2009年12月24日

ディアンヌ・ドゥ・ポワティエ

金を飲み続けると色白になるとか、
いつまでも若さを保てるという秘訣は、
女性にとって耳よりなお話。

フランスの宮廷にも、それを信じて実行していた女性がいました。
ディアンヌ・ドゥ・ポワティエ。
16世紀のフランス国王アンリ二世の愛妾だった人。
国王はディアンヌより19歳も年下でした。
それにもかかわらず国王は、最後の日までディアンヌをひたすら愛し続けます。
カトリーヌ・ドゥ・メディシスという大富豪の娘と結婚していたにもかかわらず。

フランス・ルネッサンス期にふさわしい、
教養豊かで、うっとりするほどの美貌にも恵まれていたディアンヌでしたが
さまざまな努力もしていました。
時間があるかぎり乗馬をし、真冬でも冷水を浴びていたのは、
体を引き締めるため。
そして、若さと透き通るような白い肌を保つために、
彼女は金をブイヨンにして飲んでいたのです。
しかも、毎日。

12月23日のフィガロ新聞によると、
彼女の死の原因は、金を多量に飲んでいたためとのこと。
残されていた髪の毛の鑑定で、それがはっきりしたのです。

それを知って私は思わずドキッとしました。
なぜって、体にいいと聞いていたので、
金の入ったチョコレートをよくいただいていたから。
チョコレートの上に薄い金箔がのっているのは、
見た目にも美しいし、口に入れたら同じように美しくなるようで、
心をはずませながら食べていたのです。

でもこれからは気をつけなければ。
新聞によると、金を入れた化粧品も多いとのこと。
それも要注意。

それにしても、19歳も年下の国王の心を虜にしていたのですから、
ディアンヌ・ドゥ・ポワティエはうらやましい女性です。
彼女のことをもっと詳しく知りたい方は、
「国王を虜にした女たち」講談社+α文庫を
読んでくださいね。
まじめに調べて書いた本です。

2009年12月21日

雪です!

雪です !
                       
パリにも雪が降りました。
残念ながら「見渡す限り雪景色」とは言えませんが、
やはり雪のパリの美しさは格別。
見なれたエッフェル塔も、凱旋門も、
装いを新たにしたかのように新鮮。

山や川、民家がある地方に降る雪は、
自然との素直な調和があるので、心がなごみます。それにくらべて、
パリのような人工的な石造りの街に降る雪には、意外性があるので刺激的。それだから、感動もひときわ大きいのです。

雪を見てすぐにしっかりと身仕度を整え、
近くのチュィルリー公園に向かいました。
なぜならそこには、いつもエサをあげているたくさんのお友達がいるから。
アヒル、ハト、スズメ、カモメ。
彼らがこの寒さの中、どうしているか気になったのです。

小さなスズメは、葉をつけた木の中にもぐっているし、
アヒルはどこかに集団で避難しているらしく、姿さえ見せていない。
ハトは木や彫刻の上にのり、
雪の上に足をつけない工夫をしているようです。
一番元気なのはカモメ。凍った池でスケートをしたり、
おしゃべりしたり、乱れた羽を整えたり。

その様子を私の隣でフランス人の親子が見ていました。
四歳くらいの男の子が
「カモメがいる」
と言うと
「よく見てごらん。カモメたちが氷の上を歩いているよ。モーセと同じように」
とパパ。
たしか、モーセは海を割ったのだと思ったけれど、
親子の日常会話の中にモーセが登場するとは、
フランスの未来は安全だ、とホッとしました。

2009年12月7日

スエーデン、ヴィクトリア王女


モナコのアルベール大公がいつまでも独身を続けているのに比べて、スウェーデンでは未来の女王のヴィクトリア王女と、妹のマドレーヌ王女がダブル婚約。

モナコがフランス人にとって気になる存在であるように、スエーデン王室の動きも見逃せないようです。それというのも、現国王カール16世グスタフの先祖は、フランス人だから。しかも、ナポレオンの部下だったベルナドットと、ナポレオンの初恋の人デジレの間に生まれたのですから、他人事ではないのです。

ナポレオンの時代に活躍したフランス人のジャン=バティスト・ジュール・ベルナドット将軍が、スウェーデン王家に迎えられたのは1810年のこと。その年に、当時の国王カール13世の王太子が急死したために、将来の国王にふさわしい人物を探さなければならなかったのです。

そのとき名があっがたのがナポレオンンの元で大活躍していたベルナドット。スエーデンに常に好意的だったことが、彼に幸運をもたらせたようです。1810年にスウェーデン王太子になったベルナドットは前国王が世を去った1818年にカール14世として王座につき、その妻デジレはスウェーデン王妃になリ、パリ生まれの息子オスカルは王太子になったのです。

