メゾン「カルヴェン」の創立者、マダム・カルヴェンが6月8日、105歳の生涯を閉じました。
チャーミングな容貌と性格の マダム・カルヴェン。 |
お洒落をしたい年齢のときに、小柄な彼女に合う服がなく、それが不満でインテリア・デザイナーをあきらめ、服のデザイナーになった人で、クリスチャン・ディオールと肩を並べるほど評価されていました。
明るい色を好み、フレッシュで、フェミニンで、チャーミングで飾り気がない作品は、彼女の化身ともいえます。
幸運なことに、パリのフォッシュ通りの豪奢なアパルトマンと、シャンティイ城に隣接する彼女の別荘のシャトーに行く機会に恵まれましたが、このような暮らしをしている人が実際にいるのかと、驚きで息を呑んだほど美しく幸せな人生を送っていた人です。ご主人が大金持ちのコレクターだったのです。
パリのフォッシュ通りのアパルトマン。 18世紀の家具、美術品の中で 日常生活を営んでいたのです。 |
別荘のシャトーは、オーストリア皇后シシーが滞在していたこともあるそうで、その部屋が彼女の寝室。広大な庭では孔雀が色鮮やかな羽を大きく広げ、それからインスパイアしたドレスを創作したこともあるそう。
シシーが植えたという木の周りではカンガルーがピョンピョンと跳ねているし、花はいたるところに植えられ、芝生の緑がまぶしいほどで、ユートピアを目の前にしている思い。
シャンティイの別荘のシャトー。 オーストリア皇后シシーの ベッドルームをマダムが使用。 過ぎ去った遠い日の懐かしい写真です。 |
膨大な数の芸術品はルーヴル美術館に寄贈。GROG -CARVEN コレクションとして常時展示されています。その他ギメ博物館やモード博物館への寄贈も多く、このようにして彼女の名は語り続けられていくのでしょう。