2011年8月21日

モロッコ タンジェの熱い夏

ミュージシャンによって
盛り上がるタンジェのソワレ
フランス人は本当にモロッコが好き。その証拠にパリジャンでモロッコに別荘をもっている人がとても多いのです。
毎年7,8月は大移動とばかりにモロッコへと向かいます。行き先は、皆、同じ。
タンジェ。
そう、多くのアーティストが愛した、そして愛する町。

19世紀の代表的な画家ドラクロワが、
その後はマチスが魅了された町タンジェ。
ジャン・ジュネやポール・ボールズといった
稀有な作家の終焉の地でもあるタンジェ。
そこにはモロッコの他の地にないものがたしかにあります。
アフリカがテーマのソワレ
それは、タンジェがコスモポリタンの町として育ち、様々な顔を持っているという魅力があるからかもしれない。

特に夏のタンジェには虜になってしまう強い引力があるのです。
おそらくそれは、そこで夏を過ごすフランス人やスペイン人、アメリカ人が相まって生む、そのときだけの独特な文化が発する空気があるからなのでしょう。

タンジェの夏の魅力は、何といっても夜毎開かれるソワレ。しかも、それぞれ趣向が凝らされていて、どれも忘れえぬものばかり。
ソワレにはテーマが決められることも多く、そうなると遊びにも特別な才能を発揮するフランス人のこと、それはそれは見事。
皆、子供のようにはしゃぎながら、テーマに合った服装の準備をするのです。


赤がテーマのソワレ
フランスに比べてかなり物価が安いタンジェでは、別荘はどれも広々としていて、プール付きの大きな庭を持つ人は、数百人を一度に招待。もちろん、飲食物はその人の負担だから、単に楽しい服装でいけばいいのです。

そこでは様々な人との出会いが待っていて、人脈が広がっていきます。こうしたタンジェに別荘を持つ友人が何人かいる私は、幸せ者。別荘から別荘へとはしごをしながら、
夏のヴァカンスを満喫。皆、自分の別荘が自慢なので、友人を迎えるのは楽しみなのです。

昼間は海辺やプールサイドでのんびりと過ごし、日が暮れるころに着飾ってあちこちに顔を出し、話し込み、踊り、シャンパンでのどをうるおし、モロッコ料理を味わう。



別荘のテラスで踊り、踊り、
そしてまた踊り、朝がやってくるのです。
そこには年間を通して過ごしやすい気候と、限りなく大きな自由がある。けれども沈黙のきまりが何となくあり、そのために安心感もあるタンジェ。パリからダイレクト便で2時間半の距離なのに、独自の文化を守っているタンジェ。不思議な魅力があふれている町です。