2024年12月20日

「芸術家の教会」と呼ばれるサンロック教会、ぜひ一度訪れて

 サントノレ通りに面し、オペラ通りからも近い場所にあるサンロック教会は、パリの中心地にあるのに、意外と知られていない。でも、デザイナーのイヴ・サンローラン、バレリーナのパトリック・デュポン、女優のアニー・ジラルド、歌手のジェーン・バーキンなど著名人の葬儀が行われ、最近は注目を浴びました。

バロックと古典様式のサンロック教会。

サンロック教会でアーティストのミサが行われるのは、教会を飾る絵や彫刻を多才な芸術家が手掛けた、宗教美術館とも言える宝庫だから。ここでは宗教音楽のコンサートも頻繁に開催されています。

この教会は、以前からフランスを代表する重要人物が葬られている、歴史的にも貴重な教会。ルイ14世のお気に入りの造園家で、チュイルリー宮殿やヴェルサイユ宮殿の庭園を手がけた造園家ル・ノートル、古典主義の劇作家コルネイユ、哲学者であり作家で「百科全書」で名を成したディドロなど、蒼々たる人がここに眠っているのです。

造園家アンドレ・ル・ノートル
1613-1700
劇作家ピエール・コルネイユ
1606-1684
哲学者、作家ドゥニ・ディドロ
1713ー1784
サンロック教会の建築が開始されたのは1653年で、3月23日に国王ルイ14世が自ら建築用の石を置き注目をあびます。ルイ14世の首席建築家ジュール・アルドゥアン=マンサールが手がけたバロック様式で、彼亡きあとは他の建築家の指揮のもとに建築が続き1719年に完成。17、18世紀の教会で、歴史的建造物に認定されています。

聖歌隊席の天井画は圧倒されるほど美しく、迫力がある。
クーポルにはキリストの勝利が描かれています。

奥まった場所にある聖母マリア礼拝堂。
ジュール・アルドゥアン=マンサールの傑作で、
バロックの華やかさがあふれています。

身廊の印象的な説教台。

革命時に他の教会と同じように荒らされ、コンシエルジュリーから処刑場のコンコルド広場に向かう死刑囚は、この教会の前を通っていたのです。
その後この教会が注目を集めたのは、当時ほぼ無名だったナポレオン・ボナパルトの王党派相手の戦い。パリの中央にあるサンロック教会の真ん前で続けざまに大砲を打ち、想像もしていなかった無謀な攻撃におののいた王党派をまたたく間に鎮圧。1795年10月5日の出来事で、革命歴でヴァンデミエール4年13日にあたるので、ナポレオン・ボナパルトは、それ以降ヴァンデミエール将軍と呼ばれるようになり、これを境に歴史に華々しく登場。

サンロック教会の前で激戦が繰り広げられたのは1795年10月5日。
ナポレオン・ボナパルトの名声を一挙に高めました。
この界隈の街並みは、現在もほとんど変わっていない。

明るく美しい身廊。
卓越した宗教画、彫刻は見逃せない。

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