2018年4月11日

メトロの駅名は語る 79

Pyramides
ピラミッド(7、14号線)

ナポレオン・ボナパルト将軍の「ピラミッドの戦い」を記念する名です。

インドとの交易をしていた宿敵イギリスに打撃を与えるために、その通り道のエジプトを手中に治めようとエジプト遠征を決行したのは、ナポレオンが皇帝になる前のボナパルト将軍の時代でした。

当時のアレクサンドリア港。
イギリス艦隊が見張っている地中海を無事に渡り、オスマン帝国の支配下にあったエジプトのアレクサンドリア港に上陸したのは、1798年7月1日。

現地のマムルーク軍相手に激戦を繰り広げながら、カイロ近くに到着。
そこから遠くにあるピラミッドを目にとめると、ボナパルト将軍は兵士たちを鼓舞するために、歴史に残る言葉を発します。

「兵士たちよ、あの頂上から4000年の歴史が諸君を見下ろしているのだ」

遠くに見えるピラミッドを示しながら、
兵士たちに勇気を奮い立たせる言葉を発する、若干29歳のボナパルト将軍。

7月21日、カイロ近郊で大勝利を得たボナパルト将軍は、この戦いを自ら「ピラミッドの戦い」と名付けます。

カイロを誇らしげに歩くナポレオン・ボナパルト。
実際にはピラミッドは、はるか彼方に見えていただけでしたが、さすが幼いころから英雄伝を読んでいたナポレオンだけあって、言葉選びが抜きん出ています。

たしかに「カイロの戦い」とせず、「ピラミッドの戦い」とする方が、はるかに印象的です。

彼は、人の心を捉える有力な話術を持っていた、稀に見る人物でした。

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