2016年8月26日

太陽がいっはい。でも日傘は使わない。

太陽がいっぱいのパリ。帽子を楽しむ幸せタイム。
このところ、午前中20度、午後35度くらいになるパリ。これは珍しいほど高い気温。私はその数字を知っただけで怖くて、アパルトマンに閉じこもってしまう。住んでいるアパルトマンは、19世紀末のベル・エポックの建造物。従って石作りの壁がすごく厚いので、まるで冷房がきいているように涼しい。

この暑さにもかかわらず、太陽にあたりたいと外に出かけるパリっ子。
日本だったら夏の花とばかりに、日傘があちらこちらで満開になるのでしょうが、パリの人は日傘は使いません。日焼け止めクリームを顔にたっぷり塗って、帽子をかぶり、腕や脚はできるだけ太陽にあてるのです。

日傘はフランスに限らず、他の国ではあまり見かけません。ベトナムでちらっと見た覚えはありますが。もしかしたら日傘は、日本文化のひとつと考えていいかも。

17世紀ころにはフランスでも使用していたようだけれど、それは太陽光線を避けるためというより、むしろおしゃれのため。
フィレンツェの名門メディシス家に生まれ、後にフランス国王になるアンリ王子に嫁いだカトリーヌ・ド・メディシスが、多額の持参金と一緒に、イタリアに発祥したルネッサンス文化をフランスに持ち込み、そのおかげで食卓文化などが伝わりました。その際に彼女は、日傘もお嫁入り道具の中に入れていたといわれています。1533年のことでした。
洗練されたイタリアの文化をフランスにもたらしたにもかかわらず、カトリーヌは生涯毛嫌いされていた気の毒な女性でした。

日傘といえばモネの「日傘の女」という名作が浮かびます。青空の下で日傘をさす女性が描かれていて、とても優雅で幸せそうな雰囲気。当時の長いドレスにはよく似合います。
でも、今のこの急テンポで変動する世の中には合わない。片手が日傘に占領されるのは、合理的ではないから。

私はもっぱら帽子派。夏の帽子は汚れが早いし、高くないから毎年買い換えます。今年は何色にしようかとか、どんな形のにしようとか、いろいろ見て歩くのが大きな楽しみ。
それに、帽子を被った自分を鏡に映すと、まるで別人のように見えて心が弾みます。
こうした新しい自分発見も時にはいいものです。