マザランが所有していた 17世紀の日本の長持。 漆が四面と中にもびっしり施されています。 |
17世紀に日本で製作された、
漆加工をほどこした長持が、
フランス人の興味をひいています。
作品自体も素晴らしいけれど、
それを購入したのが
フランス歴史上最大の国王と謳われる、
ルイ14世の宰相であり枢機卿の
マザランだったことが判明。
そのために興味が倍増しているのです。
青年時代のルイ14世に、
国王の地位安泰のために、
絶対王政を確立することの重要性を説き、
国王を支持しながら
それを実現させたマザラン。
当時、彼の威勢は王をしのぐほどのものだったのです。
親政をおこなうようになった 1661年のルイ14世 |
マザランが世を去った1661年から
親政をおこない、
ブルボン王朝の偉大さを
世界に示したルイ14世ですが、
その基盤を築いたのがマザラン。
マザランは政治にたけていただけでなく、
文芸に造詣が深く、世界の美術品や蔵書を
長年にわたって収集。
抜きん出た人物であるだけに、
クオリティも数も破格。
叢書は、パリ市内にある
マザランの名を冠した図書館に保管され、
美術品は子孫に引き継がれ、
その多くがオークションで様々な人手にわたっていったのです。
今回話題になっている長持は、偶然に発見されたもの。
あるフランス人夫妻が、
家を処分して老人ホームに住む決心をし、
家具調度品もあることだしと、
オークショナーに頼むことにし、
たまたまテレビで見かけたブイヤックに依頼し、
自宅に来てもらう。
イタリア出身の 偉大なマザラン。 |
ではワインでも、と父親が自慢していたワイン箱を開けて
ワインを取り出し乾杯。
そのときブイヤックは目にとめたのです。
ワイン入れに漆加工がしてあるのを。
その家具を注意深く見ていたブイヤックは
大衝撃を受けました。
ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館
(私が一番好きな博物館!!)で目した
マザランのコレクションとあまりにも似ていたからです。
急遽家に戻った彼は、
詳細にわたる調査をし、
その結果、長持はマザランが
オランダ人から購入した四つの家具のひとつであることが判明。
年の経過と共にいろいろな人の手にわたり、
フランス人夫妻の父親がロンドンの競売で買って、
ワイン入れにしていたのでした。
マリー・アントワネットの コレクションのひとつ 革命を逃れた貴重な作品。 |
1640年ー1650年の貴重な作品だそうで、
世界のコレクターの目が光っています。
何しろ日本の漆は大評判で、マリー・アントワネットもコレクションしていたほど魅力的なのだから。
こうした宝物が隠れているのも歴史ある国ならでは。
我が家のカーヴも一度真剣に見てみよう。
何しろベルエポックの時代の建物だから、
今までに暮していた人が何か残しているかもしれない、と春の暖かい空気にふれながら思ったりしています。