2016年8月25日

ソニア・リキエルの偉業

「ニットの女王」と謳われていたソニア・リキエル。
彼女によってニットは、ファッション性のあるおしゃれな存在になりました。それまでは普段着のイメージが強く、ちょっとした外出には不向きだったのが、ソニアによってニットウエアは一躍ひのき舞台にあがるようになったのです。
着心地がよく、軽く、シワにもならない、デザイン性にも富む。
女性たちはこの新分野を開拓した女性デザイナー、ソニア・リキエルに絶大な才知を見たのです。

彼女が最初のブティックをオープンしたのは1968年。そうです、あの5月の学生運動に労働者たちも加わり、反体制運動が激しく行われた歴史に残る年です。

彼女が語ってくださった言葉が、今でも私の記憶に鮮明に残っています。
「ブティックの場所は決まっていたの。そこ以外は考えられなかったのです。サン・ジェルマン・デ・プレです。何故なら、そこには活気があり、知性があり、歴史があり、パリの先端があるからです」

もうひとつ忘れられない言葉は
「センスは日常の積み重ねで育つものです。一杯のコーヒーを飲むのにも、場所を選ぶのが大切です。知らず知らずのうちに、その場の雰囲気が自分の一部になるからです」
意識した目でパリを見ると、パリはその人の体の中に入り込むと話してくださったのも彼女でした。

女性にニットを着る喜びを与え、いろいろ貴重なことを教えてくださった希代の女性ソニア・リキエル。8月25日に86歳の生涯を閉じました。
安らかにお眠りになるようお祈りいたします。
一番気に入っているたソニア・リキエルの服で、ジュネーヴに。若かりし頃。