2014年10月28日

パリの犬たち 15

バスに乗るときには・・・
ハーイわかってま~す。
だからちゃんとバッグを用意してきたの。
右のルイ・ヴィトンのマダムが私のママン。
ワタシたちそろってお洒落なのヨ。ステキなコンビでしょ?

2014年10月24日

ルイ・ヴィトン財団美術館

一見、巨大な船のような
ルイ・ヴィトン財団美術館

ブローニュの森の中に、ルイ・ヴィトン財団美術館がいよいよ完成。

フランス一の大富豪ベルナール・アルノーが会長を務める、大企業グループの計画であるからには、破格なものに違いないと前評判が高く、しかも奇妙な建造物を世界のあちらこちらに実現している、話題のアメリカ人建築家フランク・ゲーリーに設計を依頼したことで、ますます関心をひいていた美術館。

はやる心を抱えながら訪問すると、
噂の通り不思議な建物。

知り合いのドイツ少年たちと。







ヨットの帆からヒントを得たという、曲線を描くパネルが複雑に絡み合っているのです。しかもそれがガラスでできている。でも複雑すぎて何がナンだかよくわからない。

見方によっては雲のように見えるし、遠くから見ると帆を張ったまま動いていく巨大な船にも見える。こんなことを言ったらアルノーやゲーリーに怒られるかもしれないけれど、どこか見知らぬ惑星から、見知らぬ乗り物が森の中に降り立ったみたい。

それにしても何と大胆な建物。これが現代というか未来というか、とにかく尋常の感覚では理解しがたいかも。

大きな魚の体の中に
いるようにも思える。

美術館というと、頑丈そうな壁に四方を守られているのが多いけれど、ルイ・ヴィトン財団美術館は、各階に行く階段が吹きさらしの中に、つまり戸外にあるように思える。それも多分ガラスが多く使用されているので、そうした錯覚を起こすのでしょう。

つまり、美術館内にいるようでありながら、そうではなく、その周囲を囲む外の緑や空と一体になっているような印象を持つのです。
中にいる限りでは、船の帆ではなく、雲の下にいる感覚の方が強い。

いたるところから見える外の景色がまた素晴らしい。

オープニングはオランド大統領出席のもとに行なわれ、単なる企業グループのメセナではなく、パリの、フランスの誇りとなる美術館である印象を与えました。
テラスがいたるところにあり
絶景も楽しめます。

住民の反対にあって、一時期工事がストップしたこともあるけれど、今後は名所として多くの訪問者を迎えるでしょう。

「ルイ・ヴィトン財団美術館」というバス停まで誕生し、足の便まで考え、しかも実現したのはやはりアルノーならでは。

27日から公開です。


2014年10月22日

コラムが始まります

夕日の中の美しいパリ

朝日新聞土曜版beに、
コラムを書くことになりました。
4人が交代で土曜日のコラムを担当するので、
一ヶ月に一回ずつとなります。

すでにこのコラムは始まっていて、
私は10月25日の土曜日からスタート。
「川島ルミ子のパリ発 現在・過去・未来」
というタイトルで、
パリの様々な様子をお伝えします。


黄金色に輝くオペラ座の彫刻
長年住んでいる
大好きなパリは、
書ききれないほど豊かな話題に満ちた街。
この機会に、より多くの方々にパリの魅力を
知っていただけたら嬉しいです。

朝日新聞土曜版beは、日々の生活に役立つ内容が多く、とても有意義で参考になります。
ということで、私も大ファン。
皆様も楽しんでください。

コラムのお陰でパリの見方も変わりそうです。

2014年10月16日

バカラ 創立250周年記念展覧会 

王国貴族のテーブル製品。
大きなため息が出るばかり。

今プティ・パレがクリスタルの輝きで眩しいほどです。

クリスタル製品の王者バカラが、フランス国王ルイ15世の庇護のもとにロレーヌ地方に誕生して今年で250年。
それを記念して、1855年から1937年の間に製作された主だった作品をプティ・パレで展示。
フランスが誇る美術工芸品の素晴らしさを、心行くまで堪能できます。

ベリー公爵夫人の化粧台と椅子
19世紀の作品。典雅な香りが
漂っています。
眩しいほどの輝きを放射線状に放つ華麗なシャンデリアは、どれもこれもこの上なく煌びやかだし、王侯貴族のテーブルウエアは夢のようにエレガント。

