かつてマレ地区にあったいくつもの貴族の館は、皆、革命で没収されたのは広く知られている。その中のひとつ、スービーズ館は国立古文書館になり、そこで開催された展覧会にすでに足を運びましたが、今回は、ちょっと特別な目的で訪問。
スービーズ館は17世紀の時代の面影を今でも残していて、その美しい建造物のいたる所で、最盛期のロコ様式を堪能できるのが大きな魅力。
マレのスービーズ館。現在は国立古文書館 |
貴族の優雅な生活がうかがえる、レセプションルーム。 ロココ様式の最盛期だった時代のインテリア。 |
でも、私がもっとも興味を抱いているのは、起伏に富んだフランスの歴史の、重要な資料を保管しているアーカイヴ。そこは通常、研究者しか入れない聖域とも言える場所。それをどうしても見たく、許可を申請し、実現したときの喜びは・・・
待ちに待った日に、約束の時間よりずっと早く到着。あまりにも早すぎるので、近くのカフェで時間をつぶしたほど。
いよいよアポイントの時間になり、約束をした係りの人に会い、ほっそりしたインテリの香りを放つその男性に従って心を躍らせながら歩く。国立古文書館は横に長い瀟洒な建物で、そこで展覧会を開催したり、貴族の館だった時代の豪奢な部屋をいくつか訪問できる。
アーカイヴはそこではなく、左隣の別棟にある。それは小さい中庭を横切った所にあり、鍵がかかった重い鉄の扉を開けないと入れない。ギィ―と鈍い音とともに扉が開き、中庭を通り、建物の中に入ると冷ややかな空気が全身を包む。3階までラセン階段をのぼり、アーカイヴに入っただけで、先が見えないほどの資料が一気に目に飛び込み、卒倒しそうになる。右も左も、ずっと先まで、高い天井に届くように、分厚い資料が整然と並んでいる。
その50kmにも及ぶ資料が、それぞれの時代を語っていて、思わず「フランスの歴史に圧倒されて、もう、目眩がしそう」
などとつぶやいて、案内してくれた人の笑いを誘ったほどの興奮状態。
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