2010年2月14日

バレンタイン村

2月14日は愛の日。
バレンタインデーと呼ばれるその日、朝からウキウキ、ドキドキで落ち着かない人が続出。今日こそあの人に心の内を打ち明けようかしら、もしかしたら、かの人から意味深々のメッセージが送られて来るかも、この人もひょっとして何か意思表示するかも・・・

外国の製品だけでなく、祭日さえも輸入する日本は派手にお祝いするようですが、
フランスも負けていません。フローリストは真紅のバラを主役とした花束を作り、
チョコレート屋さんも様々な色、様々なフォームの特別製品を製作してバレンタインデーの熱気をもりたてます。デモ正直言って買うのは日本人が一番多いそう。

パリから約300キロメートルほど行ったところには
何とバレンタイン村があるのです。
これはほんとうのお話。
そういう名の村であるからにはバレンタインデーに行くべきだと、
心躍らせながら行ってみると、期待は裏切られませんでした。
何しろ村役場の外壁には、赤やピンクの造花のバラで作った巨大な
ハート飾りがあるし、
レストランや個人の家のドアにも窓辺にも、
花飾りや恋人たちを描いた絵が所狭しと飾られ、
街路樹には紙で作った花がびっちり。教会の庭も2月だというのに
ピンクの造花が満開で、それはそれはロマンティック。
人口は270人ほどというのも、お店がないのも、
現実離れしていてバレンタイン村にぴったり。
村役場では村長さんが2月14日に結婚したカップルを祝福する儀式もあるし、
何年も前でも2月14日に結婚したという証明書があれば、
ちゃんと結婚確認書なるものをいただける。
ロバが道路をのんびり歩いたりのサービスもあるし、特製郵便局も出現して、
そこでバレンタインデー特別スタンプをおしてもらい、手紙を世界中に送れる。

田園光景が飽きるほど続いた後、突然現れる小さなバレンタイン村は、2月14日を中心とした3日間は
花とハートがあちこちに飾られ、祭典で村中がにぎわうけれど、
それが終わると元の静かな村に戻るという、
なんとも不思議な、おとぎ話に登場するような村。
こういう思いがけない地方があるのも、フランスの魅了のひとつ。
これだから、フランス探検がやめられない。