2022年7月2日

カラフルで、自由な心になった日

 7月になった最初の日、つまり1日に「何かいいことないかな」とチュイルリー庭園に向かうと、まず、ラヴェンダーの香りが漂っているのに気づいた。もう、その季節かと思いながら近づいたら、爽やかな香りが全身を包んだようで、心地よい。紫の色合いも、小さな花が寄り添っている姿も品格がある。きっと南仏のラヴェンダー畑も紫一色になって、さぞかしきれいだろうと、目をつむるとその光景が、くっきりと瞼に浮かぶ。

それにしても、パリのど真ん中で、ラヴェンダーを見れるなんて 何てステキで幸せなことよ。

ラヴェンダーの香りが匂い立つ庭園の一角。

幸せを抱えながら、いつもの通り、マロニエの木々の下を通りながら、ゆっくり散策している人々を見るとはなしに見ていると、何やら左で不思議な引力を放っているように思える。それで、その方角に視線を向けると、芝生の上にカラフルな彫刻が置いてある。ジャン・デュビュッフェの作品だ。

たしか、この彫刻は、同じチュイルリー庭園の別の場所、あまり人が気が付かないちょっと高い所で見た覚えがある。それが、今度は、誰もが目にするマロニエの街路樹に囲まれた芝生の上に展示されている。説明があるので、近づくと「ベル・コスチュメ」と書いてある。「美しい衣装」と訳すことが出来る、1973年、とも書いてある。

ジャン・デュビュッフェの彫刻。
カラフルで自由な動きが視線をとらえます。

ジャン・デュビュッフェ(1901-1985)は、港町ル・アーヴルで生まれた画家であり彫刻家。大きな特徴は、従来の絵具ではなく、砂やジャリ、あるいは石膏などと混ぜた分厚い絵具を用いること。彼の作品は「アール・ブリュット」と呼ばれる。加工せず、生のままとか自然のままのアートという意味。

この作品を見ていると、束縛から解放された自由が感じられて楽しい。それは、作者が望んだことらしい。フランスの三色旗の色と、黒いラインでいくつかに分けられている4mもの高さの、立っている人間の姿です。