聖母マリアが出現した マサビエルの洞窟 |
昨年は、パリ市内で聖母マリアが修練女に出現したお話をブログで紹介。
今年はルールド。
14歳の少女に出現したお話です。
特に最初に彼女に出現した日のことに焦点をあて、調べたことをお知らせします。
ベルナデットが妹トワネットとその友人ジャネットと一緒に、家を出たのは朝10時ころでした。
少女たちはピレネー山脈のふもとにある、ルールドの西側を流れている谷川のほとりを歩いていました。母に頼まれて薪を拾うために。
人気のない森の寒さは厳しく、フードがついた長い服を着ていた少女たちは、すきまから風が入らないように、両手でフードをしっかり引き寄せなが歩いていました。
小さな口からは、白い息が絶え間なく出ていたし、寒さにさされた目には涙が浮かんでいました。二月のルールドの寒さは、骨にまで差し込むように厳しいのです。
薪が見つかるように、どうか早く見つかるように、と祈るような気持ちで歩いていたのに、それらしきものは何も見つからない。
ベルナデットは燃やすものがない暖炉を目の前にした、困り果てた母の顔を思い出していました。膝をかかえながら、小さな体を震わせている妹や弟の姿も浮かんできました。
ベルナデット・スビルー |
ベルナデットはトワネットとジャネットに声をかけ、励ましました。
谷川のほとりの道は狭く、でこぼこしていて歩きずらかった。それでも少女たちは歩き続けていました。
だんだんと岩が多くなり、何度も転びそうになりながら進んで行くと、水かさが少なくなった谷川の表面に、何本かの小枝が浮かんでいるのが見えたのです。
それを目にした少女たちは、反射的に川の反対側に目を向けました。
「あっち側に行ったら、きっと薪がある」
そう思った三人は川の向こうに行こうと声をそろえて言い、トワネットとジャネットは、さっさと靴を脱いで川を渡り始めました。
ベルナデットは妹たちのように、凍えるほど冷たい川に気楽に足を入れることはできない。なぜなら、彼女は喘息の持病があったからです。ベルナデットが躊躇している間に、妹たちはさっさと川を渡り、向こう岸についたかと思うと、薪を求めて姿を消していました。
ひとりになったベルナデットは、近くにあった大きい岩に腰かけました。彼女は川がいかに冷たくても、向こう岸に行かなければと決心し、靴をゆっくりと脱ぎ始めました。
そのとき、ベルナデットは風が吹いたように感じたのです。
今まで経験したことがない、不思議な空気の動きが彼女を捕らえたのでした。
つづく