の鹿狩りの光景。
インド風の更紗に様々な光景を木版、銅板でプリントした布地は、製作していた土地の名を冠して「トワル・ド・ジュイ」と呼ばれるようになります。 この地域に流れる川の質が更紗製造に適しているために、オベルカンフはジュイ・アン・ジョザスを選んだのです。

マリー・アントワネットが感化を受けた、
自然復帰を広めた哲学者ルソーのお墓。
トワル・ド・ジュイに施される田園、動物、花々、小鳥などのモチーフはロマンテイックで優雅で、マリー・アントワネットの格別のお気に入りとなり、工場に何度も足を運び、ついにルイ16世によって王立工場とされたほど。

1789年、革命が起きた年に製作した四季がモチーフの作品。
ナポレオンは業績を称え オベルカンフにレジオン・ドヌールを授け、トワル・ド・ジュイを訪問しています。現在はプリント生産されていますが、当時のモチーフを生かした製品多くの愛好者がいます。

2017年7月22日

パリの犬たち 136

アツイ、あつい、暑いよ~
アツイ、何と言っても暑い。
だから、みんな素足。
すずしそうでいいなぁ~

なのに、どうしてボクだけ毛をきてるの?
しかも、黒いのを・・・・
太陽の光がボクの骨の中にまでとどきそう。
ネェ、ナンとかして~

2017年7月18日

公園に植えた花にも意味がある。

ルーヴル美術館に隣接するチュイりー公園は、単にきれいに花を植えているのではなく、意味があるのです。
マーガレットがのびのびと植えられてるチュイルリー公園の花壇。
例えば、今、見られるのはマルグリット・ド・ナヴァールへのオマージュ。
彼女はフランスのル・ネッサンス期にふさわしい文芸の庇護者であり、自らも優れた執筆を行っていた才女。

花壇の一角に説明があり、いろいろ学べます。
レオナルド・ダ・ヴィンチをはじめ、多くの巨匠をイタリアから招き、フランスにルネッサンスの花を咲かせた「ルネッサンスの父」、フランソワ1世の姉君です。

フランス・ルネッサンス期にふさわしい、
文芸の庇護者マルグリット・ド・ナヴァール。
(1492-1549)
チュイりー公園ではマルグリット・ド・ナヴァールを称える花壇をいくつも造り、彼女の名にちなんでマーガレットの様々なフォルムの花を植えています。

このように日常生活の中で、ごく自然に文化や歴史を学べるのは素晴らしいことです。

2017年7月17日

メトロの駅名は語る 48

Stalingrad
スターリングラード(2、5、7号線)

ソ連のヴォルガ川西側のスターリングラードは、第二次世界大戦の激戦地でした。当時のソ連最高指導者スターリンの名を冠した工業都市でしたが、1961年に名が変更され現在ヴォルヴォグラードと呼ばれています。

ヴォルガ川から上陸するソ連兵たち。
1942年6月から1943年2月まで続いたこの戦いは、ドイツ、ルーマニア、イタリアを中心した国々とソ連軍の戦いで、フランスは参戦していませんでした。
それなのにパリのメトロ名になったり、広場名になっています。

激戦の跡が生々しく残るスタリングラード。
というのは、このスターリングラードでドイツが大敗し、ドイツ支配下にあったフランスが自由を獲得する道が開かれたからです。それだけでなく、第二次世界大戦終結へと向かったのです。

スターリングラード攻防戦の
ソ連司令官のひとり、
ワシーリー・イヴァノヴィチ・チュイコフ。
大恩あるスターリングラード攻防戦。それを忘れないようにパリにも名が残されているのです。
戦後フランス大統領になったドゴールは、戦争終了前にスターリングラードに行き感謝の記念碑を捧げています。それほど重要でした。

2017年7月16日

パリの犬たち 135

ファミリーでショッピング。
「今日はたくさんのお買い物があるから、君も手伝ってね」
とママン。
性格がいいボクはにっこり笑いながらお返事。
「もちろんだよ」
パパとママンと3人(?)で楽しいショッピング。
ドッグフードを自分で運ぶボクは親孝行でしょ。

