2012年7月3日

オートクチュール

サロンの驚異的な装飾に
心が躍るばかり

ジョン・ガリアーノ解雇後、しばらくの間主任デザイナーが決まらなかったディオールが、
今回新デザイナーによる初めてのコレクションを発表。

凱旋門近くの瀟洒な旧邸宅を会場として選んだことから、新たに迎えた主任デザイナー、ラフ・シモンズへの期待がいかなるものか感じられます。


赤いバラ、ラン、ケイトウの
花が床から天井までびっしり。

興味にかられて集まった多くの人々の間を抜けて館の中に入ると、
つぶぞろいの男性がシャンパンをふるまい、まるで往年の社交場。

幅広い階段を上った二階では驚きと感激が倍増。
コレクションが発表される5つの会場の床から天井に至るまで、
無数の花で飾られているのです。
赤の花の間、ピンクの、白の、ブルーの、イエローの間、と。

それぞれのサロンにほどよくイスが置かれていますが、
誰もがこの驚異的な花装飾に心を奪われ、
座るどころではない。
あちらでもこちらでも記念撮影。

メゾン創立者のクリスチャン・ディオールは花をこよなく愛する人だったのです。

ノルマンディーのグランヴィルにある生家の庭園には、種々様々な花が咲き乱れ、そこをディオールは美しい母と散策していたのです。

そうしたディオールへのオマージュがラフ・シモンズの意図なのでしょう。
彼のディオールでの初のコレクションは、
創立者が求めていた「花のように美しい女性」が見事に表現されていました。

決して単なる回顧ではなく、彼なりの若さがあり、冒険もあり、
さわやかな風の動きが感じられる作品で、ディオールが新たな時代を迎えたことが伝わってきました。
今まではどちらかというと観賞用というか、実生活から程遠い存在のオートクチュールでしたが、今回のは現代の生活に結びついている印象。

次のプレタポルテに大きな期待を持たせるコレクションでした。
親しい友人フィリップ