2020年7月16日

メトロの駅名は語る 153

Convention
コンヴァンション(12号線)

1792年9月20日から1795年10月26日までの革命期に存在していた、普通選挙により成立した議会、国民公会(フランス語でコンヴァンション・ナショナル)にちなんだ名前。

当初、コンヴァンション・ナショナルは
コンコルド広場近くにあった
屋内馬術練習場に置かれていました。
ルイ16世の裁判はここで行われたのです。
国王処刑後の1793年5月10日から、
チュイルリー宮殿内にあった劇場が
コンヴァンション・ナショナルの議場になります。
屋内馬術練習場よりはるかに広い議場です。

1792年9月21日に王政を廃止し、第一共和政を宣言したのがコンヴァンション・ナショナルで、革命政府の中央機関でした。その後、第一帝政、王政復古、第二共和政、第二帝政、第三共和政、第四共和政と目まぐるしく変わり、現在は第五共和政で大統領はエマニュエル・マクロン。

マクロンが大統領選の選挙事務所を置いたのは、コンヴァンション通りとシャルル・ヴァラン広場で交わるラべ・グルルト通り99番地。前大統領二コラ・サルコジの選挙事務所はコンヴァンション通り18番地だったことから、大統領を目指す人にとってコンヴァンション通りは重要な意味を持っているのでしょう。

パンテオンの中にコンヴァンション・ナショナルに捧げられた、
大きな記念碑があります。

メトロの駅があるコンヴァンション通りは1888年から造られ、1893年暮れにこの名がつけられました。コンヴァンション通りは庶民的な商店が多く、気取りのない地域で特に若者たちに好まれています。立ち並ぶ建物の中でとくに注目したいのは、1900年に建築された170番地のネコの装飾。建築家はポール・ルグリエルで同じ通りに全部で3つの建物を担当しています。

番地の上のネコを見逃さないようにしてニャー。


28番地の教会、サン=クリストフ・ド・ジャヴェルも一見の価値があります。1930年に建築された鉄筋コンクリートの教会です。新時代にふさわしく新しい試みがなされていて、他の教会で味わえない特有の趣があります。サン=クリストフは幼い子供の姿で現れたイエス・キリストを背負って川を無事に横切って対岸に連れて行ったために、旅人たちを守る聖人とされています。外観も近代的ですが中のステンドグラスもコンテンポラリーなのが多く、親しみが感じられます。

サン=クリストフ・ド・ジャヴェル教会。
中央に幼い子供の姿のキリストを肩に背負うサン=クリストフが
描かれ、左右には光が勢いよく散らばるようなステンドグラス。
新旧のハーモニ―にオリジナリティーがあります
キリストを背負って川を横切るサン=クリストフ。
15世紀のドイツの画家コンラート・ヴィッツ作。