2011年2月20日

大使公邸で文芸人の集い

晩餐後隣室で記念撮影
文芸人が集まって会話を楽しむサロンが、フランスで生まれたのは17世紀のこと。1613年からランブイエ侯爵夫人が、自分の邸宅のサロンに芸術家や作家などを集めて知的な交流を行なっていたために、「サロン」と呼ばれるようになったのです。

洗練された文化が花開いていたイタリアで、
外交官の娘として生まれ育ったランブイエ侯爵夫人は、
フランスに暮らすようになったとき、それまでのイタリアでの生活に比べて、フランスには洗練された社交がないことに落胆します。
なにしろ彼女がいた頃のイタリアは、
ルネッサンス文化がいたるところに見られ、何もかも芸術的だったのです。フランスに居住するようになったランブイエ侯爵夫人は、率先して、宮廷の儀式ばった社交とは異なる、いわば血の通った独自の文化交流の場を作りました。

大使夫人齋藤千恵子さん、
特殊メイクアーティストのレイコ・クルックさん、
作家の辻仁成さん。
招待された文芸人は着飾り、グラスを片手に、あるいは会食しながら、豊富な話題を展開させていたのです。やがてサロンは出会いの場、意見の交換の場として重要視されるようになり、多くの人が競って社交の場であるサロンを開いていました。
今でもフランス人は10人、20人も自宅に招くことが多いのですが、これもサロンのなごりかも知れません。

このような場で会話術も社交術も磨かれ、知識が豊富になっていくのです。ひとり黙っているわけにはいかないから、自分の意見も述べられるようにと、それなりに準備もする。
自分磨きにもおおいに役立つものです。フランス人が会話にたけているのは、歴史があるのです。

2月18日の大使公邸での集いは、昔のサロンを彷彿させるものでした。
招待されたのは作家、画家、音楽家など約30人。
アペリティフのときからすでに会話が始まり、会食中も、食後酒のときも貴重な意見交換が行なわれ、すばらしい雰囲気。


三宅純さん(作曲家)、
黒田アキさん(画家)
高田賢三さん(デザイナー、画家)
招待された誰もが、
このような機会を設けてくださったことに大感謝。
パリに長年暮らしていてもお互いの交流がないことが多いので、新たな出会いに刺激され、夜がふけてもその場を去るのが惜しく、会話はいつまでも途切れることがありませんでした。
17世紀にタイムスリップしたようで、感激もひとしおの
貴重な夜でした。