2018年11月4日

皇妃ジョゼフィーヌの息子の旧邸宅訪問

ナポレオン皇帝の妃ジョゼフィーヌは浪費家として知られていますが、彼女は身に付ける物以上に、室内装飾に多くのお金をかけていました。

そうした彼女がことのほか関心を抱いたのが、息子ウジェーヌ・ド・ボアルネが買ったセーヌ川近くの18世紀の貴族館。ジョゼフィーヌは彼女特有のセンスを発揮し、息子の館の装飾に熱中します。

ウジェーヌはジョゼフィーヌの最初の夫アレクサンドル・ド・ボアルネ子爵との間に生まれた長男で、頭脳明晰で軍人の勇気と指導力を持つ好青年。義父ナポレオンから副ローマ王の地位を授けられます。

ウジェーヌ・ド・ボアルネ (1781-1824)

母ジョゼフィーヌ・ド・ボアルネ (1763-1814)
ナポレオン・ボナパルトと再婚し、後に皇妃になります。

父アレクサンドル・ド・ボアルネ子爵 (1760-1794)
革命が終わる数日前に処刑。

ウジェーヌが購入し暮していた館は、第二次世界大戦後にドイツに寄贈され、現在駐仏ドイツ大使公邸になっています。数年前にも訪問しましたが、今回はリニューアルが完全に終わり、ジョゼフィーヌの卓越した感性を至る所で味わうことができました。

ウジェーヌ・ド・ボアルネの館。現在はドイツ大使公邸。

典型的な18世紀の貴族館。
エントランスのエジプト装飾が、ナポレオン時代の威勢を示しています。

ナポレオン史学会が主催したこの特別訪問は、ドイツ大使夫人のご挨拶で始まり、解説員の詳しい説明つき。各部屋には著名な家具師による歴史的に重要な椅子やソファがありまます。通常、このような重要な家具は触れてはいけないのに、「どうぞ、お掛けください」などと言われ、おずおずと腰かけて説明に聞き入りました。

広々としたホール、マホガニーの光沢が重厚な美しさを見せる図書室、ウジェーヌ愛読の無数の蔵書、シャンデリアと金箔で絢爛豪華なサロン、優美な装飾の音楽の間、落ち着いたトーンのベッドルーム、造花に囲まれたユートピアのようなバスルームなど、どの部屋も洗練の極みが漂っていて、圧倒的な美を築いた第一帝政様式に心を奪われました。

ウジェーヌの妃はバイエルン王女で、ふたりは睦まじく7人の子供に恵まれます。中でも、美貌の誉れ高い長女ジョゼフィーヌはスウェーデン・ノルウェー王国のオスカー王子に嫁ぎ、後年王妃となり、その子孫が現在のスウェーデン国王です。


ウジェーヌの妃、
オーギュスタ=アメリー・ド・バヴィエール (1788-1851)

長女ジョゼフィーヌ (1807-1876)
現在のスウェーデン国王の先祖。
このような歴史上重要な人が足跡を残したかと思うと、階段ひとつにしても貴重に感じられます。パリに現存する第一帝政時代のもっとも美しい館と絶賛されている館です。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

いつも素敵な記事をありがとうございます。私はパリ在住の者ですが、夫にこの記事の事を話しましたら、エンパイアスタイルとしてはパリでは最高のものではないかなと言っていました。今年はすでに予約がいっぱいのようですが、来年以降行けるようにトライしたいと思います。メトロの記事もとても興味深くて勉強になりまして、有難いです。