2020年3月31日

パリの犬たち 225

誰もいな~い。

「ネ、どうしたのかな、誰もいないじゃない」
「お外に長い時間出てはいけないの」
「エッ、何か悪いことした罰なの?」
「悪い病気がはやっているから、できるだけお家にいなくてはいけないの」

「あの子にも、この子にも会えないなんて、つまらないワン」
「そろそろお家に帰る時間よ」
トボ、トボ、トボトボ´´・・・・・トボ´・・🐾

2020年3月30日

コロナウイルス 連結、団結の精神があるフランス国民

外出禁止令によって夫婦間の暴力が増えていて、その対策として、電話相談と薬局に援助を求めることを政府が助言しています。必要とあれば、そこから適切な機関に連絡がいくのです。医薬分業のフランスには薬局が多いので、いざという時の場合に大いに役立つでしょう。パリの場合には街角を曲がるたびに薬局があるほど。

医学生や引退した医者も、病院の人手不足を補うために自ら出向くし、今までは収穫の際に外国人を季節労働者として雇っていたのに、それが不可能になり農家が困っていると知った若者たちは、ヴォランティアで活躍。買い物に出れない年老いた人に、必要な品を代理で買って届ける人も多い。

誰もいないバス停。
通常は広告に占領されている側面に、
団結を呼びかける言葉が書かれています。

メルシ―
看護する人たちに
心配りをしましょう!
彼らを支持しましょう。

政府が発布した外出禁止令もかなり多くの人が守っているようで、10日以上経っているのに人の姿を見かけない。どこで買ったのか、ほとんどの人がマスクをかけている。当初から「戦争」と衝撃的言葉を何度も繰り返し、団結、連帯を訴えているマクロン大統領への信頼は急に高まり、現在約43パーセントの人が評価。フィリップ首相の支持率も高まっています。

テレビニュースもそれのみに集中して報道しているだけでなく、視聴者からの質問も受けつけ、毎日専門家が答えています。庶民の素朴な心配にも注意を払ってくれるのは心強い。個人主義者が多いと言われているフランス人ですが、危機に陥ったときに国、あるいは国民全体にとって何をすべきか敏速に理解し、一致団結し、行動に移る国民なのです。それは、フランス革命と第二次世界大戦のレジスタンスで世界に示していること。こうした歴史的事実を振り返ると、時にはフランス人のように、目的に向かって頑固であることの重要性が分かるような気がします。この精神で、危機からきっと脱出できるでしょう。ぜひそうあって欲しい。

日本の状況は毎日気になるので、ネットで見ていますが、危機感があまりないようで心配です。まるで別世界のように思えるほど。ある日突然、爆発的に感染者が増える気配が感じられ、その場合の医療設備が充分にあるかも大きな気がかり。アメリカとヨーロッパで起きている事実を深刻に受け止め、早くから対策にあたらないと、人口が多い国だけに混乱騒ぎが起きそう。

やはり、それぞれの人の判断、自覚、実行が大切だと思います。くれぐれも見えない敵にご注意を🍀

2020年3月28日

コロナウイルス 外出禁止令4月15日まで延長

コロナウイルス感染者が、昨夜の統計によると32,964人。感染者を増やさないために、フランス全土で発布されている外出禁止令を、4月15日まで延長するとフィリップ首相が声明を発表。科学者など専門家の意見では4週間の延長が必要だったのですが、国民がパニックするといけないので、まず2週間延長し、その後の状況によってまた延長するようです。

ルメール経済・財務大臣はフランスの農家が窮地に陥っているので、今後、食料品はフランス産を購入するようにと述べ、国民の団結、連帯を呼びかけました。5月のカンヌ映画祭、7月上旬のファッションウィークも中止。ホームレスたちの保護も積極的に行っています。重症の人を受け入れる余裕がある遠方の病院に、ベットごとTGVに乗せ移動するアイディアも生まれました。

