2020年10月2日

チュイルリー公園 17世紀時代を再現

 パリ中心にあるチュイルリー公園に、突然、大きな鉢に入れられた楡の木の整列が見えてびっくり。公園中央の幅広い散歩道に並ぶその木の数は92本と、半端ではない。なぜ楡の木がこんなにたくさん? と気になって調べてみると、ルイ14世の時世の庭園を再現しているそう。

整然と並ぶ木で、いつもと違う雰囲気。

親政を開始した23歳のルイ14世
(1638-1715)

1682年に国王ルイ14世が宮廷をヴェルサイユ宮殿に移すまで、ルーヴル宮殿は重要な居城でした。そのために宮殿から延びるチュイルリー庭園は重視されていました。当時は公園ではなく、チュイルリー庭園と呼ばれていました。それは、ルーヴル宮殿の西側に、16世紀、カトリーヌ・ド・メディシスの命令によって宮殿が建築され、チュイルリー宮殿と命名され、その庭園だったために「チュイルリー庭園」だったのです。現在は一般に公開されている28ヘクタールの優美な公園です。

アンドレ・ル・ノートル
(1613-1700)

この庭園が造られたのは1664年、ルイ14世の時代で、当時の卓越した造園家アンドレ・ル・ノートルが手掛けました。ル・ノートルはヴェルサイユ宮殿にフランス式庭園を実現し、世界に名を轟かせた人物。ヨーロッパの多くの君主が羨ましがり模倣したフランス式庭園の特徴は、平面幾何学式。庭園の中央を直線が貫き、遠方まで見渡すことができ、力強さが感じられます。それは権力と秩序の象徴でした。

17世紀のチュイルリー庭園。
軸となる中央に幅広い散歩道があり、遠方まで見渡せます。
両サイドに木が左右対称に並べられていました。

フランス式庭園のチュイルリーの軸となる中央には、ルイ14世の時代に楡の木がシンメトリックに並べられていました。それを今回再現したのです。突然登場した整然と並ぶ楡の木をまじかに見ながら、かつての王朝時代のアンビアンスを多少でも味わえるのは、心地よいことです。パリ市民の憩いの場、チュイルリー公園にさらなる楽しみが生まれました。

すっとこのままでもいいくらい。