2021年11月1日

久しぶりのマルメゾン城

ナポレオン皇帝の最初のお妃ジョゼフィーヌがこよなく愛し、生涯を閉じたマルメゾン城を久々に訪問。多分12年ぶりだと思う。

深い緑の中のマルメゾン城。


人生を美しく飾ることに情熱を捧げていたジョゼフィーヌは、革命後、大帝国を築こうと野望に燃え、戦いに戦いを続けていた粗野なナポレオンの傍らで、優美に装い洗練された宮廷文化を生み出した、稀有な感性の持ち主。ところがナポレオンに子孫を授けられないために離婚され、パリ近郊のマルメゾン城に暮らし、そこで最期を迎えます。

マルメゾン城のサロンでくつろぐジョゼフィーヌ。

ナポレオンがエジプト遠征中に、ジョゼフィーヌが夫に内緒で購入したこの城館には、彼女の高尚な趣味が隅々まで息づいていて、「ナポレオンが選んだ3人の女」を書いていたときには、ジョゼフィーヌの生活や好みなどを把握するために、足を運んだし、その後もいくつかの展覧会が開催され訪問した懐かしいマルメゾン城。
このところずっとご無沙汰していたけれど、友人のアーティスト、節子さんの陶器作品が数点展示されているとのことで、久々の訪問となったのです。パリから貸し切りのミニバスで出発し、到着したらシャトー内で朝食。その後展覧会のプライベート訪問と至れり尽くせり。休館日なので他に誰もいないし、招待客は15人ほど。ゆったりと鑑賞できました。
画家バルテュス未亡人の節子・クロソフスカ・ド・ローラさんは、数年前から透き通るような白い陶器で名を成している、アスティエ・ド・ヴィラットとコラボレーションをし、パリにあるアスティエ・ド・ヴィラットのアトリエで、手づくりでクリエイトしています。

ダイニングルームは節子さんの作品一色。

ジョゼフィーヌが特に気を配っていたのはテーブルアート。食文化を大切にしていた皇妃が重きを置いていたダイニングルームを、節子さんの視点で飾るために、数点の作品をクリエイトしたのです。ジョゼフィーヌと節子さんには、自然と動物を愛する共通点があります。緑豊かな中に佇む城館に展示されている節子さんの作品を見ると、魂が浄化されたような爽やかさが残ります。

ダイニングルームのテーブルが、節子さんの作品で飾られています。
白一色でとてもさわやか。


両手で容器を支えている作品がとくに視線をとらえます。



両手で器を支える作品は。テーブル上に置いてフルーツを入れてもいいし、
この写真のようにドライフラワーを飾ってもいい。

かわいい鹿の小物入れ。
背中のフタをあけてシュガーなどを入れることも出来る。

コロナ禍で3年ほどお会いしていなかった節子さんですが、とってもお元気そうで、それが一番うれしかった。
「今後もずっと陶器を続けていくし、いろいろなことに挑戦したいわ」
 目を輝かせながら語る節子さん。
 常にポジティフな彼女からオーラが放たれていて、お会いするたびにたくさんの元気をいただきます。

作家の解説つきの充実した特別訪問でした。

常に前向きな節子さんに創作意欲を掻き立てられ、私も今書いている原稿を、来年の出版を目指して早く仕上げなくてはと真剣に思った日でした。だけど、数年前から出版業界が不振を続けている日本。希望がかなうかしら、などと時々消極的になりがち。でも目標を持って、それに向かって積極的に生きなければ。特に今の時世には、自分で自分を鼓舞しなくてはダメ、とつくづく思う。
マルメゾンの節子さんの展覧会は11月15日まで。