長期にわたって閉店するし、人も通らないので、
最大の防御をするブティックも見かけます。

いつもは歩道にまで椅子を並べ、
大勢の人が楽しそうに食事をしたり、コーヒーカップを手にしているに、
椅子は店内に積み上げ、静まりかえっているパリ。

エッフェル塔は3月27日から、夜20時から23時まで毎日イルミネーションと共に「メルシ―」という文字を放って、医療従事者をはじめ取り締まりにあたる警官などにエールを送っています。その後「家にいましょう」という文字も表示され団結を呼びかけています。このようにエッフェル塔は、常にフランス人と共にいるのです。

2020年3月26日

コロナウイルス 一人ひとりの自覚に訴えるパリ

コロナウイルス感染者の人数は毎日上がる一方で、昨夜で25、233人。外出禁止令が大幅に延長されそうなフランスです。

政府が決めた外出許可書に書き込む内容が、さらに増え、出生地と外出する時間も記入することが義務付けられました。

キオスクも一部を除いて閉鎖され、そこにウイルス感染を防ぐための注意が書かれています。スーパーは入場制限をしているので、外で並ぶ時間が結構長い。その間にも1メートルの間隔を保つようシンプルな表示がある。どれも小さな子供でもわかるような簡単な注意の方法。すべての年齢の人々に連帯を呼び掛けているのが伝わってきます。

ぴったり閉まっているキオスク。
その側面に呼びかけの言葉と注意すべき事柄が絵でかかれています。

みんな一緒に、
コロナウイルスから自分を守り、他の人も守りましょう。
家の中にいなさい。
1メートルの間隔を保つようにと、
スーパ―の外で並んで待つ人へ注意を促すデッサンが
ドアや窓に描かれています。

一致団結してコロナウイルスに勝とう。その思いはフランス全土に広がっていて、毎晩8時に窓を開け、医療従事者にエールを送ることを一日も欠かしていません。人と人のつながりの温かさが感じられる瞬間です。家の中に閉じこもっていることを余儀なくされている人々にとっても、自分はひとりぽっちではない喜びを感じられるひととき。

2020年3月24日

コロナウイルス 東京オリンピック延期

東京オリンピック・パラリンピックが約1年延期されることは、フランスでもすぐに報道されました。世界中がコロナウイルスの危機に震え上がっているのに、「スポーツの祭典」オリンピックを開催することは当初から疑問に思っていたので、延期を知って心底から安堵しています。

今後は世界が直面している最大の問題解決に、日本人ならではの優れた科学の力の発揮を期待しています。

聖火は日本に残るそうなので、コロナウイルスに打ち勝つための「団結の炎」「希望の炎」として、時々世界に映像を発信してほしいです。神聖な炎がエールを送ってくれると思うからです。



「TOKYO 2020」の名称を変えないのは、素晴らしいアイディア。日本人の賢明さが全世界に伝わることでしょう。オリンピックに参加するわけでもないのに、来年の大きな目標ができたように思えます。

2020年3月22日

コロナウイルス ホテルも閉まってますます人の姿が見えないパリ

コロナウイルス感染者が増える一方で、モニュメント、レストラン、カフェ、デパート、ブティックが全部閉まっているパリに、当然、観光客が来るはずはない。だからホテルも次々に閉まっています。現在フランスでのウイルス感染者は14,459人。夜8時のニュースはこの1週間コロナウイルス特集のみ。軍隊の援助も必要な現状です。大きな問題は医者や看護士が必要とするマスクが大量に不足していること。それを知ったフランスを代表する大手企業が次々に資金援助に乗り出し、マスク生産を中国に依頼しています。


人はおろか車も自転車も見えない
パリ中心街。

いつも大勢の人で賑わっている主要な道路から、一瞬の内にすべての人が姿を隠し、痛いほどの静けさが支配しているパリ。つい先日まで行き来していたあれほど多くの人々は、一体どこに消えてしまったのか。シュルレアリスムの絵画のようで、とても現実とは思えない。不思議な静けさとピュアな空気がルネ・マグリットが描く絵を思い出させます。

