クリスチャン・ディオールが書いた 感動的な自伝の完全翻訳本が集英社から刊行されました。 |
第二次世界大戦後に、花のように美しく装う女性を 蘇られさせたクリスチャン・ディオールは、世界のファッションの救い主。彼が、勇気をもって、戦前に存在していた懇切丁寧な服作りを復活させなかったら、実用的で味気ない服装は、戦後も長い間続いていたにちがいない。
エレガンスを求める少数の女性のために、小規模なクチュールメゾンでいいのです、と語っていたディオールでしたが、最初のコレクションを発表すると、咲き誇る花のような優美なドレスは、賞賛と驚愕を巻き起こし、またたく間に大規模なメゾンになったのでした。それ以来、ディオールの名はフランスのエレガンスの代名詞となり、語り続けられています。
大実業家の資金援助があり、最初のコレクションが大成功し、世界の主要都市に支店を持つほどになったディオールは、たいした苦労も経験しなかった幸運な人と思われがち。ところが、実際には、温厚な品格ある顔から想像できないほどの、驚くべきさまざまな不幸や困難を乗り越えなければならなかったのです。
ディオールは自叙伝でそのすべてを明らかにしています。それに加えて、ファッションの世界の見えない裏側も、事細かく自叙伝に綴っています。
それを書き終えたのが亡くなる1年前だったので、生きている間にぜひ書き残したいという意志が込められているようで、私には無意識のうちに書いた遺書のように思えてなりません。
フランスをこよなく愛し、ファッションに生涯を捧げたディオールの吐息が、いたる所に感じられるクリスチャン・ディオールが自ら綴った本。このような貴重な自叙伝の翻訳を手掛けることができたのは、大変光栄なことです。
知られざるディオールの真の姿を、ひとりでも多くの人に伝えたいと願うばかりです。よろしくお願いいたします。
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