2010年2月16日

どこまでも芸術的なパリ

パリが世界で一番美しい街であることは、誰もが認めていること。
彫刻や浮き彫りで飾られた石灰石の建物が生む街並には、
整然とした美が息づき、
セーヌ川にかかる橋も、それぞれ独自の趣がある。
夕暮れ時に薄明かりの中に浮かぶ光景は、どこを見ても息を呑むほど感動的。

そうしたパリですが、他の街と同じように工事も多い。でも大きな違いがあるのです。
それは、工事現場の見苦しさを見せないような素晴らしい工夫をすること。
マドレーヌ教会近くにあるチェルッティのブティックが、現在、改装中ですが、コンタンポラリーな絵で周囲をぐるりと囲んでいるために、中の工事の様子が一切見えない。しかも、さわやかな色合いなので、快適なリズム感があり、現代生活にぴったり。


こうした配慮は以前にもありました。
シャンゼリゼのルイ・ヴィトンの場合には、ふたつの巨大なカバンが絵に描かれ、あまりにもリアリティーに富んでいるものだから、最初に見たときには本物かと思ったほど。手でさわってやっと絵だと納得。
ご存知のように、本物の製品は販売員がまるで壊れ物のごとくに扱い、お客はただ眺めるだけ。だから、このときとばかりに何度も何度も心行くまでさわりました。
同じ時期にカルティエ本店もリニューアル工事。外側にカルティエのシンボルと言える、真紅のボックスが描かれ、それが巨大であるだけに、私がつくため息も巨大。

このように、見苦しい工事現場でさえも、優れた芸術にしてしまうフランス人。だから、性格が良くない人が多くても、またまた許してしまう。そして、やはりパリは世界で一番美しいと、感激を新たにして今年もまた暮らしているのです。