2011年8月4日

聖母マリアに会った少女 ベルナデット 1

聖母マリアが出現した
マサビエルの洞窟
8月15日の聖母マリア昇天日は、カトリックの国フランスでは、もちろん、重要な祭日。
昨年は、パリ市内で聖母マリアが修練女に出現したお話をブログで紹介。

今年はルールド。
14歳の少女に出現したお話です。
特に最初に彼女に出現した日のことに焦点をあて、調べたことをお知らせします。

 ベルナデットが妹トワネットとその友人ジャネットと一緒に、家を出たのは朝10時ころでした。
少女たちはピレネー山脈のふもとにある、ルールドの西側を流れている谷川のほとりを歩いていました。母に頼まれて薪を拾うために。

 人気のない森の寒さは厳しく、フードがついた長い服を着ていた少女たちは、すきまから風が入らないように、両手でフードをしっかり引き寄せなが歩いていました。
 小さな口からは、白い息が絶え間なく出ていたし、寒さにさされた目には涙が浮かんでいました。二月のルールドの寒さは、骨にまで差し込むように厳しいのです。

 薪が見つかるように、どうか早く見つかるように、と祈るような気持ちで歩いていたのに、それらしきものは何も見つからない。
 ベルナデットは燃やすものがない暖炉を目の前にした、困り果てた母の顔を思い出していました。膝をかかえながら、小さな体を震わせている妹や弟の姿も浮かんできました。

ベルナデット・スビルー
「もっと奥に行ったらきっと見つかるわよ」
 ベルナデットはトワネットとジャネットに声をかけ、励ましました。 
 谷川のほとりの道は狭く、でこぼこしていて歩きずらかった。それでも少女たちは歩き続けていました。

 だんだんと岩が多くなり、何度も転びそうになりながら進んで行くと、水かさが少なくなった谷川の表面に、何本かの小枝が浮かんでいるのが見えたのです。
それを目にした少女たちは、反射的に川の反対側に目を向けました。
「あっち側に行ったら、きっと薪がある」
 そう思った三人は川の向こうに行こうと声をそろえて言い、トワネットとジャネットは、さっさと靴を脱いで川を渡り始めました。
 
 ベルナデットは妹たちのように、凍えるほど冷たい川に気楽に足を入れることはできない。なぜなら、彼女は喘息の持病があったからです。ベルナデットが躊躇している間に、妹たちはさっさと川を渡り、向こう岸についたかと思うと、薪を求めて姿を消していました。

 ひとりになったベルナデットは、近くにあった大きい岩に腰かけました。彼女は川がいかに冷たくても、向こう岸に行かなければと決心し、靴をゆっくりと脱ぎ始めました。
 そのとき、ベルナデットは風が吹いたように感じたのです。
今まで経験したことがない、不思議な空気の動きが彼女を捕らえたのでした。

つづく