デジレ

フランスとの関係はその後も深まります。
というのは、オスカル王太子が、ナポレオンの妃ジョゼフィーヌと前夫との間に生まれた息子ウジェーヌ・ド・ボーアルネの娘と結婚したから。ややっこしいのは、オスカルと結婚したウジェーヌの娘もまた、ジョゼフィーヌという名前だったこと。

このようにフランスと縁が深いスウェーデン王室。
将来女王になるヴィクトリア王女のフィアンセが、スポーツジム経営者だったことも何の障害にもならず、ふたりの幸せを心から願っているとは、何と理解ある国民。
「私自身が幸せにならなければ、大役をこなすことは出来ません」
と、はっきりと宣言したヴィクトリア王女。
自分の意見をきちんと述べるのは、フランス人の血が入っているからかも。

2009年12月5日

サタデー・ナイト・フィーバー


オペラ通りからのびるサンタンヌ通りの土曜の夕方は、異様な光景が毎週続いています。あちらこちらに行列が出来るのです。


気候のいい春から夏にかけてならともかく冬の骨まで凍りそうに寒い日でも、雨の日でも、行列、行列、そしてまた行列。そのほとんどがフランス人。

カップルもいれば、若者のグループ、家族連れもいる。
いくつもある行列からは、楽しげな話し声や快活な笑い声がわき上がり、道路一面に熱気が満ちている。

これはいったい何事、と行列の出発点に向かっていくと、それがナンと、ラーメン屋、うどん屋、お好み焼き屋なのです。

高級な和食レストランは以前からパリに何件かあったとはいうものの、日本の国民食とも言える、うどん、そば、ラーメン、焼きそばなどに、これほどフランス人が熱中するとは、驚き、驚き。一部のフランス人の関心をひいているのではなく、ごく普通の人の日常生活に必要な食になっていることが不思議。フランス人が、きつねうどんやみそラーメンを行列をまで作って食べるなどと、いったい誰が想像できたでしょう。

数年前まではスシ、サシミ、すき焼き、てんぷらなどが和食の定番でした。
馴染みのないそうしたお料理の名をすらすらと言えるだけで、
ステイタスになっていたほど高級感があったし、インテリのようにさえ思われていたのです。
お料理の名を聞いただけでは、どういった内容のものかさっぱりわからない。
そのために、近寄りがたい高尚なイメージがあったのも確か。しかも高い。
和食はほとんどのフランス人にとって高嶺の花だったのです。

ところがいつの間にかサンタンヌ通りの両サイドに、
庶民的なラーメン屋が軒を並べるようになり、爆発的な人気を呼び、
サタデー・ナイト・フィーバーの現象を起こすまでになってしまったのです。
これを見て、日本人はすごいと思いました。
食にこだわるパリジェンヌ、パリジャンの実生活に、これほどの影響を与えたことは、
とても重要なことのように私には思えます。
日本人によるフランス人の食生活の革命と呼んでいいほど。

このフィーバーは熱する一方で、
サンタンヌ通りのカフェなどが次々に買収され、
ラーメン屋のメッカになっているだけでなく、
手頃な値段の和食レストラン、というかお弁当屋さんも続々登場。

日本が世界一の長寿国であることと、
スリムな人が多いことがフランス人を刺激していることは確か。
でも、ラーメンが和食の代表的な食べ物だとは思わないでほしいですね。

2009年12月3日

シャトレのつぶやき2 運命の日


ワタシがママンに出会ったのは12年前のこと。出会いの場所はシャトレ。そこからワタシの名前が生まれたの。
ある日、ママンが、お花や動物を売っているシャトレに行った時のこと。犬やネコや鳥やハムスターやウサギや金魚などの専門店に何となく入ったのです。
そのときワタシは、お友達だか姉妹だかよくわからないけれど、
何匹かで楽しく暮らしていたの。
そうしたら、突然、お店の人が
「このネコですか?」
とワタシを抱き上げて、見ず知らずの人に顔を見せたら、
「まあ、かわいい!」
って大きな声を出して、
「これにします」だって。
その時ワタシは生後三ヶ月のかわいい盛り。

こうしてワタシはママンのアパルトマンに暮らすことになりました。
でも人間との生活になれていないので、
最初のうちはドキドキ、ビクビクの連続。
そのたびにバスルームに逃げ込んでいました。
でも以外と居心地がいいので、家出する必要もないみたい。
ただ、いろいろと疲れるママンなのです。
その第一はワタシにやたらと言葉を教えること。
この苦労話は次回に・・・ネ。
ニャン

