12世紀に建築されたオバジーヌ修道院が注目を集めています。というのは。老朽化したその修道院の修復にメゾン・ シャネルが資金援助をするため。ココ・シャネルシは12歳から18歳までオバジーヌ修道院で過ごし、後にデザイナーになったとき、そこをインスパイア源とした多くの作品を生んだ原点とも言えるのが、この修道院。
稀にみる才能と生き方を世にしらしめた ココ・シャネル。 |
2020年には、オバジーヌ修道院の庭園をオートクチュールのショー会場グラン・パレに再現し、シャネルが修道院生活から影響を受けたと思われるデザインを多く披露。彼女を一躍有名にしたリトルブラックドレスからもわかるように、シンプルなデザイン、黒や白が生み出す清潔感、不必要な装飾をはぶいた合理性など、規律が厳しく質素な修道院を思い起こさせます。
ボルドー県、ポワチエ県地域のシトー派修道院の中心的存在になっていたオバジーヌ修道院が、大きな飛躍を遂げ立派な建物になったのは17世紀。ところが1789年のフランス革命で、教会の財産はすべて国のものとなり、修道院は廃止される運命に陥る。王政が廃止され共和国になって数10年後の1840年、12世紀の建物の一部と教会が歴史的建造物に認定されます。
修道院内のピエタ像。 素朴な造りであるだけに、心の奥深くに染み入る。 |
修道院の中に女子孤児院が設置されたのは1860年で、聖心修道女たちが面倒をみていて、高い評判を呼んでいました。そこでココ・シャネルは感受性豊かな10代の大半を過ごし、精神的強さ、独立心、簡素な中に輝く美、裁縫を学んだことは、彼女のその後の人生にとって非常に重要だった。メゾンのロゴさえも、修道院のステンドグラスから生まれているのです。
シャネルが築いたメゾンが修道院修復工事に資金を提供することによって、今、再び、彼女の生き方、考え方が注目されています。
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