不都合ばかりなのに、皆、ちゃんと日常生活を送っている。生活に必要な最低限の品があれば、問題なく生きていけるのだと、生き方を見直す人もいるかもしれない。

2020年3月20日

コロナウイルス SF映画のように人が少ないパリ

外出禁止令によってパリの街は静かそのもの。車はほとんど走っていないし、自転車も少ない。時々通るバスにも乗客の姿が見えない。道路の両サイドに並ぶショップはドアをぴったり閉めている。青空が広がっているその下に人の気配が感じられず、無機質な世界に迷い込んだよう。まるでSF映画の中にいるみたいです。


不思議な雰囲気の今のパリ。

外出禁止令発令から3日目の昨夜、コロナウイルス感染者は10,995人と発表されました。この驚異的な人数にもかかわらず、政府の命令を守らない人が結構多いのは嘆かわしいことです。道路を渡る際に、渡りたいときに渡りたい場所を渡るフランス人。このように自己中心的な国民を動かすのは並大抵なことではありません。それに比べて日本人は優等生だとつくづく思います。

こうした中でほっと心を慰めることもあります。
それはフランス各地の住人たちが一斉に窓を開けて、救助に当たる人々に感謝を伝えたり激闘するために拍手したり「ブラヴォー」「メルシー」と大声をあげること。これはイタリアに習ったことですが、フランスでは夜8時になる毎日繰り返し、それをテレビで報道。このように困難を一緒に乗り越えようと団結心を表現する人もいるのは、救われます。

2020年3月19日

パリの犬たち 224

意見が合わない。

「ネェー、あそこを歩いているワンちゃんいい感じ」
「どの子?」
「ホラ、ブラックコートを着ている子だよ」
「どれどれ、ちょっと観察・・・」
「やさしそうだし、お友だちになろうかな」
「そんな~~ワタシがいるのに不満なの? 第一あまりいい趣味の服装じゃないワン」
「そんなことないと思うけれど・・・」
「好みの差ね。お友だちになる気なんてないわ。プンプン」
「いやなら無理にといわないから、キゲンをなおしてちょうだい」

2020年3月17日

コロナウイルス フランスは戦争状態と大統領が演説

フランスにおけるコロナウイルス感染者は16日で6633人と急激に増えています。16日夜、約20分間のテレビ演説でマクロン大統領は、フランスは現在見えない敵との戦争状態にあり、17日正午から最低2週間、全土で外出制限をし、それに違反した場合には罰則すると声明を発表。

この演説を3500万人がテレビでみたそうで、いかにフランス人が深刻になっているかわかります。

一夜明けた今朝早くに携帯にメッセージが入っていて、何だろうと読むと、何と大統領の声明の要約が政府から送られたのです。きっとフランス中の人に送ったのでしょうが、ここまでせざるを得ない状態に陥っているのかと、心が引き締まる思い。それだけでなく、いつもは新製品紹介などのメールを送ってくるショップからも、お互いにコロナウイルスに気をつけましょうと呼びかけがあり、フランス全土が結束しています。

昨夜の演説で、フランスは見えない敵との戦争状態にあるとマクロン大統領は6回も繰り返しました。先週木曜日にレストラン、カフェを閉めるとの発表があったウィークエンドに、セーヌ河畔や広場で憩う人があまりにも多く、感染の広がりを懸念したための強硬処置でしょう。警官を多数配置し違反者の取り締まり強化も行うのです。違反した場合は罰金。17日からは外出する際に、住所、氏名、生年月日、外出目的を書き、日付け、サインした用紙持参が義務付けられます。これは外出の度に必要。全国で10万もの警官たちがコントロールにあたり、政府が決めた持参すべき用紙なしで外出した場合には即刻135ユーロの罰金。

昨日からパリを離れ田舎の家に避難する人が急に増え、道路も列車も大混雑。こうした行動をイタリア人がしたので全国にコロナウイルスが拡散されたのに、今フランス人もそれをしていると非難の声が上がっています。自分さえよければいいというエゴイストな国民性が表れているのです。一部の人だけかもしれませんが、残念です。おだやかな生活を営む小さな町や村にウイルスを持ち込まないことを祈るばかりです。

