2020年7月1日

シャネル、その比類なき人生

7月8日発売のシャネルの本。

ココ・シャネルは二つの世界大戦に大きく揺れ動いた20世紀を、力強く生き抜いた女性でした。11歳のときに母を亡くし、残された5人の子供たちの育児に困り果てた父によって、姉と共に孤児院に預けられたシャネルは、修道女たちから規律ある健全な生活と、女子の自立に必要と思われていた裁縫を学びます。ここで身に付けたことは、シャネルに計り知れないほど大きな影響を及ぼしたのでした。

孤児院を後にし人生を自分で切り開くようになった18歳のときから、シャネルは働き続けました。賢明で真面目な彼女は出会う人たちから多くを学び、吸収し、自分のものとし、努力を重ねながら内面に磨きをかけていきます。シャネルが巡り会い交流を持った人々は、アーティストにしても実業家にしても、あるいは爵位ある人にしても、キラ星のような輝きを持つ優れた人ばかりでした。そうした人々に出会ったシャネルが幸運だったのは確かです。けれどもそれ以上に彼女には、その幸運を生かす才知があったし、人々を魅了する個性の煌めきがあったのです。

シャネルは自分の人生を自分で創った稀有な女性です。自分の感性を信じ、新たなことに挑む勇気と実力を持ち、矢継ぎ早に改革をおこない、従来のモードに関する観念を一変させました。87歳の生涯を閉じるまで、ポジティブに生きることの意義を身をもって示し続けた彼女の人生から学ぶものは多いし、折々に語った言葉には多くの教えがあります。

シャネルは時代の風潮に流される流行ではなく、時代がいかに変貌しようともアイデンティティを保ち続けるスタイルを創ったデザイナーです。そのためにシャネルのすべてのアイテムは常に新鮮で、世界中の女性たちを虜にし続けているのです。彼女のクリエーションにも長い人生の間に語った言葉にも、永遠の命が宿っているような「今」を感じないではいられません。

シャネルという類まれな女性が歩んだ人生には、以前からずっと惹かれていました。フランスで発行されている多くの資料に目を通し、何度も読み直し、今回、自分なりに納得できる内容の本を書くことができ、とてもうれしく思っています。本書を通して、シャネルの今までと異なる面をお伝えできればと願っています。

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