昨年末の12月2日に94歳で亡くなった、ヴァレリー・ジスカールデスタン元大統領の名前が、オルセー美術館とその付属のオランジュリー美術館に加えられることが決まりました。この案が提出されたのは、ジスカールデスタン元大統領が亡くなった直後で、多くの人が賛成していましたが、2021年3月29日、正式に決定されました。
今後はオルセー美術館ヴァレリー・ジスカールデスタン、オランジュリー美術館ヴァレリー・ジスカールデスタンとなります。
アメリカのカ―タ―大統領(左)とジスカールデスタン大統領 1978年。 |
47歳で大統領になったジスカールデスタンはリベラルで、フランスの改革を次々に実現した、有能な政治家でした。TGVのプロジェクト、原子力発電、サミット会議の提唱など、若い大統領らしく矢継ぎ早に近代化を図った他、女性の権利を高めることにも貢献し、シモーヌ・ヴェイユ厚生大臣を全面的に支持し、妊娠中絶を合法化しました。
1900年に建設されたオルセー駅。1905年の写真。 1 |
1900年代初期の駅の構内。駅でありホテルでもありました。 当時の面影を最大にいかしてオルセー美術館になっています。 |
1900年の万博に合わせて、オルレアン鉄道が建設させたオルセー駅は、1939年に駅としての役目を終えました。取り壊す案まで出て、その行く先が案じられていたのですが、1977年、大統領だったジスカールデスタンが美術館にする提案をし、19世紀以降の美術品が展示するようになったのです。正確には、第二共和政が生まれた1848年から、第一次世界大戦がはじまった1914年までの、絵画、彫刻、家具などで、馴染み深い印象派の作品が多く、世界中からの訪問者が絶えません。
ヴァレリー・ジスカールデスタンが亡くなった時には、美術館に彼の写真を飾って衛兵が見守り静かなオマージュをささげていたのが、感動的でした。
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