スーパーマーケットの入り口に並ぶ人々。
ちゃんと1メートル以上の間隔を取っているのは感心。

空っぽのパスタとお米の棚。

2週間で改良が見られない場合には外出制限は延長されます。国境封鎖する国が増えているヨーロッパ。緊張と不安と隣り合わせの日々です。

2020年3月15日

コロナウイルス レストランもカフェも閉鎖

コロナウイルス感染者が5423人にものぼったフランス。
フィリップ首相は14日夕刻に緊急会見を行い、15日0時から生活に必要な店以外の営業停止を発表。日常生活に欠かせない品を取り扱うスーパーや薬局、郵便局、銀行は従来通り営業。

年中無休でいつも賑わいを見せているレストラン街なのに、
全部閉まっていて人も犬もいないで、まるでゴーストタウン。
時が止まったようなパリの中心です。

この発表で衝撃的だったのはレストラン、カフェも閉鎖すること。フランスでの感染者がいかに多いかしっかり伝わってきます。レストラン、カフェは店の外のテラスでもサーヴィスを受けられるのに、このような強硬な処置がとられたのは、テレビのルポで理解できました。パリ近郊にあるレストランで、オーナーが常連客と次々にハグしていただけでなく、「コロナウイルスなどない」と怒ったように言っているのです。何て身勝手なこと、自分がウイルスに感染するかもしれないし、感染を広げる可能性もあるのに、このエゴイストな態度。政府が営業停止を発表するわけです。

イスもテーブルもしっかり片付けている光景を見て、
心が締め付けられました。
楽し気に会話を交わしながら食事する場なのに、
誰もいないのは本当に寂しい。
早く以前の元気な雰囲気を味わいたい。

ヨーロッパではイタリア、スペイン、フランスでの感染者が多いのが現実ですが、いずれもラテン系の国民。親しみを込めて挨拶する接触の文化を守っている国々です。それが災いしていることは見逃せない。それに加えて楽観的な性格の人が多く、危機感を感じないし、時間を守らないようにルールを守るのも苦手。政府が厳しい規制を設ける必要があるのです。

快晴なので公園で気分転換をと思って行ったら、
ご覧の通りガッチリ閉まっていました。
子供連れの人がたくさん集まることを懸念したのしょう。
ごもっとも。
スーパーでは大きなカートに品を山のように積んで、レジでの長い行列をつくっています。場所によっては1時間以上待つそう。お米やパスタの棚は空っぽ。野菜や肉の不足も目立ちますが、「生産は随時行っているし流通も通常通りで、大げさに心配することはない」との専門家の言葉を信じたい。

2020年3月13日

コロナウイルス 大統領特別演説

昨日3月12日夜、マクロン大統領が大統領府エリゼ宮でテレビカメラに向かい特別演説を行いました。ますます深刻化するコロナウイルスに関する演説とあって、2500万人がこの演説を見たそうです。今までの最高記録だということから、いかにフランス人が深刻になっているか伝わってきます。

今回のコロナウイルスは100年の最大の衛生上危機で、これは始まりでしかなく今後さらに悪化するおそれがある。そのために全国の保育園、幼稚園から大学まですべて閉鎖する、出来るだけ自宅で仕事を続け、営業停止をせざるを得ない企業及び働く人々への援助を行う、病院はコロナウイルスにかかった人を優先的に治療する、EUが結束して拡大の防止にあたらなければならないなど、約25分間の演説をテレビカメラから視線を逸らすことなく続けていたのが深く印象に残りました。

翌日の今日、フィリップ首相が今後は100人以上の集会を全国で禁止すると発表。緊張感がさらに高まっているフランスです。現在感染者は3661人にもなっています。エッフェル塔、ルーヴル美術館、オルセー美術館、オペラ座、ヴェルサイユ宮殿も閉鎖。今後の状況によっては国境封鎖もあるかもしれない。毎日一番気になるのはコロナウイルス情報。朝、最初に見るのはこの情報です。気をつけているのは手の消毒、うがい、睡眠、栄養、動くこと、大勢の人が集まる場所を避ける。これで何とか乗り越えたい。

