若きころのイヴ・サンローラン |
イヴ・サンローランが亡くなって早くも5年。
時の流れの速さに驚くばかりです。
亡くなったときのサン・ロック教会での葬儀は
国葬に近く、
フランス大統領夫妻も参列。
すべてのデザイナー、経営者、
そして政界、経済界の主だった人が一同に集まった盛大な葬儀は、
まだ記憶に新しい。
翌年、1周年記念のミサを同じ教会で、
2周年記念のコンサートを
オペラ・バスティーユで行ない、
サンローランへの思いを新たにしました。
そして今年、5周年記念に再びオペラ・バスティーユで
サンローランに捧げるコンサートが開催されました。
最後のショーを終えた サンローラン |
サンローランになくてはならなかった、
ピエール・ベルジェのイニシアティヴです。
オリヴィエ・メシアン・ホールの舞台は
黒一色の布で覆われ、左右にサンローランの若かりし頃の等身大のモノクロの写真。舞台の上にはグランドピアノ。
シンプルでありながら多くを語るベルジェならではの演出。
約200人ほどの招待客に、
女優カトリーヌ・ドヌーヴ、
元文化大臣ジャック・ラング、
クリスティーズ・スランス社長の姿も見える。
ベルジェの挨拶に始まり、
ピアノ、ヴァイオリンの演奏。
サンローランがこよなく愛していたワーグナーとシュトラウスの作品が
ときには静かに、ときには力強く流れる。
その後コメディ・フランセーズの俳優による、
「イヴへの手紙」日本では「イヴ・サンローランへの手紙」の
いくつかの章の朗読。
まるでベルジェが目の前にいるサンローランに語りかけているような、
感情を込めた朗読に、ベルジェは感動の涙を浮かべていたほど。
ワグナー作曲のメゾソプラノの歌声がコンサートの最後を飾った、
ベルジェとサンローランにふさわしい上質な5周年記念コンサートでした。