2009年12月2日

著書



ディオールの世界
集英社


ディオールと華麗なるセレブリティの物語
講談社


Yves Saint Laurent
The Beginning of a Legend
アルク出版


フランス革命秘話
大修館書店


国王を虜にした女たち
講談社+α文庫

マリー・アントアネットとフェルセン 真実の恋
講談社+α文庫

マリー・アントアネットと悲運の王子
講談社+α文庫


息子を国王にした女たち
講談社+α文庫


ナポレオンが選んだ三人の女
講談社+α文庫


ヴェルサイユ宮殿密謀物語
大和書房文庫


パリのフローリスト、パリのお花屋さん
フォーシーズンズプレス


セザンヌ 〔共著〕
婦人画報社


ヴェルサイユ 王の悦び 〔翻訳〕
Les Editions du Huitième Jour


花の向こうに 〔翻訳〕
世界文化社

2009年11月30日

雑誌、テレビ、講演、トークショー


連載
ミセス「華麗なるフランス女性」2009年
ミセス「川島ルミ子のパリ紳士録」2007年

記事
美 プレミアム「ハイジュエリー」2012年夏号
ミセス「ルサージュとシャネルの華麗なる世界」2012年7月号
家庭画報「パリを魅了した日本発のデザイン照明」2012年5月号
美 プレミアム Spring号「マリー・アントワネット」2012年3月
家庭画報別冊「エルメスのすべて」2012年3月
家庭画報2011年11月号
ミセス2011年11月号
ミセス2011年10月号
ミセス2011年9月号
婦人画報2011年5月号
装苑2011年5月号
ヴォーグ・ジャパン2011年5月号
ミセス2011年3月号
ミセス2010年12月号
ミセス2010年11月号
婦人画報2010年10月号
シグネチャー2010年8、9月号
ミセス2009年12月号
婦人画報2009年10月号
シュプールリュクス2009年10月号
Madame Figaro  2009年5月
Point de Vue2009年5月
華報2008年秋号
華報2008年夏号
ミセス2008年5月号
Point de Vue2008年3月
Télérama
Hors série
2008年3月
マリソル2008年1月号
Point de Vue2008年10月
ハーパース・バザー2007年5月号
朝日新聞2007年7月27日
グラツィエ2007年3月号
女性自身2007年2月6日号
ミセス2007年2月号

テレビ
日本テレビ「ザ・ヒストリアン」2008年8月16日

講演、トークショー
メゾン・デ・ミュゼ・ド・フランス2011年4月
銀座 和光2010年5月
東京帝国ホテル2009年8月
大阪帝国ホテル2009年8月
六本木アカデミーヒルズ2008年11月

クリスマス

シャネルは繰り返し語っていたそうです。色はたくさんつけるほど醜くなるもの、と。

そのためにシャネルは黒一色とか、
襟と袖口だけに白をあしらった服を作っていたのです。それはとても清涼感があり、多くの女性を魅了。


シャネルのこの色に関するこだわりを思い出させるのはパリのクリスマス装飾。
シャンゼリゼの両サイドの街路樹に飾られた、無数の豆電球から放たれる透明感ある白色の光。コンコルド広場にこのシーズンのために設置された大観覧車や、ヴァンドーム広場の四隅のクリスマスツリーから発せられるのも、同じように透明感ある白色の光。

色を最小限におさえたそうした装飾は、身も心も洗われるほど美しい。
この素晴らしいイルミネーションを見るためだけでもこの時期にパリを訪れる価値あり。

パリの人はいつも感じがいいとは言えないけれど、こうしたすぐれた感覚を見せられると、どうしても許してしまうのです。

そのためにいつまでもパリから離れられないのが事実。

モナコ、キャロリーヌ王女



今話題になっているのは、
何と言ってもモナコのキャロリーヌ王女。
由緒あるハノーヴァー家のプリンスと結婚し、それと同時にプリンセス・ハノーヴァーの称号を得て、幸せに暮らしているかと思ったら、いまや離婚まぎわ。
モナコはれっきとした独立公国。
それなのにフランス人はモナコを、
フランスの一部のように考えている人も多く、
まるで自国のことのように気になって仕方ないのです。
キャロリーヌの今回の不幸も見逃せないとばかりに雑誌が書きたて、
やはり彼女にはモナコのファーストレディーの役がぴったりと報道。

ところが世の中は複雑なもので、
アルベール大公にはフィアンセのような立場の
チャーミングなシャルレーヌがいる。
彼女の立場はどうなるのかと、これまた大騒ぎ。
こうなるとますます気になるモナコの情勢です。

2009年11月28日

シャトレのつぶやき1 ボンジュール

                                  
はじめまして、シャトレです。
ワタシが生まれたのはパリ。
女の子だからパリジェンヌと呼んでいただきたいの。

でも、体中に毛が生えていて、しかも四本の足。
なぜか何を言ってもニャーンという発音になってしまいます。
人間たちはワタシをネコだと言います。

もしかしたら本当にネコかも知れないと思って鏡を見てみたら、
やはりネコの顔と姿。
それでも気に入って下さったらワタシのつぶやきを
これからも読んでくださいね。

ニャーン