2018年10月6日

シャルル・アズナヴールさん、感動的なオマージュ

フランスの国民的歌手シャルル・アズナヴールさんに捧げるオマージュが、アンヴァリッドの「名誉の中庭」で10月5日朝に行われました。

アルメニア系移民を両親としてパリで生まれたアズナヴールさんは、9歳から歌っていたのでそのキャリアは85年。独特の憂いに満ちた歌声は国境を越え世界に轟いていました。

日本でも数回コンサートを開き、今年9月17日NHKホール、19日大阪フェスティバルホ-ルで,約2時間の熱唱でファンを魅了したばかり。それが最後のコンサートとなり南仏の家で10月1日、心不全、肺水腫により94歳の長い生涯を閉じました。


マクロン大統領、アルメニア首相列席の元にとり行われた国家的オマージュには、多彩なアズナヴールさんにふさわしく、各界の著名な方々の姿が見られました。サルコジ元大統領、オランド前大統領、大使をはじめ、歌手エディ・ミッチェル、ミレイユ・マチュー、エンリコ・マシアス、俳優ジャン・ポール・ベルモンド。アズナヴールさんの妻、子供たち、その他親族も儀式に参列。

全員が揃ったころ、フランスの三色旗に包まれたアズナヴールさんが眠る棺が、静けさの中に現れました。「名誉の中庭」の石畳みを踏みしめる重い足音だけが響き、厳粛な空気が流れます。そのうち笛の音が聞こえ始めました。アルメニアの民族音楽です。心の奥深くまで染み入るような哀愁を帯びたその音楽が、アズナヴールさん特有の魂を揺れ動かすような歌声と重なります。

アルメニアとフランスの国家がそれぞれ演奏され、それに続いてアルメニア首相、フランス大統領のオマージュの言葉が述べられました。アルメニア首相はアズナヴールさんの先祖がアルメニア人であり、国にとって重要な人物であることを繰り返し、フランス大統領はアズナヴールさんはフランス生まれのフランス人であり、フランス語で歌っていたと語ります。

「1世紀生きたいと願っていただろうが、死が訪れ、驚きと悲しみが我々をおそった。シャルル・アズナヴールは人生に安らぎを与えてくれた人なのです」
というマクロン大統領の言葉が印象に残っています。

大ヒット曲「世界の果て」の歌声に乗りながら、アズナヴールさんは家族に伴われアンヴァリッドを離れて行きました。

この様子は朝10時ころからテレビで中経され、感動的なオマージュをしっかり胸の中に刻みました。でも、巨星が姿を消したさみしさは残ります。

「私を見出してくれたエディット・ピアフが言っていたように、歌うのではなく、演じるのです」
と生前語っていたシャルル・アズナヴールさんは、希少な歌手であり俳優でした。