2017年8月9日

地中海で輝くマルタ共和国

東京の約半分ほどの小さな共和国マルタ。
規模は小さいけれど、古い歴史と混じりけのない濃いブルーの海に囲まれた、魅力たっぷりの島です。

首都のヴァレッタ。
パリから飛行機で3時間弱の距離。
こんなに近いのに、歴史も文化も言葉も異なる別世界なのが不思議。
この小さな共和国の首都ヴァレッタがあるマルタ島と、巨石文化があるゴゾ島訪問が目的の旅です。

旧市街入り口近くにある「トリトンの噴水」。
ギリシャ神話に登場するトリトンは海の神さまで
上半身が人間で下半身が魚。
ヴァレッタは大活躍をした騎士団長ジャン・ド・ヴァレッタにちなんで命名されました。

11世紀、聖地エルサレムを訪れるキリスト教巡礼者のために、洗礼者ヨハネ修道会跡に病院が建築され、そこに聖ヨハネ修道会が設立されます。

ところが聖地エルサレムをめぐって争いがおき、巡礼者を守るために修道会は武装するようになり、12世紀から聖ヨハネ騎士団として軍隊の役割を果たすようになったのです。

街の中心にある騎士団長の宮殿。
13世紀から14世紀にかけて大敗した聖ヨハネ騎士団は、ロードス島に本拠を移し、そこも追われマルタ島に移住します。

16世紀、マルタ島の騎士団はオスマン・トルコ軍の襲撃を受けます。けれども、有能な騎士団長ジャン・ド・ヴァレッタの功績で見事に撃退。
騎士団は名前が変りマルタ騎士団となり、団長ヴァレッタの名が街につけられたのです。

16世紀に洗礼者ヨハネを称えるために、マルタ騎士団により建築された聖ヨハネ大聖堂。
絢爛豪華なバロック様式は目眩を覚えるほど。
床には重要な騎士たちの紋章を刻んだ大理石の墓碑があり、
その下にそれぞれ騎士が葬られています。
いろいろな国でバロック建築を見たけれど、
この華やかさには圧倒されました。
マルタ騎士団が建築した聖ヨハネ大聖堂は声を失うほど圧巻のバロック。
それだけでなく、奥まったところにある礼拝堂には、絵画史上重要なカラヴァッジョが手がけた傑作、「洗礼者ヨハネの斬首」と「聖ヒエロニスム」があります。

どこまでも続くバルコニーつきの建物。
独特な色合いの石灰岩、マルタストーンで建築。
細い道、坂、階段に象徴される街です。
バレッタの多くの建造物はバロックで、街全体が世界遺産に登録されています。
建築に使用されているマルタストーンと呼ばれるピンクがかった石灰岩は、ほかで見られない美しい色合い。坂、階段、細い道をはさんだバルコニーつきの建物には、独特の情緒があり、過ぎ去った何世紀も前の国にいるような錯覚をおこします。

何度もくり返し日焼け止めクリームを塗っていました。
日差しの強さは半端ではないのです。
マルタ島でかかせないのは、ブルー・グロット、ブルーの洞窟です。
小舟に乗って、洞窟の中をあちらこちら周り、深いブルーの色を堪能するのです。
その澄み切った色の素晴らしいこと。やはり地中海はいい。陸から遠いほどキレイ。
小舟に乗る前に上からブルーの海を堪能。
同じ趣味を持っているらしい鳩さんと一緒にうっとり。
このブルーの深みはきっと生涯脳裏から離れない。
洞窟の中を探検。どこまで続く感動的なブルー。
マルタ島の北端からフェリーで30分足らずのところにあるゴゾ島には、世界最古といわれている巨石文化があります。
マルタ島の外れまでバスに乗り、
そこからゴゾ島行きのフェリーに。
紺碧の地中海を足元に感じながら、
爽やかな風に身をゆだねる心地よさは最高。



ゴゾ島のジュガンティーヤと呼ばれる神殿は、何と石器時代のもので5500年前に造られたそうで、エジプトのピラミッドより古いのです。
世界最古の巨石文化。
5500年前に造られたジュガンティーヤ神殿。
石器時代の建築と知って、人間の歴史の長さに改めて驚きます。
 もっとも高い部分は6メートルもあり、祈りの場にふさわしく祭壇もある。
祭壇といってもデコボコの石を積み上げただけの素朴なもの。
それだけに心の奥深くに響く感動があります。

タピーネ教会。
奇跡で不治の病から救われた人々の
感謝の手紙が多数展示されています。
ゴゾ島には巡礼者が後をたたない教会もあります。
農婦が聖母マリアさまの声を聞き、その後数々の奇跡がおきた地にあった小さな教会が、時と共に立派な建造物になったタピーネ教会です。
教会は草原の真っ只中にあり、聖母マリアさまの声が聞こえるのにふさわしい清らかさが広がっています。

対岸から見るマルタ共和国の首府ヴァレッタ。
夕暮れの美しさも見逃せない。
 フランス領になったり、イギリス領になったり、起伏に富んだ歴史があるマルタ共和国。
 豊かな歴史、文化、親切な人々に出会える国。またぜひ行きたい。

マルタが誇るガラス工芸品。
白が多い我が家のサロンにぴったり。
この国の特産品はガラス工芸品だそうで、もちろんひとつ買いました。
記念に買った花瓶は、アパルトマンのサロンのマントロピースの上で、あの忘れえぬブルーをたたえながら、毎日幸福感に包んでくれています。

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