ピカソの自画像 |
近代絵画の巨匠ピカソの作品271点が、突然、あらわれたのです。そのほとんどはデッサン。
この驚くほど貴重で高価な作品の持ち主が、ピカソの家で仕事をしていた電気工事技師とあって、問題になっているのです。
南仏に住むピエール・ル・ゲネック、71歳は、ピカソが南仏に持っていた何件かの家の電気工事を長年にわたっておこなっていた人。
271の作品はダンボールに入っていて、1971年にピカソの妻ジャクリーヌからその状態で譲り受けたのだ、と彼は主張。
ということは、ピカソ存命中のことなのです。
自分の作品の価値をよく知っていたピカソほどの人が、その多くを電気工事人にあげることを、同意するわけはない。となると、ジャクリーヌはピカソに無断であげたのだろうか。しかし一体何のために、とこれも疑問。
もしかしたら、ダンボールの中に何が入っているか知らないで、ジャクリーヌがル・ゲネックにあげたのかもしれない。
第一、作品にはサインもなければ、あげる相手の名もない。
これはとても大きな疑問。
パリ・マッチ誌も特集で報道 ル・ゲネックのガレージに40年間 眠っていたピカソの作品の一部 |
そして今年の秋、作品が確かにピカソ本人のものであることを証明してほしいために、ピカソの子孫にコンタクトをとったというのが、彼の言い分。
何しろ自分は年をとってきたし、体の調子も悪い。息子たちが困らないように、今の内にきちんとしておきたかったという。
何度か手紙でやり取りした後、彼はガレージに閉まっておいた作品をトランクにつめ、
9月9日にパリに向かい子孫に面会。
ひとめ見ただけで、本物であることを見抜いたピカソの息子であり、ピカソ遺産管理責任者のクロード・ピカソは、その場では何も具体的なことはいわず、ル・ゲネックは作品と共に南仏へと戻りました。
それから約一ヵ月後の10月5日、ピカソの子孫たちの訴えにより、271の作品が突然押収され、ル・ゲネックは尋問されます。
自分は決して盗んだのではない、これらはすべてもらったものだと、ル・ゲネックは繰り返し主張を続けていますが、
その証拠は何もない。
今のところはそれ以上発展していませんが、
真実をしりたいのはやまやま。
何しろ、271の作品の多くは1920年代のもの。ピカソの子孫によるとたいへん貴重なものだそう。
世界中の美術館が欲しがるような作品が多く、売った場合には少なくとも6000万ユーロ、もしかしたら1億ユーロ。
ル・ゲネックがいうように、彼が贈与されたのであれば、それは彼の権利となるのでしょうか。でも、その証拠がないとなると・・・・
調査が進んでいつ真実が発表されるか、新聞も雑誌もテレビも取材に忙しい日々。
それを追う私もとても忙しい。