2021年6月2日

ショーメ、華麗な「ジョゼフィーヌとナポレオン展」

 2021年はナポレオン没後200年周年の年。命日の5月5日に、マクロン大統領はフランス学士院で、ナポレオンの数々の偉大な業績を称える演説を行い、その後、アンヴァリッドのナポレオンのお墓に立派な花輪を捧げました。

この記念すべき年に、いくつか催しがありますが、そのひとつは、パリ北東にあるヴィレットでの大規模なナポレオン展。

パリ中心にあるヴァンドーム広場に面した高級宝飾店ショーメでは、「ジョゼフィーヌとナポレオン展」をオーガナイズし、類まれなふたりにちなむ多くの貴重な品々を展示。ショーメが保管している秘蔵品はもちろん、ナポレオン財団、ルーヴル美術館、マルメゾン城、フォンテーヌブロー城、カルナヴァレ博物館所蔵の作品も多く、絵画、ジュエリー、オブジェ、デッサン、手紙など多岐にわたる充実した内容です。

展覧会はショーメ本店の二階のグランサロンで開催。
本店は18世紀の旧邸宅をリニューアルした由緒ある建物。
大理石の階段も、彫刻をほどこした柱も高い天井も、
優美な生活が営まれていた時代の面影を残しています。

1780年に創業したショーメが、第一統領だったナポレオン・ボナパルトに気に入られたことは、その後の画期的飛躍に不可欠でした。無敵のナポレオンが不動の地位を獲得し、1804年12月にノートルダム大聖堂で皇帝になる戴冠式を執り行った際に、手にする剣の制作をショーメに依頼します。そこには、フランス国王の秘蔵品だった、140,5カラットものダイヤモンドがはめられ、ブルボン朝とはり合うナポレオンを大いに満足させたのです。この時から、ショーメはフランス皇室ご用達の栄誉に輝いていました。

革命前の華やかな宮廷生活を復活させ、フランスの偉大さを諸外国に見せたかったナポレオンによって、宮廷の女性たちはティアラをつけるようになり、ショーメは大きな発展を続けます。粗野なナポレオンと正反対に、優美なジョゼフィーヌはメゾンの高貴なミューズだったのです。

ナポレオン皇帝の帝政時代を飾った妃ジョゼフィーヌ。
1809年作のジョゼフィーヌのパリュール。

ジョゼフィーヌのカメオのパリュール。
彼女のセンスを取り入れた秀でたジュエリーは、王侯貴族の憧れでした。

美しいものに限りない愛着を持っていたジョゼフィーヌは、
服装も歩き方も自ら工夫し、
フランスのエレガンスをヨーロッパに発信していたのです。

美しいものをこよなく愛したナポレオンの妃ジョゼフィーヌは、ジュエリーに目がなく、次々にショーメにオーダーし、フランスのエレガンスの代名詞的存在だったジョゼフィーヌのお蔭で、ショーメの名声は国境を越えていったのです。このような華やかな歴史を持つショーメは、ナポレオン皇帝夫妻と深い絆があり、ナポレオン没後200年周年の年に、エキシビションを開催するのは大きな意義があります。

ジョゼフィーヌが愛用していた靴と小物入れ。

ナポレオンの偉業を表すモチーフのセーヴル焼き。

ブルーを基調とするグランサロンの展示会場にいると、
現実は遠くに去り、まるで魔法の世界に招かれたよう。


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