2018年12月1日

アール・ド・ヴィーヴルとパリジャン

長年親しくしている友人が,マレ地区に18世紀の大きなアパルトマンを買って、気に入るような内装工事を頼んですでに4年。

工事が遅れるのはフランスでは当たり前のこと。夏や冬だけでなく、春にも秋にもヴァカンスがあるから、その間の数日間工事がストップすることが多い。頼む人も頼まれた人も、それは当然の権利と解釈している。だから工事が予定通りに終わるわけがない。これは私も経験済み。

とういことで、友人もずっと仮住まい。そこでのディナ―に何度か誘われましたが、仮住まいといえどもインテリアに気配りがあり、行くたびにオブジェや家具、絵の位置に変化があるのでそれも楽しみ。

このように例え仮に暮らす住まいであっても、日々の生活をおごそかにすることなく、常に新鮮味を加える工夫をするのです。そうすることによって、細胞が活性化され人生が楽しくなるもの。



いろいろな時代のいろいろなスタイルが混ざっているのに
ハーモニーがあるサロン。フランス人ならではのセンス。
ネコちゃんもうっとり見とれます。

友人が毎週ウィークエンドを過ごす別荘のお庭に咲いているお花を飾って、
レッドワインとシンプルなおつまみで再会を祝って乾杯。

フランスはアール・ド・ヴィーヴルの国と言われますが、それは日々の生活を意義あるものにすること。無造作に、何となく、惰性で生きるのではなく、自分で工夫して一日一日を意識的に価値あるように生きること。その時その時を出来るだけ楽しく、美しく過ごすこと。

だから気心が知れている友人をお食事に呼ぶにしても、お料理だけだなく、アンビアンス作りにも気配りをします。お金をかけなくても、簡素なお花やキャンドルを灯すだけで、非日常の世界が生まれる、それを分かち合うのです。


ディナーはサロンのお隣のダイニングルームで。
ここにもお庭に咲く花が気取りなく飾られていて心地よい。

フランス人宅でキャンドルが灯されないお食事は考えられない。
キャンドルは雰囲気を盛り上げるのに欠かせない存在。

セーヌ川が眼下に見えるアパルトマン。
対岸にイルミネーションが灯された教会が見えて、
いかにもパリらしい光景。

お食事中もっとも重要なのは会話。今回はちょうど「ジャポニズム 2018」がたけなわなので、それが大きな話題。

こうなると次々と質問ぜめで、日本のことをもっとお勉強しなくてはと痛感するのも、毎回のこと。一応その場で知っていることを話しますが、家に帰ってあわててネットで間違いがなかったか確認することもある。で、万が一とんでもないことを語ってしまった時には、すぐに訂正のメールを送るようにしています。

でも、それだから進歩をするわけで、自分の意見をまとめる訓練にもなる。会話はアール・ド・ヴィーヴルに欠かせないことのひとつです。

お金をかけなくても生気にあふれる日々を送ることに余念がないパリジェンヌ、パリジャン。彼らに輝きがあるのは、毎日を最大に生きている自負があり、そのために心に豊かさが宿っているのでしょう。ポジティフなライフスタイルに学ぶことは多いです。

私がネコ好きなのを察してか、
ひざに飛び乗ってゴロゴロ、ゴロゴロ。
とってもかわいい。