ウジェーヌ・ド・ボーアルネ |
以前からずっと願っていた、ある旧邸宅訪問がついに実現し、この上ない幸せ気分です。
その館は、ナポレオンの最初の妃ジョゼフィーヌの息子、ウジェーヌ・ド・ボーアルネが住んでいたもので、
建物の全館から放たれる煌きは、まるで宝石のよう。
セーヌ左岸の邸宅は1710年に建築が開始され、その後持ち主が数回かわり、ウジェーヌが手に入れたのは1803年。母の夫ナポレオンが皇帝になる一年前のことです。
瀟洒な館は、ジョゼフィーヌの高尚な趣味が選んだ家具で飾られ、重厚であると同時に洗練の極めがあります。バスルームは花園の中で憩っているかように豊富な植物の装飾があり、音楽室、舞踏会の間は天井も壁も華麗そのもので、人々の絶賛をかっていました。
ところが、1814年、ナポレオン打倒を叫ぶ連合軍がパリに進入。威勢を誇っていたナポレオンは失脚し、退皇帝位に追い込まれます。
パリに進入したプロセイン王ヴィルヘルム三世が、滞在中に暮していたのがウジェーヌの館。あまりにも美しい趣の邸宅に、すっかり魅了された彼はプロセインの大使館にします。
後年には、ビスマルクやワグナーが滞在したこともあるそうです。
時が流れ、第二次世界大戦でドイツが敗れ、邸宅はフランス政府所有となります。
けれども、1962年にドイツに譲与されることになり、現在はドイツ大使公邸。
ということで、よほどのことがない限り足を入れることは出来ないのですが、ナポレオン史学会がオーガナイズして最小限の人数で訪問となったのです。
これに感激しないではいられません。
重厚なエントランス。 エジプトの影響が見られます。 |
その後イタリア副王やヴェネツィア公、フランクフルト大公などの爵位を得ます。
彼はバイエルン王女と結婚し、ふたりの間に生まれた娘ジョゼフィーヌが、スウェーデン王子オスカルと結婚。後にふたりは国王、王妃となり、その子孫が現在のカール16世グスタフ国王。このように歴史を辿るとますます興味が深まりますね。