2019年10月5日

ジェフ・クーンズ、チューリップの花束をパリ市に

挑発的な彫刻で話題を振りまいているアメリカ人のジェフ・クーンズ。ヴェルサイユ宮殿やポンピドゥーセンターで展覧会を開催し、知名度が高いのですが、あまりにも個性的でアートに理解が深いパリでも賛否両論。

そのジェフ・クーンズが10月4日にブーケをパリにプレゼント。11本のカラフルなチューリップを手に持つ巨大な彫刻で、アメリカの自由の女神像からヒントを得たそう。自由の女神像はアメリカ独立100年記念にフランスからアメリカへのプレゼント。今回の寄贈は2015 -2016年のフランスで起きたテロの犠牲者へのオマージュだそうです。製作費は350万ユーロでアメリカとフランスのメセナの寄付金で実現できたとのこと。

ジェフ・クーンズ作の「チューリップのブーケ」は
シャンゼリゼ公園に設置されています。
プティ・パレの裏手の眩しいほどカラフルなブーケが、
パリに新たな息吹を散りばめています。

ジェフ・クーンズの彫刻は何しろカラフルで目立つ。歴史的建造物が多いパリのどこに置くか、パリにはふさわしくないなど意見が飛び交い、3年間あれこれもめた結果、やっとプティ・パレとコンコルド広場の間のシャンエリゼ公園に設置することが決まりました。

どの角度から見ても鮮やか。

通常12本の花のブーケをプレゼントするのですが、
このブーケは11本。
1本少なくすることによって
犠牲者へ思いを馳せて欲しいと
作者はインタヴューで答えています。

高さ12m、重量34トンのブロンズ、鋼鉄、アルミニウムを使用したバルーンのフォルムのチューリップのブーケが、女性の手にしっかり握られ力強く空に向かっている彫刻には、明るい未来や希望が込められているようです。自然の生命力の強さと美しさも感じられます。春先にいち早く可憐な姿を見せるチューリップは、誰にも好かれる花。子供も知っている花。

空に向かって高々と捧げられるチューリップのブーケ。
清々しくフレッシュで私はとても好きです。

ジェフ・クーンズの作品は濃い色が多いのですが、
これはオーマジュのブ―ケなのでおさえた色合い。
品格あるチューリップです。
1900年に建築されたイオニア式列柱の均整が取れたプティ・パレの裏手にある公園で、今世紀を象徴するかのようなアシメトリックで色彩豊かな彫刻。コントラストが大きく、パリが急に若返ったようにさえ感じます。今後ジェフ・クーンズのこの彫刻は、パリのモニュメントの仲間入りをするのでしょうか。本人はそう願っているそうです。いずれにしても新しい試みをするパリジャン、パリジェンヌの勇気ある決断は立派。芸術の都パリにふさわしい。このようにして変わらないようで変わっていくパリなのです。

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