2021年7月16日

カルナヴァレ博物館の魅力

 4年もの長い歳月をかけて修復工事を行っていた、カルナヴァレ博物館が再オープン。展示品は62000を超えるパリ歴史博物館だけあって、中身が濃い。

革命に関する本を書いているときに、何度も訪れているので、修復後、どのようになったか興味津々。でも、コロナ騒ぎでずっと行かれず、やっと訪問が実現。私の目的は革命時代なので、そこに一直線。

かなり近代化され、便利になったけれど、以前のように、館の建築当時の16世紀の趣きが感じられず、ちょっとがっかり。でも、展示の方法がとてもわかりやすく、子供でも見てすぐに理解できるような配慮がうかがえるのは素晴らしい。ここでは、パリの歴史をたっぷり学べる。

入り口を入ってすぐに見えるルイ14世の像。
後方に、この貴族館が建築された16世紀の優美なリリーフが見えます。

マリー・アントワネットが履いていたとされる靴。
ヒールは低く、リボン飾りをつけるのが王妃の好み。

マリー・アントワネットの強敵だった、
ルイ15世の愛妾、デュバリー夫人のプレート。中央に彼女のイニシャル。
彼女がルイ15世のために晩餐会を開催した、1771年9月2日に使用。

タンプル塔に幽閉されていた、ルイ16世夫妻の息子ルイ・シャルルの遺品。
額の中にルイ・シャルルの持ち物が詳しく書かれています。
靴下何足、ハンカチ、肌着、タオルがそれぞれ何枚というように。
タンプル塔で王子の世話をしていた人の1792年の記録。


タンプル塔で王子が遊んでいたゲーム。
あまりにも粗末で、心がいたみます。

チュイルリー宮殿に国王一家が暮らしていたときに、暴徒が押しかけ、荒され、もっと厳重に監視ができる場所にと選ばれたのが、タンプル塔。馬車に乗せられ、パリ市を、まるで見世物のようにグルグル回り、ヴァンドーム広場に着くと、いったん停車。

ヴァンドーム広場にあったルイ14世のりりしい騎馬像。
国王の左足の部分が展示されています。

何故なら、そこには、ルイ14世の誇らしげな騎馬像があり、それを革命家たちが壊し、無残な姿になっていたのです。それをルイ16世と王妃に見せつけるために、わざわざ止まったのです。その像の国王の足の部分がカルナヴァレに展示してあり、あまりにも大きく、びっくり。
もうひとつ、面白いのは、バスティーユが監獄だった時代に、そこに閉じ込められていた囚人ラチュードが、脱出のときに使用した縄梯子。

35年間も監獄に閉じ込められていたラチュードは、
その間に3回脱出に成功。そのさいにつかった縄梯子を革命後パリ市に寄贈。
革命が終り、ラチュ―ドは釈放され、自由のシンボルだ、ともてはやされたそう。

こうした、革命にちなんだ多くの貴重な品は、いつ見ても感動。もともと貴族館だったカルナヴァレ博物館には、洗練を極めた18世紀の貴族の部屋も再現されていて、フランスのアール・ドゥ・ヴィーヴルも堪能できます。

国王の側近だった由緒ある貴族、ブルトゥイユ家のサロンの一部を再現。

約2時間ほど見て回り、この続きはまた後日に、と中庭に出ると、大勢の人が幸せそうにティータイムを楽しんでいるので、私も仲間入り。貴族たちが暮らした館の庭園で味わうお茶は、一味違います。館の外壁に施されたカリアティッドのリリーフが、当時のままなのが、いかにも歴史の宝庫、マレ地区らしい。

博物館の中庭は、おしゃれなレストラン・カフェ。


ステキな雰囲気に誘われて、私も中庭へ。ドリンクと軽食を楽しめます。

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