椅子や化粧台にもバカラのクリスタルを使用していて、このような製品を日常生活で使っていた人もいたのかと、世の中の広さにいまさらながらびっくり。

ロシア最後の皇帝ニコライ二世や、インドのマハラジャ、アメリカ大統領のグラスなども展示してあり、権力者の豪奢な生活を垣間見ることもできます。

アメリカ人のグラフィック・デザイナー
クリスティナと。クリスタルの輝きで
私たちのチャームがかすんでいます。
当時の様子を表す絵や写真も展示されているので、その時代のアール・ド・ヴィーヴルがいかなるものか、心の奥深くまで伝わります。

フランス人の卓越した美的感覚、熟練の技、伝統を継承する職人魂が、このような素晴らしい製品を生み、今でも継続しているのかと思うと、この国への評価や賞賛が強まります。

フランス人は頑固なところがあるけれど、
それがこうした伝統をいつまでも持続させているのでしょう。

2015年1月4日まで開催。

2014年10月13日

パリの犬たち 14

美容院のお店番はお任せを。
この美容院で働くようになって早くも5年。
もうベテランだワン
ウン?あっちから近づいてくるのは
あのうるさがたのマダム。
でもお得意様だから丁寧にお迎えしなくては。ちょっと緊張。

2014年10月9日

コンサートとワインのステキな夕べ

オクチュオール・ドゥ・フランスの熟練演奏家たち
優れた演奏家が集まり様々な場で活躍しているオクチュオール・ドゥ・フランス。
卓越した力量が感じられる演奏は、いつまでも心に残る感動を与えます。

今回はハイドンとベートベンの作品の演奏。
その会場は、1856年に建築されたウジェーヌ・ナポレオン財団のチャペル。
もともとはナポレオン3世の妃ウジェニー皇后の希望で建築された、
恵まれない家庭の子女のための寄宿学校がこの地にありました。

コンサートの前にサロン・ウジェニー皇后で
ウェルカム・シャンパン。
後方はナポレオン3世の妃、美麗なウジェニー皇后。
その建築当時の美しい壁画、天井画、ステンドグラスが残っているチャペルで開催されたコンサートには、格別の味わいがあります。

見上げるばかりに背が高い天井に向って響き渡る音色は、ときには力強く、時には
優しさがあふれ、
平和で感動的な世界に浸る貴重なひとときは忘れがたい。やはりクラシックはいいと、再認識しないではいられない素晴らしい演奏。

その後は、味覚の秋にふさわしいワインの試飲。しかもフランスが誇る3酒のレッドワイン。
歴史を刻んだチャペル、クラシック、ワイン、終わりなき談笑。
いかにもパリらしい、芸術のシーズンにふさわしい夕べでした。

2014年10月7日

ル・ノートルの今年のクリスマスケーキ

ル・ノートルの
クリスマス・ケーキとパティシエ。

スイーツの老舗ル・ノートルが早くも今年のクリスマス特別ケーキを発表。
今回発表したのは、高級ファブリックの大御所ピエール・フレイとのコラボレーション。
そのプレゼンテーションがピエール・フレイのフラッグショップで行なわれ、喜び勇んで出席。

前日はフランス人とのディナーがあり、遅くに寝たのでまだまだ眠い眠い。
見るに耐えられるようにさっとメイクをして、一路ご招待を受けたショップへ向う。

ル・ノートルのおいしいコーヒーをゆったりといただいた後、歴史が浸み込んだような階段を下り地下に入ると、そこは不思議な世界。
ピエール・フレイご自慢の布地のサンプルが、右に左に整然と並んでいる。
中央にはきれいな花飾りをほどこした
長方形のテーブルが置かれている。

ファッショナブルなケーキたち。
その両サイドにシンプルな椅子が並べられていて、華やかなクッションがところどころにある。もちろんピエール・フレイ作。カラフルでとってもきれい。

その先でル・ノートルのパティシエが数人がかりでケーキを並べている。今年の特製クリスマスケーキだ。
椅子の形をしているのもあるし、リボンつきのパッケージングした箱形もあるし、長方形もある。どれも小さくて食べやすそう。
この大きさだとお上品に口を開ければいい。

色の洪水の中で幸せ。
これから極上ケーキをいただいて
もっと幸せになるの。
それにしてもまだ眠そうな顔だこと。
色彩も豊かで喜びが跳ねているみたい。これが口の中で姿を失うのかと思うと、ちょっともったいないようにさえ思える。