2017年7月15日

ドナルド・トランプ、パリ祭に招待される

マクロン大統領初のパリ祭に、アメリカ大統領ドナルド・トランプが招待されました。その理由は、第一次世界大戦にアメリカが参戦したのが1917年4月で、今年は100年記念の年にあたるため。


フランス、イギリス、ロシアを中心とした連合軍が、ドイツ、オーストリア=ハンガリー、トルコの同盟軍相手に戦いを繰り広げ、窮地に陥っていましたが、アメリカの参戦によって連合軍が勝利を得たのです。

その感謝の意を表すためにトランプ大統領をパリ祭に招待。彼と肩を並べながらアメリカ軍も特別参加した華麗な行進を見るマクロン。大物に思えました。

7月14日の祭典の前日にパリに到着したアメリカ大統領夫妻を、マクロン夫妻はアンヴァリッドで出迎え、マクロンが自らナポレオンのお墓を案内。
夜はエリゼ宮ではなく、パリのシンボルのエッフェル塔内のレストランに招待し、四人で親しい友人のようにリラックスした会食。
新たしい時代到来を形で表すマクロンのアイデイアが、あちらこちらに感じられます。

トランプ大統領はアンヴァリッドでブリジット・マクロンに会った際に
「いいスタイルをしている、素晴らしい」
と思わず口走り、様々な国で話題になっています。
女性軽視の彼にしては、大変珍しい。
それほどブリジットがステキな女性である証拠。

マクロンはトランプと会談を行いパリ協定に留まるよう説得したけれど、いい回答を得られなかったよう。でも諦めるわけにはいかないと、今後も説得を続ける意志を表明。秋にまた交渉の機会を持ちたいと前向きです。

トランプ夫妻がアメリカに戻られた後も祭典は続き、シャンドマスルで世界中からオペラ歌手が集まり、クラシックコンサート。その後は、花火。
フランス各地でもお祝いの舞踏会、コンサート、花火が朝方まで続き、共和国誕生のイヴェントは年々内容豊かになっています。

ちなみに、日本ではパリ祭と呼ばれていますが、フランスでは「国民祭」 あるいは「7月14日」とよばれ、共和国誕生をお祝いする祭日。

2017年7月12日

パリの犬たち 134

せっかくのチャンスなのに・・・・
ワタシの写真をとっている人がいる。
もしかしてモデルにスカウトするのかも、
あるいは映画の主役かも。
正面からちゃんと撮ってもらいたいから、
そんなに引っ張らないで。
ネェ、デビューのチャンスになるかもしれないから・・・
と声を張り上げたけれど、完全に無視された大不満の日。

2017年7月9日

ル・ブリストル ホテルのガーデン・パーティー

通常、6月末に開催されるル・ブリストル ホテルのガーデン・パーティーが、なぜか今年は7月のオートクチュール最終日でした。

ホテルの中庭に高らかに響き渡るサクソフォンの軽快な音色。
喜びと楽しさが一挙に盛り上がります。
このガーデン・パーティーは毎年楽しみにしている行事で、友人たちと再会を大げさに喜んだり、ドリンクを片手にしながら軽快な音楽に乗って踊ったり。

色鮮やかな服装の招待客たち。
夏の夜にふさわしいパーティー。
気候がいい季節なので招待客は軽装。それがまたパリらしくていい。
天気予報では雨が降るかも知れないとのことで、ガーデン・パーティーはどうなるのかとっても心配でした。

成熟年齢の方々のシックな世界。
同行したフランス人友人によると、
左側の高齢の女性が個性的な服装で素晴らしいそう。
やはり女性の見方が違うのですね。
でも、さすが、接客に長けているホテルの方々の機転で、中庭とそこに隣接するサロンの両方にビュッフェを準備。その2箇所を行ったり来たりしていると、楽しみが倍増されたよう。

