2011年8月5日

聖母マリアに会った少女 ベルナデット 3

聖母マリアが出現した
マサビエルの洞窟入り口
やわらかな光りの中にたたずむその人は、若い女性でした。
足の先に届くほど長い白い服を着て、腰にはブルーのベルトを巻き、頭には白いベールをかぶっていました。そして素足の足元には、黄金色に輝くバラの花がありました。

その人はベルナデットが今まで見たこともなかったほど美しい顔をし、口元にはほんのりとした微笑を浮かべていました。その微笑に触れたときベルナデットの右手が動いたのです。ベルナデットの意志と無関係に、自然に。

ベルナデットが語ったことを
参考にして造った洞窟内の
聖母マリア像
ポケットに届いた手の先にはロザリオがありました。小さいときから馴染んでいたロザリオです。それを握ったベルナデットの右手は、ゆっくりとポケットから出て額に向かい、十字をきろうとしました。
ところがどうでしょう。手はそこで急に止まってしまったのです。硬直してしまったのです。

その様子を微笑みながら見ていた白い服の女性は、洞窟の入り口に近づいて来ました。長いロザリオを手にしながら。
入り口に近づくとその人は、ベルナデットを見つめながらロザリオを顔のあたりに上げ、十字をきりました。
それに引きずられるように、ベルナデットの手が動き、その人と一緒に十字をきったのです。

ベルナデットは膝まずき、小さな声でロザリオの祈りをとなえ始めました。するとその女性は微笑を深くし、両手を広げてベルナデットを包むようなしぐさをしたのです。
次の瞬間、白い服の女性は消え、それと同時に光りも去りました。


ベルナデット
何がなんだかわからないまま、ベルナデットは靴を脱ぎ、両手で抱えながら川に
足を入れました。すると、不思議なことに、妹たちが冷たいと悲鳴をあげていた水は、温かくなったいたのです。

川を渡ったベルナデットは洞窟に近づきました。
それは、すでに、暗い洞窟でしかなかったのに、ベルナデットはその前に膝まずき、ロザリオを手にしながら長い間祈りました。
彼女は白い服の女性が誰であるか知らないまま、祈りを捧げないではいられなかったのです。
1858年2月11日、ベルナデットが14歳のときのことでした。

つづく