2020年3月12日

話題のカフェ

ジョワユー・カフェ (楽しいカフェ)と名付けられた、文字通り楽しいカフェが話題を呼んでいます。コーヒーショップの名前は目が覚めるほどキレイな黄色で書かれているし、その下の「心を込めてサーヴィス」という文字も黄色。ガラス窓に描かれたコーヒーカップも黄色で、そこから湯気があがっていていかにもおいしそう。随所に描かれている笑顔のロゴも全部黄色。

Joyeux Café
23 rue Saint Augustin
75002 Paris

テイクアウトは左隣のパサージュ・ショワズル側で。


テイクアウトの楽しい絵が壁に描かれています。

ランチタイムには行列ができるほど大人気。

そう、そこには太陽の象徴の黄色がいっぱいなのです。このコーヒーショップで働く人もクライアントも、皆、笑顔を浮かべていてとても気持ちいい。通常のカフェと異なるフレンドリーな雰囲気があるのは、多分、そこに、ヒューマニズムがあるからだと思う。

実はジョワユー・カフェで働くすべての人は、ハンディキャップがある人なのです。自閉症の人もいるし精神障害の人もいる。彼らはハンディキャップがあるからといって同情なんかしてほしくない。仕事をしたいし、人の役に立ちたいと願っている人ばかり。それなのに彼らを受け入れる場は少なすぎる。

ある日、そうした希望を知った若いフランス人実業家が、コーヒーショップを開いてハンディキャップの人のみ採用することを思いつく。まず、ブルターニュ地方のレンヌで始め、成功を収めるとそのほかの主要都市に次々にオープン。パリのオペラ座近くにジョワユー・カフェをオープンしたのは2年前。

この素晴らしいコンセプトは、シャンゼリゼの凱旋門近くの建物を経営する企業主の心を打ち、ホテルとしての改造工事が始まる前の6カ月の間、ジョワユー・カフェに無料で場所を提供することを決定。3月9日のオープニングにはマクロン大統領夫妻も出席し、ますます話題を呼んでいるのです。軽いランチやスイーツをつくる人も、サーヴィス係りも全員ハンディキャップがある人。一生懸命に働く彼らが放つ明るさは、多くの人に希望を与えるはず。

黄色いカップから上がる湯気に安らぎを感じます。

すべての利益は次のカフェオープンの資金にするそうです。現在フランスに5店舗。これからさらなる発展を続け、ハンディキャップを抱えている人々への視線も変わることでしょう。それこそジョワユー・カフェを立ち上げたヤン・ビュカイユさんが願っていることなのです。