大の仲良しのエルヴェ、ブリューノと出席。
パーティーで美味しいお料理をたっぷりいただいたのに、
この後レストランでディナー。家に戻ったのは真夜中過ぎ。
フランス人とのおつきあいには丈夫な胃が必要。
シャンパンを手にあちこち移動できるのは、自由を尊ぶパリにぴったり。
3つ星レストランを誇っているホテルだから、お料理は文句なしに美味しい。フレンチだけでなく、お寿司もその場でにぎっていて、そこの長い列がとぎれない。

招待状も飛び切り優雅。
私の愛猫シャトレがテーブルについているよう。
なので、記念にキープ。
時折高らかに鳴るサクソフォンの軽快な音色が、夏の日のパーティーを盛り上げていました。

2017年7月8日

ブシュロンとヴァン クリーフ&アーペルのハイジュエリー

ブシュロンとヴァン クリーフ&アーペルのニュー・コレクションが、ファッションウィーク中に披露され、ますます輝きが増すパリ。

それぞれのメゾンの特徴がジュエリーで表現されているのは、本当に驚くべきことです。
同じ貴石を使用しているのに、デザインと職人の技術によって、これほど多種多様なジュエリーが生まれる。想像をはるかに超えるクリエーションです。 自然の創造力も素晴らしいけれど、人間の才知も素晴らしい。


ブシュロンのテーマは「冬の帝国」
雪、氷、白樺の間に展示されるジュエリーには、
ロマノフ朝を彷彿させるような気品と威厳があります。
稀に見る逸品ばかり。
今回のヴァン クリーフ&アーペルは
ジュエリーにそれぞれ思わぬ秘密があって、
見えない箇所にセッティングした細工に指で触れるだけで、
孔雀が羽を広げたりたたんだり、
鯨の口の中の帆船がゆっくりと出てきたり。
そのテクニックの凄さは驚異というほかありません。

2017年7月7日

ディオール 宝石で飾ったヴェルサイユ宮殿の庭園

クチュールの華麗な歩みを装飾芸術美術館で開催し絶賛を浴びているディオールが、引き続きハイジュエリーで幻惑の世界へと招き、人生が輝きに満ち満ちている日々。

ハイジュエリーの展示会場入り口から、
ヴェルサイユ宮殿の庭園が始まります。
本社の入り口から3階の会場にいたるまで、すべての階段の手すりには花とアイビーが飾られ、ハイジュエリーが展示されているサロンの入り口には花々とリーフのアーチ。その奥の壁はどこもかしこもグリーンでうずまり、ところどころに優美な表情を浮かべる彫刻が飾られている。

ヴェルサイユ宮殿の庭園に招かれたような錯覚を起こします。
そう、そこはフランスの栄華の象徴、ヴェルサイユ宮殿の庭園なのです。
それをテーマとした 66点のハイジュエリー。その素晴らしさは言葉では表現できないほど。ただただ息をのむばかり。 お写真で堪能してください。最初の2点がリング、その後の3点がネックレス。


2017年7月5日

ディオール 70年周年記念展覧会

クリスチャン・ディオールの生涯の一部を語る
貴重な写真から展覧会は始まります。
クリスチャン・ディオールが最初のコレクションを発表したのは1947年。
今年はその70年周年記念の重要な年。

ディオールに新風をもたらせた、
デザイナー、ガリアーノの代表的作品。
この記念すべき年ならではの大回顧展を、リヴォリ通りの装飾芸術美術館で約半年間開催。
そのヴェルニサージュが、オートクチュール・コレクション発表でパリが一段と華やぐ7月3日に行われました。

ヴェルサイユ宮殿における王朝文化を味わえる展示室。

マリー・アントワネットが姿を現すのではと思わせるコーナー。
モード界を長年にわたってリードしているメゾンだけあって、作品数は膨大。その一点一点が稀に見る宝物のような存在。

