2016年2月6日

マリー・アントワネット 絵で辿る生涯 54

自分の運命を判決前に察した国王は、
心のこもった遺書を書きます。

裁判が行なわれていた1792年のクリスマスの日、国王は遺書を書きました。
彼はすでに、自分の運命を悟っていたのです。

何枚もにも及ぶ長い遺書の最後に
王のサインが見られます。
ルイ16世は暗く寒い部屋で、ひとり静かに机に向かいます。
敬虔なカトリック信者として、自分が犯した罪の許しを神に乞い、また、自分の敵となった人々の罪を心の底から許すと綴ります。

自分と共に過酷な日々を送ってきた、妻、子供たち、妹を、特に見守ってくださるようにと神に祈り、その人たちに与えたであろう苦痛の許しも乞います。

息子には、ある日、不幸にも王の座に就くことになったら、国民の幸せに全面的に貢献するようにと言葉を残します。
神に召される準備がすでに出来ていること、そして、自分に対して犯された、いかなる罪をも非難してないことを明確に記しました。

「1792年12月25日、タンプル塔にて作成、ルイ」
と書いたその遺書は、彼の最後の望みだったにもかかわらず、家族の誰も目にすることはありませんでした。
遺書を手にする国王と弁護士マルゼルブ。