2012年10月11日

ベル・エポックにひたる心地よさ

ピエール・ベルジェーイヴ・サンローラン財団
ベル・エポックはフランス人がもっとも好きな時代。経済的に豊かだったその時代は文芸が発達し、人々は美しく着飾り夜毎オペラや観劇を楽しみ、サロンでは機知に富んだ会話が飛び交い、フランス中が華やぎに満ちていました。

ジャック=エミール・ブランシュ作の
マルセル・プルースト肖像画。
プルーストが大変気に入り
常に身近においていた作品。
そうした時代のハイソサエティを見事に綴ったのが、プルースト。
大作「失われた時を求めて」を読むと、優美な生活がまるで今、
目の前で繰り広げられているよう。

そのベル・エポックの代表的な画家がジャック=エミール・ブランシュ。
彼の名を知らなくても、プルーストの肖像画は見覚えがあるはず。
ブランシュはプルーストと親しく、父親がどちらも医者だったという共通点もあったのです。

当時の人物を描いたブランシュの絵の展覧会を、
今、ピエール・ベルジェーイヴ・サンローラン財団で開催中。
注目したいのはそれが単なる絵の展覧会ではなく、
ベル・エポックの時代の邸宅に招かれたかのような素晴らしい演出がなされていること。

その時代の家具やオブジェ、屏風などもあり、
会場はいくつもの部屋に分かれていて、
そこをゆっくりと歩いていると、
オーナーが姿を現わしそうな錯覚に陥るほど。

人脈が広いブランシュが描いた彫刻家ロダン、作曲家ドビッシー、作家ジイド、画家ドガ、若いコクトーなどの肖像画は、いかにもブルジョワ的でよき時代が伝わってきます。
何度も訪れたいほどのベル・エポックがそこにあります。

10月10日の前夜祭に多くの招待客がいらしていましたが、どなたも整った身なりとおしゃれな会話で、それもまたベル・エポックのよう。
パリの深さが心にしみるようなひとときでした。

2013年1月27日まで開催。
5 avenue Marceau
75116 Paris