2021年1月5日

カルティエ本店 工事中でも上質な輝きが

イギリス国王エドワード7世が「王の宝石商、宝石商の王」と称えたカルティエ。パリのラぺ通りの本店にはそれにふさわしい風格があり、前を通るだけで高貴な輝きを全身に浴びたように、幸福感に浸れます。建物の外観自体に歴史が刻まれていて、今ではパリのモニュメント的存在。

そのカルティエが工事中。昨年から始まっているのですが、全館のリニューアルをしているようで、完成までにまだまだ時間がかかりそう。こうした工事の間でも、宝石商の王としての品格を保つことにこだわるカルティエの配慮が素晴らしい。

工事中のカルティエ本店。
大規模なトロンプルイユで
パリの美観を損ねない心遣いが素晴らしい。
京都の趣が感じられ、思わず立ち止まってしまいました。

工事の人々が出入りするエントランスも、柱も、鉄柵も
このままとっておきたいほどキレイ。

作業にあたる人々が出入りするエントランスは、まるで本物のガラスがはめられているように描かれ、その左右に描かれている重厚な大理石の柱も、下を飾る整然とした長い鉄柵も実物とまったく同じに描かれている。

さすがだと思うのは、エントランス右手の網目模様の向こうに見えるショーウインドウ。全体をトロンプルイユにしないで実物のショーウインドウと組み合わせて、単調にならないように変化をつけるのは、芸術の街ならではの美的感性のあらわれです。