2018年2月17日

メトロの駅名は語る 72

Crimée
クリメ(7号線)

クリミア半島で繰り広げられた、クリミア戦争(1853~1856)にちなんでいます。クリミアはフランス語でクリメです。
軍旗を授けるナポレオン3世皇帝。
クリミア半島で戦うフランス軍。
19世紀半ばのクリミア半島での戦争は、当初は東方問題で対立していたロシアとオスマン帝国の戦いでした。

ところがロシアが優勢に立ち、勢力が強くなることに危険と不満を抱いたフランスとイギリスがオスマン帝国側につき、戦闘が拡大。サルデーニャ王国もオスマン帝国を支持。

軍隊を訪れたオスマン帝国のスルタン。
多勢相手にさすがのロシアも屈服せざるを得ず、1855年5月、ロシアは敗北を認めます。

ロシアは戦争さなかにニコライ1世が世を去り、アレクサンドル2世が後を継ぎました。
そうした事情もあり、ロシアの勢力が弱まり、フランスを含む連合軍が栄光を手にした記念すべきクリミア戦争でした。

この勝利によって、当時のフランス皇帝ナポレオン3世の人気が急激に高まります。

クリミア戦争で一躍名を世界に知らしめた女性がいます。イギリスのナイティンゲールです。
「クリミアの天使」ナイティンゲール(1820-1910)
野戦病院のナイティンゲール。

裕福な家庭に生まれたナイティンゲールは、激戦地クリミアで負傷兵たちが充分な手当てを受けられないでいるのを知ると、志願して戦地に向かいます。

彼女が戦地に行って受けたもっとも大きな衝撃は、戦いより不衛生な病院で命を落とす兵士の方がはるかに多かったことです。

実情に心を痛めたナイティンゲールは、昼夜を問わず看護師として働き、病院の掃除を率先して行い、設備や治療の向上に努めます。

「クリミアの天使」と呼ばれるようになったナイティンゲールは、その後の看護師養成学校の発展に大きな影響をあたえています。