ルイ15世の公式愛妾だったデュ・バリー夫人 1743-1793 |
ルイ15世の公式愛妾と言えば、ポンパドゥール夫人とデュ・バリー夫人の名が必ずあがります。ポンパドゥール夫人は稀に見る才知ある女性で、政治が苦手の国王に代わって、多くの偉業を成した人。
一方、デュ・バリー夫人は優しさがある美貌に加え、ほがらかで、無邪気な性格で、政治に口をだすこともなく、ルイ15世は最後まで彼女を心から愛していたようです。そうした愛妾に常に身近にいて欲しかった国王は、ヴェルサイユ宮殿のご自分の居室の真上に、彼女のために14部屋も与え、直接行き来できる階段を設け、幸せな日々を送っていたのです。
このお二人を主役とした映画が去年から撮影されていて、今年、公開されます。肝心のデュ・バリー夫人を演じるのは、マイウェン・ル・ベスコ。実力ある女優から監督になった話題の女性で、今回は監督でありデュ・バリー夫人役もつとめます。そしてルイ15世役はジョニー・デップ。フランス映画なので、全編フランス語だそうですが、彼はフランスに長年暮らしていたから、言葉も問題もないでしょう。
フランスの栄華を語るヴェルサイユ宮殿。 訪問するたびに高揚感を覚えます。 |
撮影の多くはヴェルサイユ宮殿で行われていて、何と、私がデュ・バリー夫人の居室を訪問した休館日に、ジョニー・デップがルイ15世の扮装で演じていたのです!!! 私が目にした撮影は、旧体制の時代には貴族しか入れなかった「大理石の中庭」。ジョニー・デップ扮する国王が、豪華な馬車に乗る場面。その周囲を着飾った貴族たちや護衛兵が取り囲んでいて、18世紀そのもの。馬もピカピカに磨かれていて、何となく高貴な感じがする。こうしたこともあり、映画の完成が待ち遠しい。
ヴェルサイユ宮殿の3階に暮らすようになったデュ・バリー夫人。 27歳。 |
ルイ15世が公式愛妾に与えた部屋は宮殿の3階にあり、多額の年金を受け取り、自分好みの装飾をさせ、優雅な日々を送っていたデュ・バリー夫人でした。けれども、1774年、国王逝去によりヴェルサイユ宮殿から追い出され、修道院で暮らした後、生前にルイ15世からプレゼントされた、宮殿近くのルーヴシエンヌのシャトーに落ち着きます。それを許可したのはルイ16世。デュ・バリー夫人から求められ、いとも簡単に希望を叶えたルイ16世は、やはり人が良すぎる。
亡き国王の愛妾が暮らしていたヴェルサイユ宮殿の部屋は、役人たちが分割して使用していたために、革命の際に難を逃れます。宮殿のその他の部屋はすべて大きな被害を受けたのに、これは奇跡としか言えないほど、貴重です。
とは言え、時と共に老朽化し、いくつかの企業の寄付金により修復が行われ、やっと完了。各部屋の家具調度品はすべて彼女のオーダー。洗練を極めたそうした品の数点は、夫人が宮殿から追い出された後、貴族たちが争って購入したそうだらか、いかに素晴らしかったか。
デュ・バリー夫人の居室も映画撮影に使用されたと思うけれど、実際にその場面を見ていないので何とも言えない。私がアイフォンで撮った写真が何枚もあるので、後日、ブログで紹介します、お楽しみに。
ヨーロッパの君主の羨望の的だったヴェルサイユ宮殿。 |
そういえば、今年はルイ16世、マリー・アントワネット、そしてデュ・バリー夫人が処刑されてから230年の年。3人に関する行事がいろいろあるでしょうが、この映画もそのひとつなのでしょう。となると、あれこれ見てまわるので私も忙しい。
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