皆さまもくれぐれもお気をつけください。

2020年3月12日

話題のカフェ

ジョワユー・カフェ (楽しいカフェ)と名付けられた、文字通り楽しいカフェが話題を呼んでいます。コーヒーショップの名前は目が覚めるほどキレイな黄色で書かれているし、その下の「心を込めてサーヴィス」という文字も黄色。ガラス窓に描かれたコーヒーカップも黄色で、そこから湯気があがっていていかにもおいしそう。随所に描かれている笑顔のロゴも全部黄色。

Joyeux Café
23 rue Saint Augustin
75002 Paris

テイクアウトは左隣のパサージュ・ショワズル側で。


テイクアウトの楽しい絵が壁に描かれています。

ランチタイムには行列ができるほど大人気。

そう、そこには太陽の象徴の黄色がいっぱいなのです。このコーヒーショップで働く人もクライアントも、皆、笑顔を浮かべていてとても気持ちいい。通常のカフェと異なるフレンドリーな雰囲気があるのは、多分、そこに、ヒューマニズムがあるからだと思う。

実はジョワユー・カフェで働くすべての人は、ハンディキャップがある人なのです。自閉症の人もいるし精神障害の人もいる。彼らはハンディキャップがあるからといって同情なんかしてほしくない。仕事をしたいし、人の役に立ちたいと願っている人ばかり。それなのに彼らを受け入れる場は少なすぎる。

ある日、そうした希望を知った若いフランス人実業家が、コーヒーショップを開いてハンディキャップの人のみ採用することを思いつく。まず、ブルターニュ地方のレンヌで始め、成功を収めるとそのほかの主要都市に次々にオープン。パリのオペラ座近くにジョワユー・カフェをオープンしたのは2年前。

この素晴らしいコンセプトは、シャンゼリゼの凱旋門近くの建物を経営する企業主の心を打ち、ホテルとしての改造工事が始まる前の6カ月の間、ジョワユー・カフェに無料で場所を提供することを決定。3月9日のオープニングにはマクロン大統領夫妻も出席し、ますます話題を呼んでいるのです。軽いランチやスイーツをつくる人も、サーヴィス係りも全員ハンディキャップがある人。一生懸命に働く彼らが放つ明るさは、多くの人に希望を与えるはず。

黄色いカップから上がる湯気に安らぎを感じます。

すべての利益は次のカフェオープンの資金にするそうです。現在フランスに5店舗。これからさらなる発展を続け、ハンディキャップを抱えている人々への視線も変わることでしょう。それこそジョワユー・カフェを立ち上げたヤン・ビュカイユさんが願っていることなのです。

2020年3月10日

メトロの駅名は語る 147

Solférino
ソルフェリーノ(12号線)

イタリア北部のソルフェリーノにおける、フランス・サルデーニャ連合軍とオーストリアの激戦地の名。

ソルフェリーノでフランス軍の指揮を取る
皇帝ナポレオン3世(1808-1873)
ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世
(1820-1878)

フランツ・ヨーゼフ1世
(1830-1916)

1859年6月24日にソルフェリーノを舞台に繰り広げられたこの戦争は、フランス軍とサルデーニャ王国軍が力を合わせてオーストリア相手に戦い、連合軍側の勝利に終わりました。歴史に残る「ソルフェリーノの戦い」は、サルデーニャ王国のヴィットーリオ・エマヌエーレ2世が、イタリア統一をもくろんで始めた戦いの激戦地で、当時ソルフェリーノがある北イタリアのロンバルディ地方はオーストリア支配下にありました。フランス皇帝ナポレオン3世はサルデーニャ王国を支援し軍隊を送り、自らも参戦し、着々とオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世率いる軍を追い詰め、敗北させたのです。

ジャン=アンリ・デュナン(1828-1910)

