2023年1月9日

アンジェリーナ 創業120年記念の年

 パリでもっとも優雅なサロン・ド・テ「アンジェリーナ」。1903年創業なので、今年は120年の記念すべき年。そうでなくても連日長い行列ができるのに、いつもよりずっと多くの人が並んでいる感じ。もっとも、今は、ガレット・デ・ロワの時期なので、それもあって長蛇の列なのかも。

リヴォリ通りの名所となっているアンジェリーナ。

一年中、長蛇の列。

リヴォリ通りにサロン・ド・テをオープンしたのは、オーストリア人のパティシエ、アントン・ランベルマイヤーとその息子ルネ。すでに南仏で好評を得ていたので、首都パリにもと意を決して、1903年にベルエポックにふさわしい優美なインテリアの店舗をオープン。

創業した1903年のアンジェリーナ。
今も当時の面影が克明に残っているのが魅力。

メゾン特有のこってりとしたモンブランとホットチョコレートは、またたく間にお洒落なパリジェンヌ、パリジャンを魅了。それに加えてプルーストやシャネルが愛用していたとあって、その名は世界に轟くようになったのです。店名「アンジェリーナ」は義理の娘の名で、この名の響きがまたロマンティックで、エレガントなインテリアにぴったり。長い行列を作ってでも、やはり本店に入ってみたいもの。

ノーブルな雰囲気は心を躍らせるほど。

オーストリアのカフェの歴史は古く、ナンと1685年からあるそうだから、すごい。コーヒーやスイーツを口にしながら、着飾った紳士淑女の社交場になっていたからには、お味もインテリアにも、当然、それなりの工夫がなされていたのです。そうした事をガイドブックで読んでいた私は、ウイーンに行った時には何が何でも名高い「ザッハー」と「デーメル」に行くと張りきり、きちんと列に並んで順番を待ちました。

ハプスブルク家の人々がスイーツが大好きで、オーストリアのケーキが発達したと言われているから、オーストリア人経営の「アンジェリーナ」には、それまでパリになかったお味、サーヴィス、雰囲気があるのかもしれない。パリの中のウイーンなのか、と、ふと思う。デパートや美術館内にもあるけれど、やはり本店でないと本物を味わえないようで、困ったものです。

まるでパラスのような洗練を極めた内装。
近いうちにまた行きたい。

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