2010年3月12日

イヴ・サンローラン大回顧展

イヴ・サンローランが亡くなって2年目の今年、彼のために最後の最後まで全身全霊を捧げ支援し続けていた実業家ピエール・ベルジェが、サンローラン大回顧展をプティパレで開催。それは20世紀を飾ったモードの巨匠にふさわしく豪華で豪華で豪華。

サンローランが40年間に製作した約5000点のオートクチュールの中から、代表的な作品約300点を選んで展示しているこの展覧会は、モードのためのみに人生を捧げたサンローランへの、ベルジェからの最大のオマージュ。そのどれも長い年月を経ているのに、現代性を少しも失っていないことに驚かされます。
「イヴ・サンローランは女性に権力を与える服を作った。女性に自由を与えた」
というベルジェの言葉に、いまさらながらサンローランの服装革命の偉大さを認識。
パンタロン、スモーキング、シースルー、サファリルック、アートとモードの融合・・・・
サンローランなしでは今日見られるようなモードは生まれなかった。

一点一点の作品をまじかで見ていると、サンローランが執務室に私を迎えてくれたときの、あの恥ずかしそうなしぐさや、優しい声、握手したときの細い指のぬくもりがよみがえり、ただただ感無量。展示されている作品の語りが、彼の声となって耳に届いてくるかのよう。
生前から「伝説の人」と呼ばれていたほどのサンローランに会い、会話をし、息吹をまじかで感じ、手に触れることができたことは、私の人生の玉手箱の中で、ひときわの輝きを放つ宝物。