パリの北東のシャンパーニュで有名なランスには、二つの重要な教会があるので、クリスマスにはことのほか賑わいます。
重要な教会のひとつはサン・レミ・バリジカ。
サン・レミ・バジリカの 正面向かって右側の彫刻が特に素晴らしい。 |
バジリカ内にあるサン・レミ司教の霊廟。 フランク王国初代国王クロヴィスに洗礼を授けた司教です。 |
霊廟の内部。 厳かな雰囲気があり身も心も引き締まります。 |
クロヴィス国王はランスでサン・レミ司教から洗礼を受け、カトリック教徒になります。
その地には401年に建築された教会があり、クロヴィスがそこで洗礼を受けたのは498年(496年、49年説もあり) 12月25日でした。
10世紀になると司教をたたえる教会が建築され、そこにサン・レミ司教の霊廟が置かれ、サン・レミ・バリジカと呼ばれようになりました。
ロマネスク様式、ゴシック様式、ルネッサンス様式を取り入れたサン・レミ・バリジカは、厳かでいかにも祈りの場にふさわしい教会です。
もうひとつの重要な教会がノートル・ダム大聖堂。
周囲にクリスマス・マーケットが広がっているけれど、 徹底的な寒さで長くいられない。 |
日本人になじみ深いルイ14世、ルイ15世、ルイ16世も戴冠式を行いました。
1775年、ランスのノートル・ダム大聖堂でのルイ16世の戴冠式。 |
苦境に陥っている王太子の軍の先頭に立って戦い、勝利をものとし、王太子はランスのノートル・ダム大聖堂でフランス国王になる戴冠式を執り行い、シャルル7世となったのです。
このころからランスでの戴冠式は、世界の注目を集めるようになります。
「微笑みの天使」像。心が和みます。 |
いつまでも見つめていたいほど柔和な笑顔。 |
見ている人も自然に微笑みが浮かんでくるような、寛大で親しみ深い笑顔。
ノートル・ダム大聖堂はゴシック様式で、威厳に満ちています。
けれども「微笑みの天使」の彫刻には、表情があらわれています。そのためにこの部分は、ゴシック後に現れるルネサンス様式の先駆けとみなされています。こうした天使がいるのなら、やはり天国は平和でいい国にちがいないと思えます。
ブルーが多いステンドグラスもどれも美しく、ただただうっとり見とれます。
高い天井まで届くようにステンドグラスがほどこされ、 そのどれもが宝石のような輝きを放っていて鮮やか。 |
シャガールによるステンドグラス。 13世紀と同じ手法で旧約聖書、新約聖書を主に描いています。1974年作。 |
彼女のお陰でランスのノートル・ダム大聖堂で聖油を受け、正式にフランス国王になれたシャルル7世だったのに、ジャンヌが敵につかまり宗教裁判で魔女の汚名をきせられ、19歳で処刑されたとき、手助けをしなかったシャルル7世。
ジャンヌ・ダルクの像。 1920年にジャンヌは聖人とされ、今では聖女ジャンヌ・ダルクです。 |
でも感謝したいこともあります。以前はダイヤモンドは男性のみの特権だったのが、この国王が女性に許可したこと。
彼の愛する公式愛妾、アニエス・ソレルがダイヤモンドを付けられるよう、
ある日急に決めたことでした。
理由はともあれ、女性がダイヤモンドを身に付けられるようになったのは、シャルル7世のお陰。そういう意味で、とてもいいことをした国王です。
よいクリスマスを! Joyeux Noël! |
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