自然を愛したクリスチャン・ディオールにふさわしい、
花園に招かれたような展示室。
異なる時代のデザイナーが手がけた作品が、
きれいなハーモニーを奏でます。
創立者から数えると7人目の女性デザイナーが現在クリエーションを担当しています。
7人のデザイナーはそれぞれ個性があり、しかも、クリスチャン・ディオールが手がけていたスタイルを継承している。そこにこのメゾンの素晴らしさがある。

高い天井まで届くように飾られた優美極まりない作品に、
ため息が出るばかり。
部屋全体の色が次々に変わる演出。
離れがたい場所です。

言葉では表現できないほどの素晴らしさ。
展覧会はディオールの貴重な子供時代や家族の写真に始まり、その先に進むに従って様々なテーマごとにドレスが飾られています。例えば、赤やグレーをテ-マにしたり、庭園や、18世紀をテ-マにしたりと。

著名な女優さんたちが身につけたドレス。
後方のスクリーンで彼女たちの晴れやかな姿が見られます。
そのほか、各デザイナーごとにまとめた展示部屋もあるし、世界的に有名な女優さんが身につけたドレスが並ぶ、一段と華やかなコーナーもあります。

特に感動するのは最後の展示室。見上げるばかりに高い天井にいたるまで、代表的作品が並び、しかも、展示室全体がブルーや紫に変り、光の粒が舞い降りてくるという演出。

裏手にあるお庭で、シャンパンで乾杯。
右から、婦人画報編集長富川さん、
ラグジュアリー メデイアグループ編集局長十河さん、
私、クリスチャン・ディオール ジャパン社長ラフェイさん、
25ans編集長長井さん。




いろいろな国で、いろいろな特別展を見る機会が何度かありましたが、これほどの感動を受けたことはありません。

この回顧展を見るために、日本からパリまで来る価値が大いにあるといえるほど。
私も何度も足を運ぶつもり。今日も参ります。

2018年1月7日まで
107 rue de Rivoli
75001 Paris

2017年7月3日

ショーメ、画期的な祭典

楽しい色が飛び散る祭典会場。
センターのドリンクコーナー。
ハイジュエリーの老舗ショーメから、7月2日、某所で祭典を開催しますとお誘いを受けましたが、その会場は到着するまで秘密。

「ドレスコードはソワレ」と招待状に書かれているので、それにふさわしい装いでヴァンドーム広場のショーメ本店に集合。

物語の世界に招かれたよう。
椅子の形がひとつひとつ異なるしカラフル。右手には着飾ったお馬さん。
ショーメ本店前には何台もの1930年の貴重なアンティックバスが待っていて、それに乗って会場に向かっている間も
「いったいどこに行くのかしらね」
と話題はシークレット会場に集中。

複数のシェフがお料理をその場で作ります。
出来立てのお味はやはり違います。
珍しいバスがパリ市内を走っているので、
道行く人が興味深く見たり、写真を撮ったり。
セーヌ川沿いに東に向かい、到着したのは、不思議な雰囲気があふれる建物。

意を決してなつかしいメリーゴーランドに乗ってみました。
意外と速く動くのでしっかりつかまりドキドキ。
種類が異なるメリーゴーランドやゲームがいくつもあり、童話に登場するような馬が壁際や天井近くに飾られている。何と遊園地博物館なのです。珍しいのでさっそく探検。
ゴージャスなショーメのハイジュエリーは言葉を失うほど。

そのうち会場が暗くなり、音楽が流れ、鏡張りの円形の舞台の上にショーメのジュエリーをまとったマヌカンが登場。その煌びやかな輝きは目眩を覚えるほど。
「想像をはるかに超える企画だわ」
と絶賛の声があちらこちらから聞こえます。

こうした世界に身をゆだねる心地よさは格別。 カラフルでシックでゴージャスで楽しいショーメのソワレ。帰りは黒塗りの乗用車でそれぞれ送ってくださり、いたれりつくせりでした。
祭典は中庭にも広がります。