この戦いの最中にソルフェリーノに行き、おびただしい人数の兵士たちの悲惨な光景を目にしたのがジャン=アンリ・デュナン。政治家で実業家の父と慈善事業に情熱を捧げている母の間にスイスで生まれたデュナンは、当初銀行に勤めていましたが、ロンドンで創設されたキリスト教青年会(YMCA)に関心を抱き、ジュネーヴにYMCAを設立。それから3年後、1855年、パリにYMCA世界同盟を築きました。その後フランス支配下にあったアルジェリア発展のために尽くしますが、資金的困難に陥り、皇帝ナポレオン3世に直接会って援助を頼もうとソルフェリーノに向かったのです。

そこでデュナンが目にしたのは放置されたままの無数の遺体と、たいした治療も受けられずに苦しみに必死に耐えている負傷兵たちでした。その総数約4万人。大きな衝撃を浮けたデュナンは、近くの村の教会を急遽病院にし、住民たちに呼びかけ負傷兵の看護にあたらせる一方、様々な町から医者を呼び寄せ敵味方の区別することなく治療をほどこさせます。その費用はすべてデュナンが負担したのでした。

デュナンが目の前にした戦地ソルフェリーノの悲惨な兵士たち。

「ソルフェリーノの思い出」の最初のページ。

それから3年後デュナンは「ソルフェリーノの思い出」を書き、戦争の非情さ悲惨さを伝えます。それだけで終わらず1863年には、戦争の犠牲者たちを支援する組織を友人たちと設け、それが後年に赤十字となったのです。負傷兵たちの治療のために資産の全てを費やし財を失ったデュナンは、借金を重ね、返済に追われ、貧困生活を強いられ、病に陥り赤十字の仕事から身を引き、ひっそり暮らすようになります。

晩年のデュナン。

その間にデュナンは執筆も手掛け、それが掲載されたり彼に関する記事が書かれたりすると、改めて偉業が語られるようになり、1901年、初のノーベル平和賞を受賞する栄誉に授かります。後年に「赤十字の父」と呼ばれるようになったデュナンの人生は、「ソルフェリーノの戦い」で大きく変わったのでした。彼のバースデーの5月8日は第二次世界大戦後「世界赤十字デー」となり、世界各地で様々なイヴェントが行われます。

2020年3月7日

コロナウイルス フランスの感染者増える一方

コロナウイルスに関して、大統領が専門家30人をエリゼ宮に緊急に招いて会議。このように日に日に緊張感が高まっているフランスです。テレビのニュースは約半分の時間を割いて報道。感染者の増え方が急激で、昨日夜の発表では現在感染者は613人。

いろいろ対策を練っていて、学校閉鎖やイヴェント中止は日本と同じ。ジェルやマスク不足も同じですが、パリではマスクをつけている人をほとんど見かけないので、マスクはどこに行ったか不可解です。他の国との大きな違いはトイレットペーパーや食料品の買い占めは少ないこと。フランスは物資不足にならないと報道していましたが、こうした情報がパニックを起こさないのかもしれません。

昨日スーパーに行って驚いたのは、レジの人が全員手袋をしていたこと。黒い手袋なのでちょっと異様でした。レジの人は交代で仕事をするから、同じキーボードを触って起きるかもしれない感染防止のためでしょうか。私もカードの暗証番号を押すのが気になり、家に帰ってすぐに石鹸でしっかり手を洗っています。石鹸で十分ウイルス退治を出来るそうです。

ツーリストも少なくデパート界隈は寂しいくらい。

いつも賑わっているデパート前歩道。
驚くほど人が少ない。

通常タクシーを見つけるのが難しいパリなのに、
今はタクシーがクライアントを待っています。
魅惑的なショーウインドウで感心を引こうとひていますが、
はたして効果は・・・

2020年3月3日

パリの犬たち 223

小さい、小さい。でも他のワンちゃんと同じよ。

どうもワタシは特別サイズらしい。
つまり・・・特別に小さいみたい。
ホ~ラ、よく見て。靴とほとんど同じ大きさ。
オモチャかと思っている人もいて、
「あら、ちゃんと動いている」だって。
小さくても犬の機能は全部持っているのだワン、ワン。

