現代モードのパイオニアのシャネルが87歳の生涯を閉じたのは1971年1月10日で、今年はその50周年記念の年にあたり、モード美術館ガリエラでは回顧展「ガブリエル・シャネル」が開催されています。(現在はコロナの影響で閉鎖中です)
従来の服装に関する既成観念を次々に破り、女性たちの体や動きに解放感を与えたシャネルが、わずか50年前まで同じパリの空の下で生きていたのかと思うと、感慨を覚えます。服装の改革だけでなく、人生の生き方でも多くの教えを残したシャネルの業績があまりにも大きいので、歴史上の人物のように感じられるのです。そのような稀有な女性が、私たちと同じ20世紀を生きていたことが不思議に思えてなりません。
人生を力強く生き抜いたココ・シャネル。 亡くなる前年の1970年、カンボン通りの自宅でのシャネル。 |
シャネルは時代と共に変化する「流行」ではなく、一定の形式を表す「スタイル」つまり様式を築いたクチュリエです。それがいかに偉大なことかは、彼女が去って50年経った今でも、変わることなく残っていることからよくわかります。しかもシャネルの刻印は服だけでなく、バッグ、靴、アクセサリー、香水に至るまで多岐に及んで刻まれていて、これらすべての製品は、年月が過ぎても、世の中がいかに変わろうとも、一見しただけでシャネルだとわかるのは驚くべきことです。
ジャケットもバッグも、 ひと目でシャネルだとわかります。 特有のスタイルを保ちながら、 毎回のコレクションに新鮮味と変化を与えているのが、 大きな強みです。私も長年愛用しています。 |
シャネルの魅力、強さはそこにある。ブランド名を見なくてもシャネルだとわかるのは、それを持つ女性たちに満足感や幸福感を与え、自信が生まれ、自己肯定感が高まり、人生をポジティブに生きるようになるのだと思う。ココ・シャネル自身がそうであったように。
昨年7月出版のシャネルの生き方を綴った本です。 知れば知るほど稀に見る女性であることがわかりますので、 ご覧いただけたらうれしいです。 |
シャネルが生涯を閉じたのがわずか50年前なのは、私にとって驚くべきことですが、かの有名な香水「シャネル№5」が誕生して、今年で100年というのはそれ以上に大きな驚きです。香水名をナンバーにしたことも、装飾を徹底的に排除したシンプルなボトルも、あまりにもコンテンポラリーで、それが1世紀も前にクリエイトされたなどとは信じがたいのです。この香水は1921年5月5日、カンボン通りのシャネルのブティックで公式に発表されました。
「シャネル№5」の1921年のパブリシティ。 |
ココ・シャネルがいかに先進性に富んだ女性だったか、記念すべき年を迎えますます興味が深まります。ということで、今年もまたシャネルに関する本を手がけています。
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