「このケーキはパリとコートダジュールのル・ノートルで販売します。ただし、すべてオーダーしていただくことになります」
と、ル・ノートルのイケメンのシェフ。
「でも、今日は試食していただけますので、じっくり味わって下さい」
ですって。

椅子に腰かけると若いパティシエがどうぞと、微笑を浮かべながらサーヴィスしてくれる。その彼もイケメン。

おいしくファッショナブルなケーキたち、ありがとう。

2014年10月5日

秋が深まったパリ

プラタナスとマロニエの
秋の姿

珍しく好天気続きで、
しかも気温も20度をこえているパリ。
そうした気候のときには、公園は絶好の憩いの場。

枯葉が太陽光線を受けてひときわ綺麗な色を見せている中で、
何故か最近カラスが目立ちます。

すずめやハトが多いのはいつものことで見慣れているけれど、真っ黒なカラスが大きな羽を広げて鳴き声をあげながら飛び交うと、いったい何事かと緊張する。
別に差別しているのではないけれど・・・・


カラスの4羽会談
気をつけて見ると、
カラスが四羽集まって何やら議論しているみたい。
四羽会談なのかしら。確かに、今、様々な大きな問題を抱えているから話し合いは重要。

でも、あまりにも四羽の間隔があいている。
きっとそれぞれの意見が合わずに決裂したのでしょう。
まあ、よくあること。
気にしないでね。

などと、お話を勝手に作るのも楽しい季節です。

2014年10月4日

パリの犬たち 13

お散歩は歩くこととは限りません。
ある晴れた日の公園のお散歩。
3匹一緒ということは、脚が12にもなってとても複雑。
「だからこれってすごくいいアイディアだと思わない?
乱れることもなく、とっても優雅。ワタシたちのお顔と同じだワン、ワン、ワン

2014年10月1日

北斎展 グラン・パレで開催

北斎展を開催しているグラン・パレ

フランスの画家たち、
特に印象派に大きな影響を与えた葛飾北斎の大規模な展覧会が、グラン・パレで開催され話題になっています。

展示されているのは浮世絵や版画、肉質の作品など約700点。日本でも未公開の作品もある、過去最大の展覧会。

晩年の自画像。作品も迫力あるけれど、
本人も迫力満点。生涯で93回も
引っ越しした北斎。何もかも破格。

北斎が注目を浴びるようになったのは、フランスの銅版画家フェリックス・ブラックモンが、日本から送られてきた陶器の梱包に使用されていた「北斎漫画」を見たことに始まったそうです。1856年のことでした。

当時日本では浮世絵は評価されていなかったようですが、ヨーロッパの絵画と異なる手法や題材は刺激的で、ブラックモンによって注目された北斎の作品は、その後ゴッホや、ゴーギャン、ロートレック、ドガ、モネなどに大きな影響を及ぼします。

風景や魚、鳥、日常生活が驚くほど精密に描写されていて、
特にゴッホは日本人の観察力、感性に感銘を受けます。
「北斎漫画」を自分で操作しながら
ページをめくれる装置が素晴らしい。
一枚の葉、一輪の花を哲学者のように観察し、自然と同化していると絶賛しています。
モネも多くの浮世絵をコレクションし、終焉の地となったジヴェルニーの館の壁を多くの浮世絵で飾っていたほどでした。彼は連作を手がけていますが、それも
北斎の連作の影響だと見られています。

このようにフランスで最初に評価された北斎。最初の「北斎漫画」が描かれて今年は200年記念の年。それをお祝いしての前代未聞の大規模な展覧会です。
フランス人が圧倒的に多い。

グラン・パレを訪問する人が、もっとも興味をもっているのは「富獄36景」「北斎漫画」「靖国瀧廻り」。
これほど緻密な観察力と表現力は、やはり日本人の格別な感性のお陰かも。日本人であって良かったと強い誇りを感じる北斎展です。

90歳近くまで生きた北斎は、超人と表現しないではいられない。しかも、18~19世紀の時代です。創造への意欲がそうさせたのかも知れない。どの作品にも圧倒的な迫力があり、「凄い凄い」と繰り返すばかり。北斎の力強い意志の響きがどの作品からも感じられて、細胞のひとつひとつが騒いでいるようです。
この感動を大切にしていたい。

もちろん展示作品を全部収録した分厚いカタログを買ったし、北斎の作品のひとつをプリントしたシルクのスカーフも買いました。まだ数回行きたい素晴らしい北斎展。

2014年10月1日~11月20日、2014年12月1日~2015年1月18日