2020年3月2日

イヴ・サンローランのミューズ、ベティ・カトル-展

イヴ・サンローランには二人のミューズがいました。ルル・ド・ラ・ファレーズとベティ・カトルーです。ルルはアトリエでサンローランのアシスタントも務め、ベティはマヌカンになったり仕事を終えたサンローランを、気晴らしのために夜の街に連れ出したりしていました。

サンローランの二人の女友だちの共通点は、裕福な良家に生まれたこと。教養があり卓越したセンスの持ち主だったのも、いい環境に育ったからだと見られています。もうひとつの大きな共通点は、既成観念にとらわれることなく、自分に忠実に自由に生きていたこと。サンローラン、ルル、ベティは時代をつくるトリオだったのです。

時が経ちサンローランが去り、ルルが去り、ベティだけが当時の面影を保ちながらサンローランの偉大さを今でも世に示しています。彼女は持っていたサンローランの作品約300点を、2019年にイヴ・サンローラン美術館に寄贈。それによって美術館の秘蔵作品が一挙に増えました。今回の展覧会では天才デザイナーの代表作のサファリルック、パンツルック、スモーキング、そしてベティが最も好きなレザー作品など45点をまじかで鑑賞できるし、トリオ時代の写真も豊富で、良き時代とサンローランのエスプリにたっぷり浸れます。

サファリ・ルック。
ベティがそこに立っているような印象を受けます。
昼間の街着。
パンツ・ルックが圧倒的に多い。

夜のお出かけ用のシックな装い。
若き日のサンローラン、ルル、ベティの写真も豊富。
シャネルのマヌカンをしていたこともあったベティは抜群のプロポーション。
今でもそれを守っているのは尊敬に値します。
多くのモノクロの写真が、かつての良き時代へと導きます。
イヴ・サンローラン美術館のエントランスは、
彼が存命中と変わっていません。
この階段を彼は毎日上り、クリエーションに励んでいたのです。

エントランスのシャンデリアは特にサンローランのお気に入りで、それを付けた時には興奮しながら、刺繍の巨匠フランソワ・ルサージュに電話し、すぐに来てほしいと言ったのです。なぜなら、シャンデリアの類まれな輝きを刺繍で表現してほしかったのです。ルサージュはサンローランの依頼を受けジャケットに精密でゴージャスな刺繍を施し、シャンデリアの輝きを布地に実現しました。それが「私のメゾン」と名付けられた華麗極まりないジャケットです。この貴重な逸話は生前にルサージュが私にしてくださいました。シャンデリアを見るたびに思い出し懐かしさがこみ上げます。

Musée Yves Saint Laurent
5 avenue Marceau
75116 Paris
3月3日~10月11日まで

2020年3月1日

コロナウイルス パリの現状


世界的にコロナウイルス感染者が増えていますが、現在フランス全土での感染者は100人。ここ数日で急激に増えているのが気がかりです。隣国イタリアの北部のロンバルディア州で多くの人が感染しているので、南仏はかなり神経質になっているようです。国境を閉鎖すべきという意見も出ていますが、空からだけでなく、列車や自転車、徒歩でも国境を越えられるのですから、大きな課題に直面しているのです。


そうした中でパリは今のところコロナウイルス感染の深刻な問題は起きていませんが、用心のために、3月1日に予定していたパリ・ハーフマラソンを中止し、国を挙げての大イヴェントの国際農業見本市も一日早く終了。ファッションウイークに合わせて開催される予定だったハイジュエリーのニューコレクション発表を中止したメゾンもあります。

また南仏ニースのカーニヴァルも中止され、刻一刻とコロナウイルスの危険さが伝わってきて、日常生活から活気が奪われたように印象を受けるこのごろです。特に集中的に感染者が多いのはパリの北のオワーズ県。集団感染が起きているので外出を控えるだけでなく、握手もしないようにと忠告。マルシェも教会のミサも中止。学校閉鎖は日本と同じですが、このように習慣が異なるフランスでは他の問題もあるのです。


一日も早く確実な治療方法が見つかることを祈るばかりです。